渡辺さんの俳句傑作選










9月の俳句





飾り文字 メールで送る 生身玉
                敬老の日が近くなってくる。
                              敬老の日の意味というのは、そもそも老人を敬い、
                                   しかし、てその人生に静かに耳を傾けるということらしい。
         若き日・・・・・、
                そんな気分はまったく無く、
                         学校が休みになることだけがうれしかった。
                                         しかし、いま自分が敬老まではいかない微妙な年齢になってくると、
                           未来と過去を同時に見ることが出来る・・・・・。
                            これがもう少し敬老の日が身近になってくると、
                  過去のことは随時忘れてゆき、
                                バラ色の部分だけを思い出すようになるだろう・・・・・。
                     ようするに、幸せになっていくのだ。
                           そして、さらに先のことは考えなくなるものだ。
                                 お年寄りに特別飾った文字でメールを送るべきか・・・・・
                          相手は生き仏になるくらいの年齢の人でも、
             文字が特別になると、
                            ようやく仏界三丁目に来たかと気がつくらしい。
                                  25歳から歳を取ってると思っていないから当然か・・・・・。







駅前の 女神の像に 驟雨かな

            
猛暑の8月が過ぎて、
                         9月にはいると朝晩の風も少し涼しくなる。
                            しかし、今年の9月は始まって早々選挙がある。
               元議員の方たちの首筋は、
                         日々の気温以上に涼しいのかもしれない。
                            毎日、駅前に選挙カーを止めて演説をしている、
                                  声涙くだる演説に、聞いている人の顔つきも真剣になって、
                             一斉にその場の空気が止まった、とたんに・・・・・、
            夏の雨が降ってくる。
                                    こういう時というのは、大体そういうシチュエーションが多い。
                    そして、その向こうには祈るような、
                          奥方が、女神の像のように立っていたりする。
                        当選するように祈っているのだろう・・・・・。
                            いや・・・・落ちて普通の人になってもらいたいと、
                        実は、密かに思ってるかもしれない・・・・・。






震災の 避難地図見て 鰯雲
                  
巨大地震が来るぞ来るぞ!!
                  と、日本中が注目をしており、
                                 ついにNHKテレビでも全国的にこの話をあおっている。
         つい最近まで、
                      北朝鮮方ミサイルが来るぞ来るぞと、
             言っていたはずだが、
                   その会話にみんな飽きてくると、
             次がしっかり出てくる。
                            やっぱり、視聴率が気になるんだろうな・・・・・。
                         テレビ朝日のように北朝鮮のことだけで、
                     半年は出来ないということだろう、
                     フジテレビも同じよなものか・・・・・。
                巨大地震の話というのは、
                            消えてはまた出てくるミニ政党のようなもので、
                   昔の社会党もいまや身に政党だ
                時期が来ると、また消えて、
                そしてまた出てくる・・・・・。
              しかし、そんな中でも、
                                     もしかしたらホントに来るかもしれないという気分があるから、
                              避難地図はこういう時にしっかり確認したりする。
                   すぐ忘れるくせにである・・・・・。
                                    防災の日があって、空にはなんとなく鰯雲も現れるころだ。






新涼や 街に薬屋 あふれをり

             梅雨時から始まって、
                      8月の猛暑を潜り抜けてくるころには、
                         世の中全体政治家意外はグッタリしてくる。
                   朝晩ちょっとす涼しい風が吹くと、
                   そのちょっとした冷気に誘われて、
                     体中のくたびれてきている各部署が、
                  ソロリソロリと挙手をする・・・・・。
                 「このころになると朝の挨拶が、
                         体調のよろしくないところの出し合いになる。
                          このくらいになると先に出すものがなくなると、
          ただ聞き役になる、
            相手は声も高らかに、
                         あっちがどうも、こっちがどうもと語り続ける。
                    まあ、あいまいに笑って聞いている。
                              しかし、語り合いが終わるとそれぞれ街に繰り出し、
                     通りすがりの薬局に一斉に飛び込む。
                    話に出た薬を手にとって眺めるのだ。
                          上下左右、細かい品書きから何からくまなくだ。
                                     こういう人種が2007年から大量に世の中に溢れるらしい・・・・・。
                     ここから薬学部を目指す若者が増え、
                          ドラッグストアもコンビニなみに増えるだろう。






天高し 仏語の生徒 募るビラ

                            
猛暑の夏にふやけて思考力を失った脳みそに、
                          9月に入って弱冠涼しい風が吹き始めると、
             少しはシャキっとして、
              こんなことではダメだ!
                       と、自分を戒める言葉が聞こえてくる。
                            そんな声が響き超えてくる回数が増えてくると、
                                      タイミングよく新聞に、通信教育の案内のチラシなど入ってくる。
                               こういう時はなんとなくいつもより熱心に目を通す、
                 なんか興味が出てくるのだ。
                         そして外国語専門学校のチラシを駅前で、
                           アルバイトの若い子たちが熱心に配っている。
                            講師の外国の人が直接配っていることもある。
                         そんな時は、本気でやってみたいと思う、
                  英語なんてほとんど俗語だ!。
                              そんなことを考えてフランス語があるかどうか探す。
                 チラシの中に確認できると、
                        大体そこまでで、その後は忘れてしまう。
                            毎年繰り返されてることのように思うが・・・・・。





ビートルズ 鼻歌にして 九月かな
                            猛暑でグッタリとして仕事の行き帰り・・・・・、
                          こんなときは、ほとんど誰もやる気はなくて、
                             ボロが出ない程度をこなそうとしているもんだが、
                           8月が終わるとなんとなく真剣味が出てくる。
                                    このなんとなく景気が良くなったという政府発表のコメントに、
                 元気になる人もいるわけだ。 
                          しかし、こういう発表の根拠というのは、
                           意外に100円ショップで無駄使いをする人が、
                                 ここにきて一気に増えたということが根拠だったりする。
                  当てにならないものではない、
                          しかし、タイミングよく発表するものだから、
               ついついノセられてしまう。
                   朝晩ちょっと涼しい風が吹けば、
                                   ビートルズのア・ハードデイズ・ナイトかなんかを鼻歌にして、
                足早に駅に向かったりする。
                                   こういうところが団塊の世代なんだろうな・・・・やはり・・・・。






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