渡辺さんの俳句傑作選









2月の俳句





忸怩たる もの呼び覚ます 懐手
                  人間ある程度歳を重ねると、
                              あまり人前で堂々と言えることばかりではなくなる。
                                むしろ後ろを向いて話したくなるようなことが多くなる。
               袖を通さずに腕を組んで、
                            これまた道路を大股で歩くということも出来ない.
                     そういう度胸を持ち合わせていない。
                  人目を避けて一人を確認して、
                袖から腕を抜いて腕を組む。
                           なんともみっともない自分がよみがえってくる。






 風邪の床 猫と一緒に ストレッチ 

                    
今年のように寒暖の差が大きいと、
                    どこを見ても風邪ひきだらけ・・・・。
                 やはりというか当然というか、
                    しっかりと風邪の菌を受け止めて、
                   かれこれ三日ほど寝込んでいる。
                            隣で猫が真ん丸くなって一緒に寝ているのだが、
                     飽きたのか前足を思い切り伸したり、
               つま先をなめたりしている。
                            そろそろ起き上がる準備でもするかということで、
                        片足づつで布団を持ち上げたりしている。
                                   背筋を伸ばしたり、両腕を持ち上げて両脇に開いたり・・・・。







水仙や 知育玩具の 色褪せて
            
水仙が咲き始めると、
               新一年生予定の子供が、
                学校入学の準備を始める。
                幼児のころから与え続けた、
                 いわゆる知育玩具の成果が、
                 いよいよ問われることになる.
                 幼児の時に遊んだこの類の、
                    おもちゃがどう影響しているのか?
                      実は誰も確認した人はいないんだな.
                             小学校へ入った後もそれを気にした人もいない。







リラ冷えや 月光仮面 出てきそう 
               今年は2月に入ってから、
               怪しく暖かくなる日がある。
                 特に一回、雪が降った日から、
                      暖かいと寒いを繰り返すようになった。
                               こういう繰り返しというのはそもそもは3月の陽気で、
                                 2月というのは一年で最も極寒の月でなければいけない。
                               これが崩れては高齢化の進む世の中はつらいだけだ。
                         そこで登場するのがわれらが月光仮面だ!
                弱気を助け強気を退治する、
         われらの味方だ。
             月光仮面のおじさんは、
                   この温暖化を引き寄せる悪党を、
                  ばっさり退治してくれるはずだ!







薬屋の 御託を聞いて 春寒し  
     
                そろそろ梅のつぼみが膨らんできて、
           3月も目の前・・・・。
                               このくらいの時というのは大体寒暖の差がはげしい。
                  最高気温から最低気温の差が、
                     I度以上などということも結構ある。
            こんな時期に来ると、
                     突然!鼻水が止まらない時がある。
           これが難しい・・・・。
                         風邪か、単なる気温の変化によるものか、
                      もっともいやな予想で花粉症か・・・・。
                             ドラッグストアで相談してもどうもハッキリしない。
                               店員が単なるアルバイトだったりすると最悪だ・・・・。








冬林檎 封印してる 片思い 
                       
日ごろ思いを寄せている人というのは、
                         いくつになっても一人くらいいるもんだが、
          老人になっても、
                         このくらいの色気が気持ちの中にないと、
              大体健康でいられない。
                しかし、こういう気持ちを、
                    ところかまわず披露してしまうと、
                     良い言葉は投げかけてもらえない。
                              グッとこらえて押しとどめてるくらいでちょうど良い。
              林檎の季節のこの季節、
                           少々林檎の味もすっぱさが強いかもしれない。
                      男ならではの味かもしれないが・・・・。





主催者吟



トレモロの 小春の雨に 梅の花


小春陽を 止めて置かれる グラスかな


しじまにて 雪降る遠くの 消防車


湯に入りて 寒月に見る 北の漁火





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