渡辺さんの俳句傑作選


2020年 12月の俳句


小春日やジョンレノンからシャイな笑み

ジョン・レノンが暗殺されて、
もうずいぶん時が流れましたね。
ビートルズ時代からソロになっても変わらぬ人気だったと思う。
ビートルズを初めて聞いたのは、
中学生の時だったと思う。
帰りの道すがらにあったレコード店から流れてきた。
曲名は忘れてしまったが、
「なに?これは・・・」と立ち止まったことを覚えている。
結構やかましいサウンドという感じがした。
このころは街に必ずレコード店というのがあって、
よくいろいろな音楽を流していた。
今はもうレコード店というのは姿を消しましたね。
町の音楽文化の発信地という感じがあった。
正月などお年玉を握ってレコード店に行って、
どれを買おうかと一枚一枚ケースから引き抜いては、
「う~~~ん・・・」と考え込んだりした。
その当時はLPだと2500円はした。
EPだと500円くらいだったかな。
A面、B面二曲って感じ・・・。
今じゃちょっと考えられない感じかな。
今は簡単にダウンロードできるからね。
LPなんて大きいから存在感が半端なかった。
結構な曲数入ってるのですが、
自分の目指す曲は、
まあ、その中の2~3曲かな・・・。
それでもレコードが買えるというのはうれしかったのです。
昭和の文化だったですね。
ジョン・レノンは小野ヨーコとくっついてから、
反戦とかいろいろ物議をかもすことが多くなったのかな。
多分気持ちがオープンになったんだと思うな。
結果、暗殺に結びついてしまった・・・。
もう少し長生きしてかるどうしてれば、
ボブ・ディランなみにノーベル賞をもらっていたかも知れない。
ただ左翼的なところも多かったから、
ちょっと無理だったのかな・・・。
まあ、純粋さがあったのかな。
今の若い人たちには若干忘れられてきつつあるのが、
ちょっと悔しい。
ビートルズのメンバで今も名前を聞くのは、
ポール・マッカートニーだけになってしまった。
そういえば日本公演に行ったという人が回りに結構いた・・・。





コロッケは俵の形冬ぬくし


コロッケの形が俵のようだ。
と、言うのは平面で見た場合だろうか、
これだとまあ、俵といえばそう言えなくもない。
これがカニクリームコロッケだと、
ほんとに立体的にコメ俵の感じだ。
カニクリームコロッケがなぜ立体的な形をしてるのか、
いまいち理由が分からない。
ジャガイモコロッケは平面的な形をしている。
小判型といってもいいのかもしれない・・・。
昭和の戦後も30年代は、
コロッケはおやつという位置づけだった。
もちろんご飯のおかずでも出ていたが、
一個5円だったと思うが、
まあ、お店で揚げたてを買って、
子ども仲間と公園で食べたりした。
揚げたてだからかなり熱いわけ、
フーフーいいながら冬の公園で食べたりした。
今羽おおよそそんな光景はないね。
おやつといってもなかなか整っていて、
結構バラエティに富んでいる。
食べながら立ち向かっているのはゲーム・・・。
最近はユニクロの防寒着も良くなっていて、
昭和の30年ころの冬の寒さとは一線画してる。
使い捨てカイロもあったりして・・・。
青っぱな、なんて言葉も死語だね。
今の子はびっくりするくらいきれいだよね。
青っぱななんて子は、まずいないからね。
昭和30年代と今の子たちは別の種族ってことかな。
日本人ということでは同じでも、
感性は全く別って気がする。
コロッケをおやつなんて発想は今はもうないんだろうな。
今のお母さんに言ったところで、
キョトンとされるのがオチだね。
大元からして変わってしまっているってことかな。
なんとなく昭和人は去り行くのみって感じになってきたのかな。





発禁本パラっとめくりダイヤモンドダスト

発禁本なんて言葉はなんとなく刺激がありますな。
戦前だったら共産主義を書いた本なんか即座に発禁。
下手に持っていると特高に逮捕されたりした。
発禁本も危険なにおいが濃厚に漂っていた。
戦後になると左翼思想が大手を振ってくるようになり、
マルクスの資本論なんかを脇に抱えてると、
一目置かれるような感じになってきた。
行き過ぎたのが連合赤軍事件・・・。
左翼運動も最初はなかなか一般人の支持もあったのだが、
だんだん行き過ぎていき、
政党も抑えることができなくなっていった。
そこからあさま山荘事件や、
連合赤軍の凄惨な事件へと行きついてしまった。
ここまでくると一般からは全く相手にされなくなっていた。
オーム事件とちょっと似てるかも・・・。
洗脳されてしまうと正しいの感覚が、
どんどんズレていってしまうわけね。
日活ロマンポルノが全盛のころは、
発禁本といえば過激な性描写ということだった。
そういう裏本が出回っていたと思う。
見つかれば没収ということになるのですが、
普段はカウンターの下に隠しておいて、
お得意さんが来ると出して売る・・・、
なんてことをしていたという話を聞いたことがある。
今やヘアヌードの時代になってきてるから、
カウンターの下になんて本も売れなくなったと思う。
発禁本も時代によって様変わりしていくんですな。
発禁本をパラっとめくりなんて仕草が今あるのかな・・・。
発禁本になるような本が出たという話もあまり聞かない。
そもそも本屋自体がなくなってきて、
発禁本というジャンル自体が果たして今あるのだろうか・・・。
こちらの認識不足なのかな・・・。
今の時代の発禁本というのを見てみたい気がしますな。
結構刺激的なのかな・・・。





暖冬や高速下の日本橋

お江戸日本橋七つ立ち・・・なんて歌がありますね。
江戸時代の日本橋の様子を江戸博物館で見たことがある。
すごいアーチ型でなかなかいい風情がある。
今の日本橋は上に首都高速が通ってしまっていて、
とても風情なんてものはない。
この高速道路を地下に持って行って、
日本橋の上に空を持ってこようという構想があるようだ。
どう見ても今の日本橋には風情というものはない。
空を見上げれば高速道路のコンクリートが見えるのみ。
橋の入り口に日本橋と書いてあるから、
そうなのかなと思うが、
だからなんなのさ・・・っていう感じ。
お江戸日本橋なんて風情はどこにもない。
江戸のころは日本橋は各地へ旅立っていく拠点だった。
今でいう東京駅みたいなもんかな。
以前は東北関係は上野駅、
関西は東京駅っていうのがあった。
今は上野から東京駅が繋がってしまったので、
東京駅が一つの拠点になっている。
東北の農家の次男三男の集団就職が、
到着する駅が上野駅だった。
井沢八郎の「ああ、上野駅」という歌が、
あったのですよ・・・。
すでに遠い過去の歌になってしまいましたが・・・。
日本橋もその昔は出立の拠点だった。
江戸東京博物館に行ってみると、
日本橋の華やかな時代を想像させますね。
日本橋が高速道路下という体たらく・・・。
菊田和夫の「君の名は」で名前を馳せた「数寄屋橋」
これもどこかに消えてしまってますね。
こういう端にまつわる情緒というのは残りませんね。
島倉千代子の歌にある「あれが二重橋」
と歌われる「東京だよおっかさん」
この二重橋は場所が場所だけにしっかり残ってはいる。
歌自体を知ってる人がいなくなっちゃったかも・・・。
橋は残ってるんだけど歌が消えちゃったというパターン・・・。
なかなか難しいもんです・・・。





冬銀河立身出世そっちのけ

銀河といえば「銀河鉄道999」を思い浮かべてしまう。
永遠の命を求めて旅をするという話。
永遠の命があれば出世なんてそっちのけってことにもなるのかな。
銀河というところでは「宇宙戦艦ヤマト」なんて話もある。
これはなかなか感動的な話ではあるのですが、
沈んでる戦艦大和を宇宙船に改造して、
飛ばすという発想がすごい!!
それが意外に荒唐無稽な感じにならないところが、
これまたすごい!!
結構感動的な話になっていて、
いまだに人気があるという。
YouTubeなんかではかなりの数アップされていて、
主題歌もいろいろなバージョンで出てくる。
宇宙での戦いということではあるけど、
結構死人が出たりするのですよ。
これがまた感動的に描かれたりする。
片方では戦争は無残だからいけないという動画が出てきて、
片方では想像の話ではあるが宇宙での戦争替えがかれて、
それがかなりのヒットとなっていまだに残っている。
結構な矛盾ということではありますが、
戦争というのははたから見てるとなかなか勇壮で、
感動を作りやすいんですね。
「銀河鉄道999」は人気はあるのですが、
なんとなく華やかさに欠けるのかもしれない。
いろいろな不条理を描いてはいるのですが、
華々しさに欠けるのかな・・・。
今の時代立身出世なんて言葉はあまり聞かない。
若者にアンケートを取っても、
あまりお偉いさん志望と負いうのは少ないらしい。
まずは危なげなくというのが主流のようです。
そういえば立身出世という言葉を若者から聞いたことがない。
とにかくまずは無難にということなのかな・・・。





主催者吟


冬の街空広々と深呼吸

コロナ禍や路地の社を見つけおく

歳末や妻の背追うてバーゲンへ

ことさらに冷酒沁みる大晦日

冬日差し壁に踊らす指人形



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