渡辺さんの俳句傑作選


2024年 3月の俳句

バケットを小脇に抱え春の昼

春になると班が美味しく感じますね。
手作りパン屋さんの前を通ると、
鼻をくすぐるいい匂いがしてきます。
わが街にも手作りパン屋さんが結構あります。
がっちりドアを閉めてしまってる、
パン屋さん前を通っても、
まあ何も気が付かないことが多いですが、
ガラス張りで少しドアを開けてるパン屋さんだと、
いい匂いがしてくるんですよね。
なんというのか、
甘い香りが、
脳みその奥まで沁みてくるんですね。
それでもいつもは何事もなく、
あっさりと通り過ぎていくのですが、
2月を過ぎて3月に入ると、
空気感が少し湿り気を帯びてくるんですね。
そうなると今まで歩くのを、
遅くすることもなく通り過ぎていた、
パン屋さんの前を少し歩くのが遅くなる。
脳みそに沁みてくる匂いで、
脳にある運動野が緩むんですね。
緊張感を持って歩いていたはずが、
思わず匂いで緩んでしまって、
足の回転が遅くなるんですよね。
バケットというのはフランスパンのことでしょうか、
フランスパンというのは硬いですよね。
はじめてかじった時は、
歯が欠けるんじゃないかと思って、
びっくりしたんですが、
実は噛めば噛むほど、
味がにじみ出てくるんですよ。
その味わいが、
春のちょっと湿り気を帯びてきた空気感に、
よく合うんですな。
これを書いてるうちになんだか食べたくなってきた。
唾が出てきてしまった('◇')ゞ






黒鍵のエチュード弾いて春の塵


黒鍵のエチュードというと、
ショパンですよね。
ショパンのエチュードは練習曲という意味にしては、
どの曲も完成度が高く、
演奏会用の重要なピースになってます。
黒鍵のエチュードは右手だったかな、
ピアノの黒鍵しか弾かないという、
特徴があるんですね。
この曲の難易度はそれほど強烈なことはなく、
そこそこでしょうか・・・。
ただきらびやかな装飾音や、
ショパンらしい和音に彩られていて、
それまでにはない工夫と、
ひらめきに満ちた曲なんですね。
春の穏やかな陽だまりで聴くと、
ちょっと落ち着かないかも・・・。
ほかのショパンのエチュードの中では、
別れの曲がよく知られてますよね。
知名度ではこちらの方が上かな。
出だしの二音でそれとわかる曲です。
黒鍵のエチュードは、
黒鍵しか弾かないということですが、
完成度は半端なく高くて、
ショパンの曲を弾くときは、
よく弾かれる曲ではあるんですね。
ちょっと短めということで印象に残りにくいかも・・・。
工夫に満ちた和音の彩は、
他の追随を許さないです。
木枯しというエチュードもありますが、
これも難しさでは黒鍵をしのぐといわれてます。
木枯しはあまり春の陽だまりでは聞きたくないかもね。
とにかく練習曲であっても傑作ぞろいのショパン。
春のいい陽気の時に、
じっくり聞いてみるのも、
春の夜の良い過ごし方じゃないかな。





ペンギンのよちよち歩き水温む

ペンギン歩きというと、
可愛い歩き方という表現に使われますね。
危なっかしいということでも使われます。
小さい子供が歩くときとか、
スケート初心者が氷の上に載った時など、
まさにペンギン歩き・・・。
都会に雪が降った時に雪の上を歩くときにも、
けっこう使われますよね。
こちらは転ばないように、
この歩き方を推奨されます。
それでもツルっと滑って転んでますけどね。
総じてたどたどしい様子を表現する言葉ですよね。
小さい子供だと可愛い。
大の大人が滑ったりすると単に笑われる。
この二極極端がこの言葉の持ち味かな。
発表する時なんかにも、
なんだかどぎまぎしたりするさまに、
使われたりしますよね。
小さい子どもなんかは、
可愛いという表現になり、
大人になると確実に、
子供っぽいまたは練れてない・・・。
表現が二極化するんですよ。
当のペンギンは氷の上を歩くから、
この歩き方がベストなんでしょうな。
それでも滑って転んだりしてる。
その様はなんだか愛嬌があって可愛い。
ケガもしないんですね、
皮が厚いということで・・・。
人間だと単に面の皮が厚い、
ということになりますね。
しかし、このペンギン歩きというのは、
実に合理的な歩き方なんですよね。
ペンギン歩きしかできないところでは、
慎重に歩いて無難。
そのたどたどしさから、
初々しいからもう少し様子を見よう・・・、
なんて評価も出てくるんですね。
この俳句の様子だと、
かわいらしさを表現してるのかな(^0_0^)
はじめてスケート靴をはいて、
氷の上に出た時のことを思い出しましたよ(^_-)-☆






春浅しポケット牧野図鑑買う

植物博士の牧野教授の一代記を、
NHKの朝ドラでやってましたね。
牧野教授のことは、
このドラマで初めて知ったのですが、
考えてみたら日本の植物が食って、
どんなところから発展したんだろうと思いますよね。
だれか先駆者がいなければ、
絶対にここまで張ってはしないわけですから・・・。
造り酒屋のボンボンから、
植物にのめり込んでいく過程というのは、
興味深かったですね。
まあ、ドラマだけではない逸話もあると思いますが、
一代記を改めてみるという興味も湧きましたね。
いきなり坂本龍馬が登場したりと、
ちょっと辻褄の合わないところもありましたが、
それでも内容は面白かった。
特に妻役を担った浜辺美波は、
ここからシンゴジラなど、
数々のヒット映画に主演しましたよね。
賞もかなりもらったんじゃないですかね。
なかなかの力演で名前を上げましたね。
すえ役が当たり役でした。
神木隆之介を食ってたかも・・・。
とにかく美人の誉れ高い美波さんですから・・・。
40万種の植物を採集したというから、
まあ、精力絶倫ということですね。
並みの体力じゃ無理。
少しでも植物に興味をいだいたなら、
この牧野図鑑を手にして外を歩くと、
ただぶらぶら歩くより、
歩く距離を伸ばせるのかも・・・。
ただ歩くというのは意外と大変で、
距離は短くなりがち。
道端のちょっとした植物に目を向けながら、
牧野図鑑を片手に持ったなら、
歩く距離は結構稼げる気がする。
自分自身が一番そう思うって( ^ω^)・・・






バーべキューコンロ整え春立ちぬ


真冬では炬燵で焼き餅というのが定番。
しかし、温暖化の昨今、
外でのバーべキューありの状況。
まあ、それでも少数派かな。
やはりバーベキューというと、
なんといっても豪快なイメージがあるから、
少し暖かくなった春先の空気の中で、
厚めの肉を鉄板に乗せて野菜を乗せて、
ワイワイガヤガヤやるのがいいね。
少し弱火で焼きあがっていくのをみんなで見て、
なんだかんだの会話もいいのです。
庭先で家族でというのもありですが、
出来れば大自然の中で開催したいのがこれですよ。
気分も開放的になるし、
一緒してる人たちの自然な会話がいいのです。
ちょっとした言葉のあやも、
すべて吞み込めるじゃないですか。
ぎすぎすした気分、壁を感じるあの人とも、
なんだか信じられないほどの言葉で会話ができる。
春先だと少し冷えた空気感ですが、
バーベキューの火の気で寒くはないですね。
じっくり焼けてくる匂いを、
体全体で受け止めて、
自然の中を実感できるのです。
バーベキューというのは、
もともと西インド諸島の土着料理だったらしいです。
語源はスペイン語ということです。
大航海の時代スペインが、
ヨーロッパに持ち帰ったのかな・・・。
そこから日本にも到来。
いつのことか分かりませんが、
春先、秋口の定番の野外イベントになったんですね。
個人的には玉ねぎが焼けてくると、
一番に食べたいタイプ。
けっこう野菜もおいしい。
肉が主役だけど、
脇役と思われてる野菜もなかなかなんですよね。
バーベキューという言葉を聞くだけで、
気持ちが浮ついてきますね(^_-)-☆





主催者吟


娘に語る母の口癖冬薔薇

雨上がる子犬と幼女陽だまりで

老庭師細かく拾う落ち葉かな

部屋の隅届く日差しやコート脱ぐ

樹氷林羅漢のごとく並び立つ



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