渡辺さんの俳句傑作選
7月の俳句
漢検や五点足りずにさくらんぼ
漢字検定を受けるというのが、
最近流行っているようだ。
英検というのは昔からある、
こちらは老舗ということで今でも受ける人が多いが、
漢検は新参の挑戦者というところか・・・・。
こういう検定ものというのは、
受けた瞬間!、
大幅な合格点との開きがあるような出来だと、
「ま、次だな」というサバサバした気分になる。
これが10点、5点、2点と惜しいところが迫ってくると、
合否を確認した途端、「サバサバ」は通り越して、
一瞬、空洞感が発生する。
そんな気分を埋めてくれるのが、
これである・・・・!
昼顔やメニュー二つのたい焼きや
最近の食べ物屋というのは、
まず横文字が多い。
これを全部理解している人というのは、
食べ物評論家ぐらいだろう。
後、とにかくメニューの種類が多い。
これだけの種類のメニュー全部が美味しいとは、
とても思えないくらい並んでいる。
すし屋ならいくら多くても、
手を加えるわけではないから、
特別どうということもないが、
調理の手が入る料理がずらっと並んでいて、
全部美味しいと言われても注文する気はしない。
洋風、中華が平気で並んでいればなおさらだ・・・・。
その点たい焼き屋などと看板が出ていれば、
まずシンプルだ。
しかもメニューが、粒あん、こしあんの二種類となれば、
一挙に両方注文できる。
これはもうどちらが美味しいか、
決めて次から注文できる。
このくらいシンプルだと贔屓筋になれるというものだろう。
錠剤の形さまざま浜昼顔
歳を重ねるごとに、
なんとなく薬の種類が増えていく。
予定していたわけではない薬が、
特に増えていくようだ・・・・。
いったい最後、
どのくらいの量になっていくのか予想がつかない。
追加されるたびのため息が出る。
浜昼顔の季節ではあるが、
海岸線に咲く、この花の葉は丸い・・・・。
海からの強い風雪に耐えて咲くうちに、
葉の角が丸くなっていったのかもしれない。
年とともに薬が増えても、
人間が丸くならないのは、
やはり人間だということかなぁ・・・・。
薬とにらめっこの毎日は、
相当当分、変わりそうにない。
昼顔に体内時計作動せず
夏の花というと、
まず、ひまわりと朝顔が双璧だろう。
ひまわりは背が高く、茎も太い。
花も鮮やかな黄色で、
まず押し出しが強い。
人の身長より高いところに咲いてるのも、
威圧的で暑い盛りの夏の道では、ちと厳しい・・・・。
ここまで会社の上司が追いかけてこなくてもいい・・・・。
猛暑の中、背広姿なのだ。
その逆なのが朝顔系の昼顔、夕顔、その他類似の花。
まず花びらに力がない。
咲いてるときからリラックスしてるのだ。
大体人のひざから上、腰まで位の高さがいい。
いつまで見ていても飽きないということはないが、
特別緊張はしない・・・・。
体内時計も平たくなってしまって、
止まってしまうようだ。
そのまま年も取らなければいいのだが・・・・。
追)それはそうもいかないようだ・・・・。
戦争はみな聖戦よ夏アザミ
今年も終戦記念日が近づいてきた。
世界規模の戦争はなくなったが、
相変わらずあちこちで戦争は続いている。
しかし、どこのどの戦争でも、
お互いが聖戦という位置づけをしている。
ただそう叫んでいる本人が戦死することはまずなく、
兵隊としてかりだされている一般の人が、
バタバタ死んでいく。
だいたい聖戦だなどと叫んでいる人間は、
そう叫びながら結構いい暮らしをしているもんだ。
戦死していく一般の人間に、
叫んでる連中が花を一輪手向けたところで
その連中の命が縮まるということも、
生活が苦しくなるということもないだろうな.
主催者吟
子ツバメの巣立った隣に五羽のヒナ
婆あおぐうちわにかすれし夢二あり
街路樹の影切り抜かれ夏陽かな
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