渡辺さんの俳句傑作選


2022年 7月の俳句

首筋をストレッチして冷そうめん

値上げラッシュですねぇ・・・。
ファミレスなどに入って、
値段が据え置かれてるメニューを見ると嬉しくなりますね。
所得のあまり上がらない世相の中での値上げ。
昔はこういうインフレの時に、
ダイエーなどの安売りを看板にした、
お店も出たりしたのですが、
今はそんなエネルギーも世の中にはあまりないのかも・・・。
円安でもあるから海外の安いものというのも、
輸入してもダメなんですね。
むしろ高くなってしまったりするわけですよ。
なんだかうつむいてると、
そうめんを食べるのにちょうどいい角度に、
首が収まるようになる。
顔を上げて元気よくは岸田さんだけかも・・・。
経団連のお偉いさんなんかの顔色は、
なぜかすこぶるいいですね。
大企業にはあまり影響がないのかも知れない。
日銀総裁の物価高に耐久力がついてる発言。
どう見ても見てる方向が違う・・・。
値上げラッシュの中でも参院選で、
自民党が大勝するわけだから、
絶対多数は懐に余裕のある層が多いということですね。
値上げにあまり耐えられない層は、
冷そうめんを食べるのに、
ちょうどいい首の角度が固定されるわけですよ。
首も固定されるといけないから、
上下左右動かして、
首の蝶番を柔らかくしておかないといけない。
下手でも首がまっすぐ、
前を向いてるそうに見せないといけない。
そうめんを食べる角度に固定されてはいけない。
冷そうめんが熱いにゅう麺の季節になるころは、
一駅歩いて節約が二駅歩きの節約になってるかも・・・。
今までの出不精が歩く距離を伸ばして、
健康のためにはなるのかも・・・。





失言に慎重になる百日紅


失言という言葉を聴くと、
パッと浮かぶのは政治家・・・。
まあ、そこはまずは置いておいて。
なんだか背筋がムズムズッとしますね。
社会に出てからの今までの人生、
失言の山って感じ・・・。
ここはいい会話ができたな、
なんて記憶はほぼない・・・。
思い出すのはだいたい失言でぞっとしたことばかり。
特に仕事上の失言を思い出すと座り込みたくなります。
なんだか体全体に冷や水が流れ落ちる感覚。
失言の旅に言葉には慎重に、
と、反省するのですが、
すぐにまた余計な失言。
特に危険なのは言った本人が、
気が付かなかったりすること、
後からしっぺ返しが来ても、
なんのことか覚えてないことがほとんど・・・。
こうなると覚えてない分だけ、
どう反省していいのか分からない状態になる。
こうなると失言のもとを手繰り寄せていく作業になる。
失言の元が分からないと反省のしようもない。
強い人間だとそれ自体域にしないと言い切る。
そんなに強い人間でもないと、
なんだか日々グチグチ悩んだりしてる。
失言を気にするか気にしないということで、
人間の軽重を測ったりされると、
これはなんとも辛いところではありますね。
気にしない人を豪胆だと言ったり、
気にする人を軟弱だと言ったり、
人の見方に一喜一憂するわけですよ。
今ぐらいのところに来ると、
失言しようがなにしようが、
どこにも影響も及ぼさない・・・。
いわゆる年寄りの世迷言で、
ひとくくりになるわけですよ。





少年の自己紹介や風薫る

自己紹介というと、
いろいろな場面を思い浮かべますよね。
小学校入学時に自己紹介をしたという記憶はないですが、
中学生になって部活に入ると、
そこでまず自己紹介というんがあった。
昭和の時代の部活というのは、
まあ、上級生の言うことは絶対だったから、
一人一人前に出て自己紹介。
なんだか初めての自己紹介っていう感じで、
口ごもりながら名前を言って、
「頑張ります」みたいなことを言うんですね。
高校生になって運動部なんかに入ると、
自己紹介にも少し自己アピール的なことをしたりする。
それがウケたりすると、
上級生の受けもよくなったり・・・。
どんな時でも初めての世界に入ると、
自分をアピールしなければならない。
学校時代というのは、
そんなときのためのトレーニングなんですね。
器用不器用というのは
どんなときにもあるのですが、
学校時代のトレーニングというのは、
その後の社会に出てからけっこう重要ですよね。
自分が先輩になって、
後輩の自己紹介などを聴いていると、
初々しいなぁ・・・と感じてるんですね。
自分自身も同じような見方をされていたわけですが、
まあ、これは繰り返されていくんですね。
今やそんな初々しさもなく、
自己紹介という機会もほぼなくなり、
人に対しては、
まずまずの対応ができるようになってるんですね。
そこまでいくと大体第社会の一線からは、
ドロップアウトなんですね。
人間自己紹介を通じて社会参加を続けてきて、
初々しい時代からふてぶてしい時代を経験して、
今があるんですね・・・。






入りたき迷路ありけり熱帯夜

今年の梅雨明け後の猛暑は壮絶でしたね。
日本でも40度を記録する場所が複数出た。
なんだか息してるだけで息苦しいさを感じる気温。
それも6月でした・・・。
電力節約の声がテレビから流れるのですが、
クーラーを切れば生きていられるか、
分からないという気分になり、
節約とは言われながら、
結局一日中クーラーをつけている。
電力ひっ迫と言われても熱中症も怖い。
テレビのワイドショーでも、
電力節約と言いながらクーラーをつけて、
みたいな反対のことを言っていた。
これ自体日本の社会の迷路化が進んだと思う。
結局、最悪なことは起こらず今に至る。
とにかく塑像外のことが起きると、
矛盾したようなことが凝りやすいんですね。
今年の猛暑の時ほど、
ポカリスエットを飲んだ年もない。
汗が座っていても出てくるので、
なんとか不足する塩分とか水分を、
補充していかないといけない。
ところが飲み過ぎて、
糖尿病になったという話が出てきた。
なんともはやこれこそ迷走ですよね。
今までにないことが起こると、
一億総迷路に突入という感じになりますね。
それまでの王道が通用しないとなれば、
あちこち進む道を探すことによって、
迷走するんですね。
まあ、今年は今までなかったことが起こってるので、
残り半年、出口のある道があるのかどうか・・・。
想像するのもあまり楽しくない・・・。






アンパンとジャムパン買って敗戦日

終戦の日というのを意識したのがいつ頃かな。
最初はテレビで見て、
そうなんだくらいにしか思っていなかった。
父母とも戦争世代で、
その当時のことを断片的に語ることがあっても、
けっこうあまり聞いてない・・・。
今頃になってもっと聞いておけばよかった、
と、思っても後の祭り。
そういう時はあまり興味がないもんですね。
断片的に覚えてるのは、
母親が隣組の訓練で竹やりを持ったこと、
こんなんで突き刺す前に撃たれて終わりだと思うけど、
と、内心思っていたらしい。
そんなことは絶対に言えないので、
熱心に訓練に参加したらしい。
父親は海軍航空隊でゼロ戦だったらしい。
やはり断片的に話は聞いたが、
その頃は興味もなかったので、
今や覚えていない・・・。
晩年になって特攻隊については、
辛いということをよく言っていた。
どっちにしても戦争というのは、
心に傷を負わせるもんなんですね。
終戦になって軍隊が消滅。
そこからがまた大変だったらしい。
いきなり無職・・・。
食べるにもなかなか大変だったらしい。
やはり甘いものというのは、
なかなか食べられなかったみたい・・・。
アンパン、ジャムパンなんて今はなんということもないが、
終戦の時期はなかなか食べられなかったみたい。
なんだか今は気軽に食べてはいるが、
父母のことを考えると、
なんとも言えない気分になりますね。
アンパンジャムパンも時代によっては、
黄金の輝きがあったんですよね。


主催者吟


かき氷冷気に目閉じ生き返る

公園に老人一人雲の峰

楽し夢覚まし若葉に通り雨

風鈴のテレビの画面賑やかに

長廊下冷えもうれしや蝉しぐれ



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