渡辺さんの俳句傑作選


2022年 11月の俳句

お台場に自由の女神ゆりかもめ

自由の女神がお台場にある。
一番最初に設置されたのは、
とくにアメリカを意識したものではなく、
日本におけるフランス年を記念して設置されたらしい。
本家の斧より七分の一だということなので、
それほど大仰なものでもないんですね。
日本人にとって自由の女神というのは、
それほど大きなインパクトのあるシロモノでもないですね。
ここにこれがあることを、
知らない人の方が多いんじゃないかな・・・。
フランスにおいて自由の女神が、
どんなことだったのかも知らない人がほとんどじゃないかな。
アメリカだとアメリカに移民してきた人が、
最初に目にするのが、
この自由の女神像だそうです。
お台場に立ってるこの像をゆりかもめから見ても、
「あれ?」くらいの感覚しかないんじゃないかな。
日本人には結構遠い存在なんじゃないかと思う。
フランスでは自由を勝ち取るための戦いというのがあって、
その象徴としての像だと思う。
日本人には自由を勝ち取るための戦いというのは、
なかったわけで、
太平洋戦争のあと、
アメリカから持ち込まれたもんなんですね。
そこは日本人らしく素早く同化していったということでしょう。
それがよかったとも言えるんですよね。
お台場にある自由の女神像を見ても、
「あっ!!見たことある」くらいの感想かな。
画家のドラクロアの絵にもありますよね。
ロマン派絵画の傑作の一つです。
フランス革命の躍動感を描いてるわけですが、
こういうパッションというのは、
日本人には縁遠い気がしないでもない・・・。
ゆりかもめからの一つの風景として見るのが、
普通なのかもしれない・・・。





芸人の洒脱なジョーク冬に入る


笑点に出ていた三遊亭円楽が死んだというのは、
結構大きなニュースになりましたね。
笑点と言えばものすごい長寿番組。
こちらが中学生のころからやっていたのかな。
その頃は立川談志が司会をしていた気がする。
出演者の落語さんもずいぶん変わった気がする。
それでもそれぞれの落語家がスパークして、
毎回の盛り上がりがある。
大喜利の前にも出し物があって、
いろんな芸人さんが出てきていた。
それも一つの呼び物だという気がする。
綾小路きみまろもここで初めて見た。
中高年をシニカルに語る語り口はほんと面白かった。
暑い暑いと言っていた夏が徐々に終わりを告げて、
少し気温が下がってきて、
空気も乾燥してくる・・・。
一番夏の終わりを意識するのは、
やはり日が短くなってくることですね。
夏の最盛期には7:00まで明るい日が続いて、
暑い暑いと言いながら、
なんとなく気持ちは元気だったりする。
まあ、熱いと言ってヘタッてても、
やはり秋の日の短さのような気分とは違う。
いくら猛暑と言っても、
気持ちがずんと沈んでいくわけじゃないんですよね。
しかし、気温が下がり気味になり、
日が5:00を過ぎると真っ暗になってしまうと、
気持ちがず~~~ん、と落ちて、
感覚自体が沈み込んでいくんですよね。
芸人さんのお笑い話にも、
笑えるんだけど、
笑った後の寂しさがあるんですね。
夏だったら笑った後も、
暑い暑いで済んでしまうのですが、
日が短くなって気温が下がってくると、
夏とは全く違う自分がいたりするんですよね・・・。





QRコード読み取る肩に木の葉髪

猛暑の夏が過ぎて、
それでも熱い9月が過ぎて、
10月もさらに暑い日が続くが、
時折、ちらっと秋らしい少し涼しい日が現れる。
少し秋らしいなぁ・・・などと思っているうちに、
暦の枚数は残り二枚。
今度は一年の終わりを意識せざるをえなくなる。
やっと猛暑から逃れられてきたら、
今度は歳末があっという間に近づいてくる。
なんだかホッとした気分を味わう間もなく、
尻を叩かれている感じ・・・。
なんだか静かに秋の風情を楽しむ間もない。
季節の変わり目ということもある。
仕事も煩雑さを増してくる。
QRコードを読み取ったり、
バーコードを読み取ったり・・・。
なんだか細かく忙しい。
涼しい風が吹き始めれば、
首筋も寒くなりかねない仕事量・・・。
仕事がずしっと肩に重く感じるころになると、
朝櫛で髪の毛を整えると、
ハラハラというよりバサッと髪の毛が抜ける。
季節の変わり目だからとなんとなく自分を慰めて、
ティッシューかなんかで抜けた髪の毛をまとめて捨てる。
考えないようにしても、
これだけ抜けると髪の毛も薄くなるよなぁ・・・、
と、いまいちの気分になる。
そんな感傷に浸る暇もなく、
神経を使う仕事をこなさないといけない。
これだけ抜けると薄くなるよなぁ・・・、
などと感傷的になったとしても、
仕事はどんどん肩にのしかかる。
若い時は木の葉が散っていく様に、
感傷的な気分になったが、
昭和生まれにとっては、
ハラハラ散る枯れ葉に髪の毛を重ねて、
感傷的になるのですよ。
なんか・・・、なんとも言えない・・・(*ノωノ)






バックパック大きく揺れて秋遍路

秋深し・・・となりはなにする人ぞ。
なんてどこかで聞いたことのあるような一言。
錦秋の山を目指して人の移動が活発になる時期です。
平地でも紅葉を求めて人は歩くのです。
皆さん間違いなく背に
バックパックを背負ってますね。
若い人の声が響くと、
なんだか郷愁の気分が沸きます。
昭和生まれだと街路樹の紅葉で、
とりあえず満足します。
街路樹の紅葉を眺めながら、
ウーキングも併用する・・・、
いかにものスタイルです。
若いころは紅葉の山を目指すというのが、
日ごろの運動不足を補う行動の一つだった。
お遍路というと四国が有名ですね。
ただ大変!!
日数がすごいかかるのです。
秩父当たりのお遍路がちょうどいいかな・・・。
それでも結構大変!
歩いてる時にバックパックが、
大きく揺れるとどうなるのか、
若い時は仲間と笑顔で声も響く。
今はバックパックを背負う、
という行為自体があまりない・・・。
古希過ぎてバックパックが大きく揺れると、
回りはほとんど悲鳴・・・。
声もなんだかどんよりと沈んだ感じで響かない。
回りにいる人が助け舟を出そうとしたりする。
「いや、大丈夫です」と、
きっぱり言えないところが、
昭和生まれなんですよ。
下手にけがをして、
薬の山を高くしてもしょうがない・・・。
やはりバックパックを背負った時は、
気をつけよう(*ノωノ)






勉学を道連れにして冬に入る

勉学を共にして冬という季節を過ごす。
冬という季節は気温がまず低い。
外に出るとますます低い、寒い。
学びの書を紐解いて部屋にこもる。
冬は知識を増やすチャンスでもあるんですね。
やはり夏の間のがしていた勉学をここで取り戻す。
そう考えると冬という季節は、
日本人にとってそう悪い季節、
というわけでもなくなる・・・。
しかし、煩悩多い昭和前期の人間は、
そう勤勉な人ばかりでもない。
昭和に流行った漫画をネットで注文して、
第一巻から読みふける。
名作と呼ばれる「あしたのジョー」
「愛と誠」「巨人の星」「鉄腕アトム」
「鉄腕アトム」はテレビのアニメでもやっていたから、
それほど漫画で読むというのはちょっと薄いかな。
「ブラックジャック」なんか名作ですよね。
漫画だとすらすらタイトルが出てくるのが、
いまいち忸怩たる感じです。
冬に勉学を共にするというと、
哲学かなぁ・・・。
寒風吹き抜ける京都の哲学の道を歩きつつ、
あーだ、こーだ思索を巡らすのも、
確かに尊いことではありますね。
我が家の公園の回りを歩いても結構いいです。
日が燦々と降り注ぐ公園で、
だれもいないベンチで青く澄んだ空を見上げる。
ふつふつといろんな思いが沸き上がってくる。
これも妄想という一つの勉学のジャンル、
ということもできるのでしょうか・・・。
真面目な人からは「どこが勉学なんだ!」と、
突っ込まれることはあると思います。
でも、反論するとしたら。
勉学というジャンルを広くしてみれば、
名作漫画を読みふける、
ボーっと冬の青い空を眺める・・・。
心にとってはすべて勉学のジャンルに入るんだと、
強引に昭和人らしく言い切ってしまいましょう。



主催者吟


ジャズレコのベースや冬の窓揺らす

百羅漢すべてを語る秋深し

鳥三羽鳴いて乱れて秋深し

父母と我旅の紅葉セピアかな

過ぎ去りしパリでの靴や冬薔薇



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