渡辺さんの俳句傑作選






2014年 4月の俳句





プラモデル大詰めにきて猫の恋
               ここのところというより。
                学生時代を脱したときから、
                         プラモデル製作というのに縁がなくなった。
                              学生というと少し大きくなった頃を連想しそうだが、
                実際のところは小学生・・・、
                                ま、中学生の一年までは作っていたような記憶がある。
                      小さいプラスティックの部品を慎重に、
                   切り離して接着剤で張り付ける。
                              子供なので接着剤の分量にもう一つ正確さがなく、
                  貼り付けると脇からぶにゅっと、
                接着剤の余りが出たりする。
                       これをつい指先でこすり取ろうとすると、
               回りに接着剤が広がって、
               なんだか汚らしくなる・・・。
                           まずいなと思いながらもどうすることもできず、
                            汚く固まってしまったところをこすったりしながら、
                        あきらめて次の部品の接着に取り掛かる。
                      するとまた同じような状況が生まれる。
                 なんだか出来上がるころには、
                              接着剤で嫌に汚れた完成品が鎮座ましましている。
                            なんだか納得できない気分がかなり残るのだが、
               子供だとどうしようもなく、
                      でも、完成させたという満足感はあり、
                      微妙な気分で眺めていた記憶がある。
                           大人になってプラモデル製作に取り掛かると、
                         ひたすらきれいに仕上げることに集中して、
                   少しでも汚らしい部分ができると、
             いやに冷めてしまって、
                   仕事にかこつけて放り出す・・・。
                    結局その時だけ燃えるって感じは、
             まるで猫の恋だよ・・・。








黄水仙五十年目のクラス会
               
                クラス会というのも上の代ほど濃密な雰囲気があり、
                          下に下がるほどしら気世代という時代になり、
                        だんだん人間のつながりが薄くなってくる。
                            団塊の世代はまだ古き時代の精神が残っており、
                    クラス会という言葉がよく出てくる。
          この世代になると、
                    小学校のクラス会から話題になる。
                  世代が下がって三無主義だとか、
                              ノンポリとかいう言葉が頻繁に聞かれる世代になると、
                                  クラス会という言葉自体が何となく遠い言葉に聞こえてくる。
                 年号の数字が増えていくごとに、
                             横のつながりが希薄になっていったということだろう。
                             では、縦のつながりというと先輩後輩となるわけだが、
                    これも団塊の世代の結束は固い・・・。
                              下に行くほど先輩後輩の結びつきは希薄になっていく。
              しごきというのが横行して、
                            後輩というのは結構つらい思いをさせられていて、
                             これが下の世代になると愛のムチとはいかないのだ。
                      上の世代にも同じ状況はあったはずだが、
                   受け手の感じ方が違うのだろう・・・。
                     団塊の世代はクラスというイメージが、
         強く残っているのか、
                    定年になってからはクラス会の予定が、
             一年を通じて予定を埋める。
                              小学校から始まるわけだから結構長丁場になるはずだ。
                          それでも全国から集まってくるエネルギーが凄い。
                            下に下がるほどそういうエネルギーは薄くなっていく。
                     まあ、敗戦日本を高度成長させた世代と、
            それに乗っかった世代との、
                     エネルギーの差はいかんともしがたい・・・。
            黄色い色は幸福の色・・・。
            こんな郷愁じみた感慨も、
                    上の世代ほど濃密なのではないかな・・・。








クレープを待つ行列や春の泥
           
  最近の行列のできる店。
                  以前の行列ができるなんて話は、
              半額の安売りがあるとか、
                       ウィンドウズ95とか新しいスマホとか・・・。
                       そういうところに行列ができるというのを、
            ニュースでやっていた。
                  しかし最近は行列なんて言うと、
                    だいたい食べ物のお店が多くなった。
                           行列のできるラーメン屋、モーニングの立派な店。
                       要するにグルメってことなのかと思う・・・。
               グルメに興味を持たないと、
                        行列にかかわることができないということだ。
                       なかには行列オタクというのがいるらしい。
                    世の中広いと思わせる話ではあるが、
                           行列にも味わいのある行列というのがあるらしい。
                           子供から大人まで男女雑多なの行列はいけない。
                だいたい年齢層が整っていて、
                         あまり顔つきに大きな違いがってもいけない。
                         だいたい同じ目の色をして並んでいる行列に、
                    味わい深い行列が多いということだ。
                     ディズニーランドに並んでる行列などは、
              味わいとしては下位らしい。
                         並んでいて期待が途切れないというのが大事。
                           そういう意味では初詣の明治神宮などの行列は、
           かなり淡泊らしい・・・。
                   巨人戦の行列などははたから見て、
                          並んでる人以外何の興味も持てない雰囲気が、
                   逆に味わいがあるということだ・・・。
                         ま、行列の味わい考というのは聞いていると、
        結構面白い・・・。
               聞き終って何も残らないのが、
                さらにいいのかもしれない・・・。
                               はたしてクレープを待つ行列に味わいがあるのか・・・なぁ。








               木の芽風控えめにいうプロポーズ               
           プロポーズといえば、
          パッと浮かぶのが、
                    武田鉄矢の101回目のプロポーズ。
                     このドラマを知っているというだけで、
                昭和人だというのが分かる。
                    平成人には縁のない話だろう・・・。
                   ここに昭和人と平成人との間に、
                     越すに越されぬ海峡がある気がする。
                          平成人にあのドラマの内容が受けるのか・・・。
                  なんだか難しいような気がする。
                       昭和人は皆そう思うのではないかと思う。
                            いろんなドラマにプロポーズの場面が出てくるtが、
                        プロポーズ自体がタイトルになったドラマは、
                これだけじゃないだろうか・・・。
      平成も26年。
                                こういうタイトルのドラマにはついぞお目にかかれてない。
                           要するに平成の文化に合わないということだな。
                   控えめに言うプロポーズというのは、
                     どういうイメージの場面なんだろう・・・。
                       源氏物語の時代から共通項なのだろうか。
                     明治大正昭和と源氏物語の翻訳本は、
                  常に新しく出ていた気がする・・・。
               平成になって出たのかな・・・。
                       それほど話題にもなってない気がするから、
                     特の付く翻訳本は出てないのかも・・・。
                          瀬戸内寂聴が当たりが出してるのかもしれない。
                           明治の昔は与謝野晶子が出して話題になったり、
              それがヒットしたなんてのは、
                 やはり文化があったということだ。
                            光源氏のプロポーズに対する文化があった時代だ。
                      昭和まではその残像は残っていたと思う。
                      平成になって崩れたという気がする・・・。
                             平成人の控えめなプロポーズというのを見てみたい。
                  ドラマでは見る機会は・・・ないね。








大仏は美男におわす蓬餅
                     春の観光地で人気があるのが鎌倉。
                    連休などでも結構人気のスポットだ。
                              今年の連休でも鎌倉に行ったという人が周りにいる。
               鎌倉でメジャーなのが大仏。
                               歴史的に見れば東大寺の大仏が圧倒してる気はする。
                     しかし、東大寺という場所柄もあって、
                   意外と話のネタには表れてこない。
                           やはり気楽な会話で出てくるのは鎌倉の大仏だ。
                       奈良の大仏と鎌倉の大仏だと表情も違う。
                              やはり奈良の大仏は何となく黒光りしていて厳めしい。
                         鎌倉の大仏だと色もなんだか錆びちゃってて、
           庶民的な風情がある。
                        表情が何となくおっとりした感じがするのだ。
                       鎌倉の大仏のほうがまわるい感じがする。
                   奈良の大仏はがっちりしてる感じで、
                   なんか近寄りがたい雰囲気がある。
                       どっちが美男かという考察に入っていくと、
            これが結構難しい・・・。
                               これはやはり年齢層から見ていかないといけないと思う。
                         中年以上のおばさんおじさんたちの感性だと、
                      結構奈良の大仏のポイントが高いと思う。
               少し下がって若年層になると、
                             鎌倉の大仏のポイントが高くなるんじゃないかと思う。
                       奈良の大仏は箱ものだからというのもある。
                   鎌倉の大仏は野外で開放的だ・・・。
                 年齢層から好みを考察するのは、
                  意外と的を得てるかもしれない・・・。
          意外と面白い結果が、
                    次々出てきそうな気がするのだが・・・。






句会員の句


すずらんの小首を下げて咲き並び

花水木賑やかに咲く赤や白

さくら咲く息子大盛り食べ続け

花水木街を品よく飾りけり





主催者吟



レジかごに風に吹かれて桜かな

ハーモニカ路地裏で聞く早春賦

廃屋にチューリップ咲く赤黄白

波止まず無量光院つばき散る

春雨や店一杯にチョコ匂う





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