渡辺さんの俳句傑作選






2014年 6月の俳句





仏滅や蜥蜴のタトゥーつけて出る
                      最近は刺青をタトゥーと呼んでいる。
                    なんだか刺青のイメージが変わる。
                         刺青と言えばパッと浮かぶのがやくざ・・・。
               もう少し発想が豊かだと、
                 刺青判官遠山の金さん・・・。
                           これなんか、なかなか刺青をかっこよく見せる。
           パッと片肌脱いで、
              「これを見忘れたか!!」
                  なんて啖呵を切ってるところは、
         爽快感がある。
                         が、しかしこれがやくざ映画になってくると、
        ジトーっとした、
                      なんとも言えない重苦しさが出てくる。
                              背中全体の入れ墨が映画の画面いっぱいに映ると、
                 思わずのけぞりそうになる・・・。
                        ロシアの二人組のかわいこちゃんタレントに
                      タトゥーとかいう二人組の歌手になると、
                          これがグッと愛らしさのレベルが上がってくる。
                      タトゥーのイメージがガラッと変わるのだ。
                          ただこの方面は当方の守備範囲を超えるので、
            深くは追及しない・・・。
                      仏滅に蜥蜴のタトゥーをくっつけて外出。
                         これはこのタトゥーを付けたところを見た人の、
                  どんな反応を予測してるのか・・・。
                        「可愛いね」なんて一言を予定してるのかな。
             それはどう見てもない・・・。
             しかも仏滅の日の反応で、
                    可愛いレベルの反応は期待できない。
                      当然ながらやくざにも見られそうにない。
                        なんだか場違いなおじさんで終りそうだ・・・。
         そうだろうなぁ・・・。

 






外干しのGパン上る蜥蜴かな
               
         今年の梅雨はなんだかおかしな梅雨だ。
            夕立がやたらと多い、
         それだけでなく、
                         雹もこれが日本かというくらい降り注いだ。
                      道路にうずたかく積もった雹の塊から、
                            冷たさゆえの煙が立ち上ってる風景というのは、
                   シベリアじゃないんだから・・・と、
                            つい一言突っ込みを入れたくなるような光景だ。
              シトシト降る細い雨・・・。
                永井荷風を思わせるような、
                  情緒のある梅雨はもうない・・・。
                         梅雨もシトシト降る細い雨の中を歩いても、
                 カフェの窓越しから眺めても、
                          なかなか日本らしい匂いがあるもんだと思う。
             ふっと、梅雨の晴れ間。
                   久しぶりの太陽で何をしようかと、
            思いを巡らせるのも、
                           日本人のメンタリティーには欠かせない感性だ。
                      洗濯物をいち早く外に干すというのも、
            一斉に行動されると、
                  これもなかなかいいもんだと思う。
                              ただこれが日本人の右へ習え精神の根源だと思うと、
           少し嫌になるね・・・。
                         まあ、これは大袈裟というものかもしれない。
                    干したGぱんに蜥蜴が登っていくのを、
                   眺めてるというものはrたから見ると、
                 微妙な雰囲気があると思う・・・。
             穿いてるGパンに蜥蜴が、
                         よじ登ってるわけじゃないからまだいいけど・・・。
                Gパンと蜥蜴のとりあわせ・・・。
                ひと昔前のカタルシス・・・かな。








梅雨冷えやサプリメントを追加する
                              今年の春の段階での日本の夏の長期予報。
    「冷夏」
                            エルニーニョが出現しそうだということでの予報。
                               しかし、直近の予報では普通の夏になるでしょう・・・。
                                  去年の夏があまりにもひどい猛暑になったということもあり、
             天気予報もなんとなく、
                      気象予報士自らの願望が入り混じった、
                長期予報になった気がする。
                まあ、慰められた気はしたが、
         半面ほんとかな?
                         という懐疑心も大いに沸き起こったわけです。
                        平年並みの夏というふうに言い換えられて、
                 やはりとなんだか納得したり・・・。
                 それにしても梅雨に入って7月。
                    6月から気温の低い状態が続いてる。
               去年は梅雨明けが7月の頭。
                   そこから猛暑日が延々と続いた・・・。
                    ほとんど無間地獄のような夏になった。
                 それから今年のこの状態を思うと、
                  その極端さがクローズアップされる。
                なんとなくこういう天気になると、
                        元気でいる自分というのを認めたくなくなって、
           なんか気持ちの底から、
              いまいちの気分だなぁ・・・と、
                  自ら鬱気分に押し込んでしまう・・・。
            薬まではいきたくないが、
                 サプリメントには手を出したい・・・。
                          なんとなく自己防衛をしつつ気分を低く見積もる。
                     こういう時ってサプリメントが一番と言える。
                まあ、効く効かないを度外視して、
                     まず飲んで気分を納得させることができる。
                なんだかなぁ・・という気はするが。








夕暮れのステンドグラス雹叩く
                    ステンドグラスと言えば教会かな。
                               夕日を浴びるステンドグラスは神秘的な佇まいです。
                 天上界を彷彿とさせますね。
                そこに俄かに雹が叩く・・・。
                        なんとなく夢見心地をいきなり叩き壊す。
           いわゆる無粋者。
                   雹がばらばら叩く音というのは、
              節分の豆まきと一緒で、
                    追い立てられるような響きがある。
                        ステンドグラスという天上界をあらわす、
                  色彩の中に身を置いてるのは、
                    ダメだという悪人がいるんですね。
               容赦なく追い立てると・・・。
                    地獄の現世に引き戻すんですよね。
                           そういう趣味を持ってるのが雹というものです。
                                ステンドグラスに対しての雹という位置づけですからね。
                            ところ変われば雹の評価も変わるというもの・・・。
                              でも、街の道路を塞ぐように降り積もった雹を見ると、
                             ところ変わっても大して変わらない評価だなぁ・・・、
          と、思う次第です。
                   うっとりと眺めてるステンドグラス。
                   それはダメだと叱るように叩く雹。
                    やはり現世でのいい気分というのは、
                  なかなか続けさせてくれないね。
                        なんだか書きながら寂しくなってきた・・・。








日盛りや目指す出光美術館
                        出光美術館という固定名詞が出てくると、
                            どんな特集をやってるんだろうとまず考えてしまう。
                                なんか見逃してる特集が組まれてるんじゃないかと・・・。
                            故宮博物館展の翡翠の白菜は東京都美術館だ。
                出光美術館はなんだろう・・・。
                  こういう名前が出てこなければ、
                 まず思い出すこともないのだが、
              目指すということになると、
                         なんか自分の意識が抜けてるんじゃないかと、
              なんか勘ぐるんですな・・・。
               何をやってるのかが分かると、
             なんだそんなことかと・・・、
                           ということになるのがオチになることが多々ある。
                 人間というのは不思議なもんで、
                            相手が知っていて自分が知らない解答というのは、
          いやに気になる・・・。
                       しかし、故宮博物館展の翡翠の白菜でも、
               やってることが分かっていると、
                 なんとなくそれで終ってしまう・・・。
                 わざわざ出かけはしないのだ・・・。
               解答が分かってしまっていると、
                 半分の興味はそがれるんだと思う。
                日盛りに目指す出光美術館・・・。
                       分かっていてもなんだろうと思ってしまう・・・。
              解答を聞いて興味をなくすか、
                  なにも聞かないでなんだろうという、
          もやもやを残すか・・・。
                    この辺はほとんど性格なんだろうな・・・。
       自分の性格?・・・
                          聞かないで意識の中でうやむやになるまで待つ・・・






句会員の句


入梅や漬け時迫る南高梅

雨降りてガクアジサイの競い咲き

夕暮れの気分そぐわずドクダミ草


患うと友より知らせ梅雨の雲




主催者吟



虫襲う蜘蛛の素早さ梅雨晴れて

草叢の欠けし石仏蛙鳴く

泣き声も混ぜてざんざの夕立かな

二階から傘目で追いぬ梅雨寒し

ギターの音重く響きて梅雨深し





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