渡辺さんの俳句傑作選
4月の俳句
山笑う 二段ベッドの 姉妹かな
冬の間、葉を落とし骨組みだけになって寒さを越えて、
暖かくなって緑の葉を出して勢いをつける山。
日に日にその緑は濃くなっていく、
山が右に左に踊っているようだ。
この時期の山は、生命力の爆発だ!!
いま二段ベットの上と下で寝息をたてている幼い姉妹、
このくらいの子供には、
山が、まさに新緑に萌える勢いと同じ,
生命力がある。
これまでと、これからの人間が同じ場所にいる。
なんとも複雑ですな。
春昼や ガラス張りなる ネットカフェ
インターネットがくまなく普及して、
パソコンを置いてコーヒーを飲みながらという喫茶店も出てきた。
春の日を受けてガラス張りの店内を見ると、
若い連中を中心に結構人が入っている。
しかし、インターネットで個人情報も取れる昨今、
ガラス張りなのはお店ばかりでもなく、
覗いている自分も中の人もなんの区別もなく、
結局、どこからでも全部見られてしまってるんだろうな。
政治家だけが太古の昔から今も、
不透明なガラス張りの中じゃないかな。
フレンチも イタリアンもよし 二度童子
人間、子供の時というのはスパゲッティーを始めとして
イタリア系の料理が好きなものだ。
ファミリーレストランでもイタリア料理の和風というのが結構ある。
子供も長ずるに及んで、
いろいろな味に親しんでいくものです。
フランス料理は高級なものの一つでしょう。
歳を重ねてボケるころには、
世界各国の料理がすべてokになっていて、
舌は贅沢になっているもんですね。
ボケてしまえばどんな味でも同じ事か・・・・・
春の塵 クレオパトラの 鼻の先
今年は例年の数十倍の花粉が飛ぶという予想があった。
しかし、3月の前半はわりと軽かった。
このままでいけるのかと思ったら、甘い!
中盤過ぎから花粉がモロに降り注いだ。
目には見えないが、鼻がムズムズする具合で分かる、
もう鼻は花粉を感知してすぐに反応する。
すばやいのだ!!
クレオパトラくらい高いの鼻の先はどれほどの感知能力だろう・・・・
ツンととんがっている鼻先は感知すると、
みるみる赤くなって回りのものに知らせるのだろうか、
くしゃみした時に鼻水が、
とんがって少し下向きの先にひっかかることはないのだろうか・・・・
そんな余計なことが気になる花粉症状のひどい時でした。
愛猫の 捜索願い 菜種梅雨
冬型の天気図が崩れて、
周期的に雨が降るようになってきた。
空気が湿ってきて重くなる。
その空気の重さの具合で天気の移り変わりが分かってくる。
空気が軽くなってくると明日の天気が晴れということになる、
そういう日がポコッと一日あると、
わが愛猫も雨ばかり眺めていることに飽きたのか、
外に飛び出していく、
まあ、猫とはいえ空気が軽くなれば、
さすがに気分がいいんだろうな、
帰ってこない・・・・・
飼い主としては捜索のビラを電柱に貼りに行くわけです。
亀甲の 古墳の上の 花見かな
お花見という行事がいつごろからあるのか分からないが、
桜の花の満開の下で一杯飲みながら騒ぐというのは、
なかなかいい行事だと思う!
桜は三日で散っていくはかなさだが、
その一瞬の隙間に飲めや歌えやの大騒ぎをする、
日本人らしい風習というところだろう。
古墳だといわれるところで派手に花見を挙行すれば、
岩戸の前で大騒ぎをしている神々も、
一瞬静まり返って全員こちらに振り返るだろう、
振り返った後、顔を見合わせて、
あの連中は何だ?と討論が始まりそうだ。
結論は何なんだろうなー・・・・・。
ボケッとした春の陽気の中での意味もない瞑想だ。
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