渡辺さんの俳句傑作選
3月の俳句
花粉舞う 鬼の教師の 目に涙
今時の先生で鬼の教師は少ないだろう・・・・。
鬼教師の定義で言えば、
生徒に対して、
口で言うよりこぶしが早いというタイプだ。
昭和40年代前半くらいまでが全盛だろうか・・・・。
後はひたすら衰退し続けて、
今や絶滅危惧種という枠は越えて、
絶滅種のコーナーにうっすらと姿を見せている。
先生方も花粉が飛ぶと同時に、
目をショボショボさせておりますが、
それは過去の鬼教師と呼ばれた方々の、
悔し涙と違いますか・・・・。
春光の 一直線に 広辞苑
今年は寒い冬で、しかも結構長かった。
3月になってみると今度はいやに天気が悪い。
三寒四温が極端なのだ!
南極と赤道を行ったり来たりの風体だ。
これは結構きつい・・・・。
赤道と南極の中間くらいの、
ちょうどほどよい陽気の時もあって、
日当たりのいい部屋にいれば極楽だ!
夏目漱石などを・・・・などと、
余計なことを考えたりするほど元気になる。
本を開いたとたん!
広辞苑を開いてる回数のほうが多くなりそうだが・・・・。
紛糾の 職員会議 猫交じる
今の時期はどこの学校でも、
年度末における諸問題について会議が開かれる。
多くの議題が提出されるということだが、
大方は皆分かっていて、
シャンシャンで通過していくらしい・・・・。
しかし、ことが現場の議題になると、
皆それぞれ一言持っていて、
意見が次々に出る!
なかなか止まらない。
議論が白熱してくるから、
今の時期の猫の声と似ていて、
ドス+押しが十分に交じり合って、
迫力満点となる・・・・。
討ち死にの 数だけ増えて 恋の猫
今やどこの猫も求愛の時期に入っている。
それぞれが守り続けている自分の縄張りと、
ほかの猫の縄張りに侵入しては、
メスをめぐって小競り合いを繰り返している。
本能にもとずく行動だけに、
お互いに妥協を許さない喧嘩となる。
一方がダメージを受けて引き下がらない限り
喧嘩はどこまでも続くことになる。
そのうちにスタミナ切れになったほうが、
すたこら逃げ出す・・・・。
見事な討ち死にとなる。
討ち死にの回数を重ねても、
ダメなものはダメらしい・・・・。
人間の戦争の根本の起源を尋ねてみれば、
猫の争いとさして変わらないことが、
理由になっているのかもしれない。
シャムネコと 恋の鞘当 恋の猫
今や巷では猫の求愛合戦が花盛りだ。
ちょうど3月のこの時期が猫にとって、
一年で一度の繁殖期なのだろう。
夜になると賑やかなことといったらない・・・・。
一晩中エネルギッシュに鳴き続ける。
わが飼い猫も負けてはいない!
夜な夜などこかに消えては、
朝、ひとつ傷が増えている。
その傷の中に、どうもご近所のシャムネコと、
ひとつの恋をめぐって戦ったのがあるらしい・・・・。
しかし、一言わが猫に声をかけるとしたら、
「相手は先祖明らかなる血統だ、かなわないだろ!」
わが猫も飼い主に似て一直線・・・・。
聞き分けはなさそうだ・・・・。
飼い猫に 受胎告知を されにけり
受胎告知といえば、大天使ガブリエルがマリアに、
キリストを受胎したと告げたことだが、
わが猫の受胎したことを知らせるのに、
大天使ガブリエルが来る可能性は、
マイナス120パーセントを過ぎてもないだろう・・・・。
ガブリエルの親戚のそのまた親戚の娘のもらい児の、
兄弟の子孫からもないだろう・・・・。(聖書的に言うと・・・・)
わが娘の受胎を知らせるのにも、
大天使ガブリエルはないだろう!
親ごころだと、大きくそのくらいのことは考えたいのだが・・・・。
まあ、飼い猫がトボトボ教えに来るくらいだろうなー。
娘の受胎にはまだそうとかかりそうだから、
飼い猫も3代目くらいになりそうだ。
三代目にして大天使ガブリエルの役目をするんじゃないか、
でも、そこまで行くと、
受けて側が無事かどうか気にはなるところだ。
主催者吟
春嵐 曇る車窓に 滲む街
思い出の 校舎の窓に 雪の峰
雲早し 雨の匂いの 浅き春
メニューへ
topへ