渡辺さんの俳句傑作選


2019年 8月の俳句


余命宣告とりあえず冷たい麦茶

残りの命の長さを宣告される。
どう言っていいのかわからないような心境がそこにある。
知り合いの奥さんが癌であることを宣告されたことがある。
その人の話だと、がんと宣告された後、
奥さんに何を言っても反応がなくなった・・・。
医者の言うことにも反応しない。
旦那が代わりに医者の話を聞いたという。
あとから奥さんにその時の話をすると、
まったく覚えていないという。
医者に行ったところまでしか記憶がないという。
どうも医者の前でがんを言われた瞬間に、
気絶していたようだ、という話を聞いた。
座ったままで気を失っていたというか・・・。
日ごろあの世に行くことは、
覚悟していると回りに常日頃言っている。
全然かまわないと結構達観したように言っている。
しかし、実際その場に立たされたらどうなるか、
おおよそ自信がない。
自信がないくせに人に話をするときは、
覚悟はできていると自信あり体で言ったりしている。
内心なんだか可笑しい気もする。
実際にその場に立たされないとわからない。
元気な時の言葉というのはあてにはならないのだ。
父親は海軍航空隊にいて終戦。
常に死と隣り合わせで戦っていたわけだが、
死ぬことについて語ったことは一度もない。
結局、自身が余命少ない状態に陥っても、
最後まで何も言わなかった。
その内心というのはわからない。
毎日、自分を含めて死と向かい合っていた生活。
平時に戻っても語る言葉がなかったかもしれない。
なんだか迂闊に聞けない雰囲気はあった。
ここまでくると死について、
いろいろなことが頭をめぐるが、
結局なんの自信もない・・・。
悄然として受け入れるのか、
泣き崩れるのか・・・。
冷たい麦茶が喉を通るかなぁ・・・。





日盛りやATMに疎まれる


10月から消費税10パーセント。
カード決済だと少し怪訝されるんですよ。
なんだかよくわからない。
大店と小店で違うらしい。
昭和の比較的初期生まれには、
どうもカード世界のことはよくわからない。
100円札の時代の人間には、
カードでと言われてもなかなか・・・。
なんだかカードで決済すると手ごたえが何もない。
これがなんだか空虚な感じがするんですな。
一万円札を出したらおつりがくる。
この手ごたえに慣れてしまってると、
カードで支払っても何の手ごたえもない。
なんだか物足りないわけですよ。
若い連中に聞くと、
おつりがジャラジャラ来るほうが、
より鬱陶しいという答え。
なんだか「そうですか・・・」って感じ。
銀行のATMもなかなか手強い。
ひとつひとつキイを押して画面を進めるのだが、
金額を一桁間違えたりするともうパニック!
どう直していいのか分からない。
銀行の人を呼ぶのもなんだか回りが気になってできない。
意を決して初期画面に戻して・・・またって感じ。
下手すると三回くらいこの行為を繰り返したりする。
娘に言うと、あきれたような顔をされて、
「簡単に直せるよ」の一言。
癪にさわってそれ以上突っ込まない。
ここで聞かないから進歩もしないんですね・・・。
自分の親の時もそうだったのかな。
電気製品の一つを親に説明するにも面倒だったり・・・。
ただこの時と違うのは今のように猛暑じゃなかった。
もっと気候が穏やかだった。
そんなこと言ってなんなんだということだが、
世の中はすべて変わってきた・・・。
ATMに疎まれても回りの人に疎まれないように・・・。
なんだかなぁ・・・(*ノωノ)





終戦日100円店で品漁る


終戦の日というのは毎年来ますね。
至極当然のように来るんですね。
自分自身が生まれた時にはもうあったんですね。
由緒正しい悲しい記念日ですね。
日本が破滅する前に、
なんとか終わってよかったなぁ・・・とは思います。
まあ、80パーセントは破滅してたとは思いますが・・・。
ノー天気な軍人が始めた戦争。
軍人は政治家じゃないから、
交渉事というのはできないし、
やる気もないんですね。
それまでの大戦争に勝ったからという、
なんとも薄っぺらな記憶が支配してしまった結果かな。
軍人が前に出てきて成功した国ってそうはない。
まあ、アメリカとの戦争についても、
軍人が前に出てきて始まった。
勝てる気もしなかったみたいですが、
まあ、やっちゃえという軽いノリで始めちゃった。
相当深刻に考えて軽く始めたんですね。
そういう戦争に勝つはずもないし、
アメリカという国を知っている軍人も、
少なかったのかな。
知ってる人たちは反対したみたいだけど、
所詮少数派だから駄目だね。
戦争前夜は緊迫した状態だったみたいです。
鍋、釜、かごなど売っていたという、
おばあさんの話を聞いたことがありますが、
とにかく緊迫してるから、
飛ぶように売れたといってました。
仕入れても即日完売ってな状態だったようです。
ご近所も緊迫感がすごかったと言っていた。
戦争が始まるかもしれないといえばそうなりますよね。
今は、消費税も上がり庶民の生活は厳しさを増している。
消費税10パーセント前夜。
なんとなく緊迫感が出てきますよね。
できるだけ買っておいたほうがいい。
まあ、そういう頭になるんですね。
なんとか買わなくちゃ!!
と、飛び込んでみるのが100円ショップ。
100円ショップって100円だから安いから、
あまり影響を受けないと考えてはダメ。
意外とたくさん買うから10パーセントが結構大きい。
1000円買えば1100円ですよ。
1080円とは明らかに違います。
ジワジワジワっとその負担が重くなっていくんですね。
五右衛門の釜茹でと同じです。
ジワジワジワと熱くしていくから、
気が付くと火傷をしている。
なかなか大変な世の中になってきてるんですけど・・・。





酷暑かな染色体が歪んでる

今年の夏も厚かった。
7月29日に梅雨明けしたとたん34度の気温になった。
そこからもう仁義なき高温が続く。
これでもかっていう感じの気温の上がり方だ。
地獄の窯の中で茹でられてる感じ・・・。
人間の自然破壊で誕生したゴジラ。
ゴジラで警告を発したのに、
それでも進んだ自然破壊。
現在アマゾンの密林火災が話題になっている。
もう四国くらいの面積が燃えてしまったようだ。
アマゾン森林は酸素を作り出すのに、
重要な働きをしているということだ。
ブラジルの大統領が先頭に立って、
アマゾンを畑に変えるよう動いていたようだ。
焼き畑が基本だから6か所くらいで、
同時に火をつけたのが、
今回の火事の原因だといっていた。
地球上の酸素の量が減ってしまうのではないか、
人間のエゴというか国のエゴというか、
地球を滅ばしても気にしないという、
思い切りのいいスタンスがすごい。
サンマもどんどん獲れなくなっているらしい。
某国がお構いなく獲っているのも原因で、
しかも海水温の上昇で、
サンマが日本に寄り付かないようだ。
まあ、サンマもそのうち高級魚に様変わりじゃない。
直近ではウナギが高級魚の仲間入りしたじゃないですか・・・。
その昔ニシンも獲るだけ獲ったらいなくなってしまった。
サンマのもその過程をたどりそうだ。
その次はイワシかな。
人間が魚を食べられなくなる日も、
そう遠くないのかも・・・。
寿司を食べた日を懐かしく語る日が近いのかな。
暑すぎて次第に人間の染色体も歪んで、
新しい人類が登場するのかも・・・。
新しい人類が地球を救うかもね。
新しい人類が登場する前に、
あの世に行くというのが残念な気がする・・・(+_+))





夏つばめ横須賀で食うカレーかな

横須賀で食うカレーというと、
名物海軍カレーかな。
このカレーはその昔海軍で、
食べられていたという話を聞いたことがある。
横須賀と言えば海軍の基地があったところ。
その時代からカレーはおいしかったのかな。
陸軍にはそういうネーミングの食べ物がないな。
陸軍という風体がそういうネーミングを許さない感じ。
なんだか洒落っ気もなにもなかった気がする。
まあ、地元のPRに使ってる気がしないでもないけど・・・。
レトルトカレーで売り出してもいるらしい。
わが父親は海軍だったけど、
こういうカレーって知ってたのかな。
まあ、知っていたとは思えないけど・・・。
横浜鎮守府としてその昔の軍港だった。
今は、戦争に負けちゃったから、
アメリカの第七艦隊の基地になってる。
以前は人口も40万人以上いたみたいだけど、
今は高齢化が進んでるのかどうか、
人口も40万人を切ってるようだ。
やはり「港のヨウコ横浜」なんかが、
流行った頃がいい時代だったのかも・・・。
それにしてもこの歌が紅白で歌われたとき、
その違和感がすごかった。
なんかNHK紅白歌合戦は、
藤山一郎なんですよイメージが・・・。
そう娘に言ってみると、
「それだれ?」といきなりの言葉。
やはり昭和の人間と平成の人間とのギャップは大きい。
これが令和になると、
さらにギャップは広がるんだろうなぁ・・・。
なんだか両親を思い出す。
こちらが紅白で舟木一夫なんか聞いてると、
「なんだかわからん」とよく言っていた。
それがそのまま今その子に降りかかっている。
あれ?カレーの話だっけ・・・。
なんだか分け分からなくなるのも、
昭和人なんですな・・・('◇')ゞ




主催者吟


焼き鳥の匂いの沁みる夏の夕

足先に蝉落ち風の変わる宵

退任とはがきが届き夏終わる

腹痛の元をたどればかき氷

前線の伸びて伸びてと秋の来ぬ




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