渡辺さんの俳句傑作選










5月の俳句




初蝶の 迷走に似て わが軌跡

                         
5月に飛ぶ白く頼りないちょうちょ・・・・・
                               初々しいのだが見ていると、頼りなげで痛々しい
                                       目標物もはっきりしないのか、あっちへ行ったりこっちへ来たり
                軌跡が定まらない・・・・・
                             その昔の自分が見えるという感慨ありですね


どの子にも 長所ありけり 葱坊主


            
畑に葱坊主がたくさん出てきた
                     遠目で見ればみな同じように見えるが、しかし
                         一歩二歩と近づいていけば、大きさも色艶もまちまちだ
                         わが子も含めてたくさんの子供たちにまぎれてしまえば
           みな同じように見えるが
                    それぞれこれという長所があるものだと思う


妻よ すっぴんでいるべし 聖五月


          
何事も新鮮に感じる5月
                               こういう空気も樹木の緑も新鮮でさわやかな5月という季節の中にいて
                           妻よ、この季節に中で化粧で隠す前の君のままでいてほしい
                 そんな切なる気分になる5月という季節

                 


君の文字 右肩下がり シクラメン


                                           シクラメンのふわりとした姿を見ているとほのぼのとしてくるわけですが
                                           右肩下がりに文字を書いていく、なつかしの君のイメージにピッタリです
                         見事に咲いているシクラメンを見ていると
                       穏やかな君の横顔が思い出されます






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