渡辺さんの俳句傑作選


2019年 11月の俳句


小春日のミシュラン三ツ星レストラン

新しいミシュランガイドが発行されると、
ニュースにもなりワイドショーなどは待ってましたとばかり
どこのチャンネルのワイドショーでも取り上げる。
なんとも右に習えの日本のチャンネルの不気味さがよく出る話だ。
ミシュランガイドに載っているお店の一番多いのが、
なんと東京ということだ。
気合が入ってると言えばそういうことなんだろうけど、
日本人は外ものに弱いということもよく表している。
ミシュランガイドに乗ることが、
食の道での金メダルということになりそうだ。
ほんとにそんなに美味しいのかと思うが、
ミシュランという御老公の印籠が刷り込まれると、
とにかくおいしいと舌が反応するんだろうな。
目刺しの頭も信心からというのと似ている。
ミシュランガイドに載っているというだけで、
一味違った感覚になるんですよね。
ミシュランという一言を無しで同じ店に入ったとする。
同じように感激した味わいになるのかな・・・。
そういうとなんだか睨まれそうですが・・・。
韓国のお店がミシュランに載せないでほしいと、
言ったのに載せられてしまったと、
裁判を起こしたそうだ。
載せないでくれと言ってるのに、
載せてしまうというのもかなり強引だし、
ミシュラン側の思い上がりがあるんじゃないか。
載せてやったんだみたいな・・・。
訴えるまでいくかどうかはどうなんだろうとも思うが、
なかなかこのバトルは面白いね。
どう決着がつくのか最後まで知りたいという欲求はあるな。
ミシュランには載りにくいのが郷土料理のお店。
地元産のこんにゃくの田楽のお店なんて絶対に載らないだろう。
これが結構絶品の味わいだったりする。
三ツ星どころか星なしのお店だけど、
こういう地元のお店というのは、
まずミシュランガイドには載らない。
ミシュランが相手にしてるのは洋食だけなのかな・・・。
まあ、いろいろ書いても、
結局ミシュラン御用達の三ツ星レストランで食事なんって、
おおよそないかな。
金額も理由の一つになるかもしれないけど、
さして味わい自体がよくわからないかも・・・(/ω\)





虎落笛免許返上いたします


最近は高齢ドライバーの事故のニュースが、
毎日のようにワイドショーに取り上げられている。
以前はこれほど頻繁に取り上げられていたかなとも思う。
やはり池袋の母子の事故が、
この状況の出発点になってるのかもしれない。
「どうしたの?」と聞かれて、
「どうしたんだろう・・・」と答えたという。
この短い会話に、
夢の中に行ってしまった意識の状態がわかる。
年齢を考えるとなにがどうなったかの判断も、
いまいちはっきりしてないのかも・・・。
言われてるからそうなのかなという感じ・・・。
自分が何をしたのかが、
はっきり認識できないんじゃないかな。
テレビに映る姿を見ているとなんだかそう思えるね。
いきなり殺されちゃったほうはどうにもならない悲劇となる。
罪を償ってと言っても年齢を考えると、
厳罰に処したところで、
何がどうなるかって気がするんですね・・・。
虎落笛が発する音を想像すると、
なんとも寂しいくなる話ではある。
つい最近高速道路を逆走して、
正面衝突した車のニュースが話題になっていた。
追突されたほうはとりあえず命は助かったからよかった、
しかし、この先後遺症が残る可能性は大であることを考えると、
不運とだけでは言えないものがあるね。
ぶつけたほうはあの世ってことだけど、
相手が助かってよかったのかも・・・。
相手が死んで自分が息のかるような状況になってしまうと、
それこそ地獄の日々になる・・・。
それにしても映像で見ると軽快に100キロ近くスピードを出して、
高速道路を逆走してるから何ともすごい!!
運転してる本人は結構いい気分で走ってたのかも・・・。
いきなりぶつかってあの世の状況に、
「なんでだ?」って思ってるかも。
返上できるタイミングは逃さないほうがいいと思うね。
それでも車がないと生活できないという場所が、
けっこうあることも確かで、
その状態をどうするのかという問題がある。
返納、返納と言ってる人たちは、
このことをどう解決していこうと思ってるんだろう。
返納言えば、唇寒し秋の風・・・、
って感じがするね。
車がないと生活できないなんて明日は自分かも((+_+))




悟りなど一つもなくて隙間風


人間50年下天のうちをくらぶれば夢幻のごとくなり。
織田信長が好んで舞った幸若舞の一節。
信長の時代は50年生きることも大変だったわけでね。
信長自体は49年であの世。
一年足らなかったのは惜しいという感じ・・・。
今の時代の男の平均年齢も80歳を超えた。
古希なんて言っても珍しくもない感じ・・・。
人間いくつになっても悟りを開くって大変なんですね。
弘法大師やいろんなえらいお坊さんがいますが、
皆さん悟りを開いてお寺を建立したりしてるんですよね。
大きくしていったのは後世の人たちかもしれないけど・・・。
空海、最澄なんてあの時代に大陸に渡って仏教の勉強して、
戻ってきてるんですね。
いまだったら二人乗りのボートで大島あたりまでいくような、
大冒険だったんじゃないですかね。
そんな危険を乗り越えると、
なんらかの悟りが開けてくるんでしょうかね。
ほんと選ばれた人って気がします。
ほとんどの人は特に選ばれるわけではないので、
人類的な悟りってのは無理っぽいですね。
今お金が足りないのはなぜか?
くらいの悟りは開けてるかもしれないが、
人に対して、あーだこーだの悟りはおおよそ無理だな・・・。
日々世迷言が浮かんでは消えて、早うん十年。
その間、悟りらしい悟りは浮かばなかった。
結局あの世に行くまで現世では、
ほとんどの人は何も分からずに逝くわけですよ。
あの世に行っても悟りっていうのは無理かもしれない。
まあ、だから生きていけるのかもしれないってことはあるのかも・・・。
余計な悟りなんてものが分かってしまったら、
凡人はそこでおしまいなのかもしれない。
選ばれたわけではない人は、
モヤモヤっとしながらいくのが、
結構いいのかもしれないですよ・・・。
これが悟りかな・・・なんちゃって(*ノωノ)





告知受けなにはともあれ牡丹鍋

告知なんて言葉を聞くとパッとひらめくのが、
がん告知・・・。
実際には告知という言葉は幅広く使われていて、
人員整理の告知とか、
一方的にフラられる言葉の告知とか。
まあ、いろいろあるわけですよ。
しかし、がんがこれだけ国民に広がると、
告知という言葉が癌一つに集約されてしまった感はある。
がん告知というので一つの単語になってしまっている。
絵画的に見れば受胎告知なんてのもあるんですけどね。
キリスト教の絵画だからあまり広まりはしないですけど・・・。
告知の後の牡丹鍋っていうのが、
なんだか興味をひきますね。
イノシシの肉をベースにした鍋料理ですよ。
つい最近イノシシが都内に出てきたりして、
ニュースになったりしてますよね。
台風の影響で隠れ家が崩壊してしまったりして、
新たな隠れ家を探して、
人里に出没してきてるようですね。
台風もイノシシまで巻き込んでいたんですね。
その捕り物がテレビでやってましたよ。
けっこう大きなイノシシで、
体当たりされたら大けが必死って感じですね。
その大きさを見ていると、
鍋にすると何人分になるかな・・・。
などと不遜なことを考えたりする。
まあ、牡丹鍋なんてそう簡単には食べられないから、
想像だけですけどね。
なにはともあれ・・・っていうところを見ると、
牡丹鍋のうまみを体験してるんでしょうな。
一気に作句した後に、
なんだか唇をなめてる雰囲気が伝わってきますよ(*^^)v
鹿鍋とか珍しい鍋はありますが、
牡丹鍋という変わり名をもつイノシシ・・・。
食べたことのない身としては、
どういう味わいなんだろうなぁ・・・。
告知の後にまず思いだす味わいを、
経験してみたいなぁ・・・。





大枯野ふと口ずさむオーソレミオ

オーソレミオと言えばイタリア民謡。
イタリアはなかなかいいですよ。
なんか明るい空の色がまずいいよね。
こういう空を見ていると、
イタリア民謡の明るさとテナーがよく似合う。
ドイツだとバリトンって感じがしますが、
イタリアといえばやはりテナーですよ。
大枯野の真ん中でオーソレミオを口ずさむ・・・。
なんだか寂しい風景の筆頭のところで明るいイタリア民謡。
まだまだ生きていくことに色気をしっかり持ってますね。
松尾芭蕉は枯野の夢の中でサヨナラしていきましたからね。
そこでオーソレミオを口ずさむというのは、
まだまだみずみずしい・・・。
枯野をまた緑に開拓しようという意気込みを感じますね。
古希あたりになってくるとだいたい枯れてきて、
みずみずしい緑と自分はおおよそ結びつかない。
と、思うのは間違いかもしれない。
加藤茶みたいに45歳離れても、
いい雰囲気で生活できている人もいるからね。
大枯野で超明るいオーソレミオを歌うくらいだと、
まだまだっていうことなんだろうけど、
自分には無理だな・・・。
俳句の世界で無理だなはないんだと思うけど、
大枯野に佇む自分を想像すると、
そこでもう葬送行進曲を口ずさむことを想像してしまう。
ベートーヴェンの交響曲第三番「英雄」第二楽章・・・。
ベートーヴェンを引っ張り出せるくらい高尚な人間でもないけど、
あの重苦しさと暗さは大枯野に佇む自分にピッタリ。
イタリアで実際ギターを抱えたテナーが、
レストランでイタリア民謡を歌っていたが、
抜けるようなイタリアの空にぴったりだった。
枯野で口ずさむ自分を、
どうしても想像できない雰囲気だった・・・。
これから年の瀬。
大枯野に放り出されるんですよ。
誰にとは言わないですが・・・(/ω\)




主催者吟


歯の治療うなるドリルや秋の雷

晩秋や覚めて戸惑う闇深し

路地裏の下宿訪ねて秋思かな

一人飯たくあん響き枯れ葉落つ

兄と我咳は父似とカラス鳴く




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