渡辺さんの俳句傑作選






2014年 2月の俳句





傍らに置く希死念慮冴え返る
                          死というテーマを表に出した言葉というのは、
                    ついググッ!というよりグググッ!と、
               一歩踏み込んで見てしまう。
                この死という感じは単体でも、
                 インパクトのある言葉ではある。
                最近のテレビのニュースでは、
                         テロだのデモだので死者の出ない話はない。
                          日本のニュースでもまず毎日死者が出た話が、
            必ず出るようになった。
                       この場合の死についてのニュースは必ず、
                          第三者がかかわった死のみと限定されている。
                            本人の意思での死というのはニュースにならない。
                       誰でもそういう一人称の死という想念は、
            持っているものであり、
                  日常的に目の斜め45度くらいに、
                 ぶらりとぶら下げているものだ。
                           これがニュースになって煽るわけではないとして、
                       毎日のように出てくるということになれば、
                           いきなり45度の角度にぶら下がっていたものが、
                         真正面に来る可能性が一気に高くなるのだ。
               近所の鉄道がやたら頻繁に、
               止まる事態になりかねない。
                今でもしょっちゅう人身事故で、
              止まってる気がするのにだ。
                         死を覚悟してということもあるのかもしれない。
                   日常の中ではそういう事象の前に、
               立たされることもあるだろう。
                             それが斜め45度にあるうちはあまり問題にならない。
                 反対側の斜め50度くらいには、
                  楽天的というのがぶら下っている。
                                 楽天的というほうが角度的にちょっと見にくいようだが・・・。
          まあ、傍らに置いて、
                そのまま置きっぱなしというのが、
                実にいいことなのだと思う・・・。









   
春雪やひときわ目立つ喉仏     
             
今年の冬は凄かった。
                 なにがといって雪の降り方だ。
        一回目の雪が、
                    こりゃあ、近年まれにみる大雪だと、
           感心して見ていると、
                        なんと二回目はその上をいく大雪になった。
                  しかも水分を大量に含んでいて、
                手に少し持ってもずしりとくる。
                         こういう雪質を見るのはかなり久しぶり・・・。
                   以前にもあったのかもしれないが、
                  今回は二回目の雪ということで、
                    それなりのインパクトがあったと思う。
           この重い雪のためか、
                         かなり太い木の枝が何本も折れてるのを見た。
                  こういう光景に慣れてないもんで、
                             なんだか一気に気分はマイナーなほうへ振り切れた。
                        その次の週にもまた雪かという天気予報に、
                      ズンと気分が沈み込む感覚を覚えた・・・。
           人間の気分というのは、
            いったん引きずられると、
              次に同じ状況が出現すると、
            さらに大きく引きずられる。
                      なんだかその典型を経験してるようだった。
                     雪かきがまたこれ重い雪だけに一苦労だ。
         半そで姿の人もいる。
                         なんだか逞しい腕っぷしと雪をかく勢が違う・・・。
               自分は二回から見てるだけ・・・。
        男の象徴喉仏って、
                           こういう時にけっこう比べたりするもんなのかも・・・。
                自分は全然ないね・・・( *´艸`)








早春や無伴奏チェロしみわたる
                    
無伴奏チェロ曲でまず浮かぶのが、
                          バッハ作曲の6つの無伴奏チェロ組曲だろう。
                     これはとにかく一つの組曲が長大で、
                         全部聴くには結構な根気と執念が必要だ。
                          今期だけではまず聴きとおすことはできない。
                           若干の偏執狂的な気分を漂わせて聴かないと、
            割と簡単に挫折する。
                   挫折してもどうってことはないが、
                          結局バッハのチェロ曲の真髄には近づけない。
            かなり厳しいのだ・・・。
                早春に聴くには6曲あるうち、
                    どの組曲がもっともふさわしいのか。
                            第一番のプレリュードなんかいいのかもしれない。
                           なんだか出だしがいやにノリノリのメロディーだ。
                    まあ、プレリュードだけでよさそうだ。
                         間違っても第三番のプレリュードはいけない。
         とにかく長い・・・。
                 しかも軽い雰囲気はないから、
                          春の気分を味わおうという時にはよろしくない。
            半分まで来るころには、
                      春という気分はきれいに消えてるだろう。
                        残りの4つの組曲はどうなんだといわれると、
                     それぞれの中にある早春という気分に、
                 合いそうな曲をリストアップして、
                      マイCDにしてみるといいのかもしれない。
                      温いそよりとした風を受けながら聴くには、
            かなりのポイントだと思う。
              チェロの低い弦をこする音と、
               軽いノリの曲の組み合わせが、
                         少し重い雰囲気を残す早春には合うと思うね。








春一番好みの記事をスクラップ
               春一もいまだ吹かず・・・。
                       冷たい北風が吹き荒れている3月初旬。
                             この時期の北風は季節外れの冷たさではあるが、
                               花粉症にとってはありがたい冷たさということがある。
                             気温が低いと花粉の猛威も若干削がれるようで、
                        例年の鼻水地獄がまだ始まらない・・・。
                         目がかゆいという人がちらほらいるが・・・。
                 春一番が吹くのが怖い・・・。
                            それを合図に花粉症のあらしが吹きまくるのだ。
                   新聞の記事を切り抜いて保存。
                この好みの記事というのが、
                なかなか意味深さがあって、
               人によって結構偏っている。
                           政治の記事だったり、スポーツの記事だったり、
                      最近は男の料理が流行ってるせいか、
             今日の料理なんてのも、
                     スクラップの対象になっているようだ。
                           奥さんだと思ったら旦那だったというような・・・。
                        きちーっとノートに分類されてるから驚きだ。
                          かと思うとスポーツ記事をスクラップするのは、
             巨人ファンが多いと聞く。
                            こういう方は子供のころONファンだったんだろう。
                   パリーグファンにはいないと聞く・・・。
                ま、これも分かる気がする・・・。
                            サザエさんを延々と切り抜いていたという話もある。
                   なんだかおめでたいような話だ・・・。
                      自分は最近俳句欄を切り抜いている・・・。








春昼やロシア語教師の生欠伸
                                ソチオリンピックでは平和の使徒だったロシア大統領。
                           今や国盗り物語の主人公のようになっている。
             なんだか少しの間に、
                         天地が引っくり返るような状況が出現した。
                           国際政治は一寸先は闇という言葉があるが、
                   今回の状況はそのものズバリだ。
                前東京都知事の猪瀬氏も、
                         東京オリンピックが決まって一夜開けたら、
                          天地が引っくり返ったような評価の変わり方。
             激しすぎる変化だ・・・。
                       21世紀はこんな感じの出来事が多い。
                            気候も天地を行ったり来たりするような激しさで、
          変化していく・・・。
                 22世紀になったら21世紀は、
                        どのような世紀と呼ばれるのだろうか・・・。
         結構興味深いね。
                              まあ、一般国民にはほとんど関係のないことが多い。
                            ウクライナがどうしたってロシアの一般国民には、
                ほとんど関係ないことだろう。
               ウクライナがどうしたかって、
                             ウラジオストックの民衆には何の興味もないだろう。
                              日本にいるロシアの人にも大した興味もないだろう。
                            大いに興味を持ってるのは政治家だけかな・・・。
                                知らないうちに兵隊に引っ張られるんじゃ嫌だと思うが、
                           そうでもなければどうでもいいことなんだと思う。
                              21世紀は大山鳴動して鼠一匹の世紀になるかも・・。
                           終わるのはまだ先だから実際分からないが・・・。
                            昼を食べた後、欠伸の一つもしているというのが、
                       普通のロシアの人たちじゃないかな・・・。






句会員の句


いつの間に水仙そそと垣に咲き

枝の間の千両鳥の狙い来る

葉の落ちて残り柚子の実二つ三つ

初雪や狭き庭にもロマンあり





主催者吟



湯船にて鼻歌雪の帰宅かな

角打ちのストーブ赤く人の影

陽に光るしずく手に落ち春立ぬ

終列車降り一つ星冴えかえる

集められ廃屋の雪夕日沁む





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