渡辺さんの俳句傑作選








8月の俳句






パソコンのお絵かきソフト出目金魚
                                今年は、秋が早いように見せかけてそうでもない・・・・。
            お盆が終わってから、
                 陽がずいぶん短くなっていて、
                       はっきりそれがわかるようになってきた。
                  本格的な芸術の秋を前にして、
                              何か芸術なるものに近いものをやってみたい・・・・。
                 まあ、誰でも思うことだけど、
                    実際となるとなかなか・・・・???
               一番手近かなところでは、
               パソコンのソフトを使って、
                    油絵を描いてみたりすることかな。
           何を描こうか・・・・。
                 目の前にいる金魚鉢の中で、
                こっちを見ては回っている。
       出目金かな。
                       うまく描けるようになることを想像して、
              決意をした日かな・・・・。








ゲルピンと言い合いし友夏の雨
                     金欠状態(ゲルピン)で友と語り合う。
                            これは、一番記憶が鮮明なのは学生時代・・・・。
                金がないと友と言い合って、
                          相手が持っていないかとわずかな期待をして、
              お互い何も持っていなく。
                      それでも、とりあえず何の不安もなく、
                             スネ毛をボリボリ掻いては、スネからフケを飛ばす。
                          そんな中でも政治から、恋愛から、哲学まで、
                深々とした話を延々とする。
             夕立でも降り始めれば、
                              なんだか栄養失調気味で止むまで眺めている・・・・。
              止んだ後はムシムシして、
                 不潔感がいよいよ漂ってくる。
                  それでも気にならず、気にせず。
                    肩をいからせて裏通りを闊歩する。
              懐かしい限りである・・・・。








志ん生の艶笑落語柏餅
                         暑くて頭が働かないときは何をしよう・・・・。
                          まあ、ゴロゴロしていることが最高かな・・・・。
                と、思うことが普通だろう。
                          でも、こういう時に落語というのも悪くない。
               人情ものより艶ものかな。
               まず、頭が要らない・・・・。
             志ん生の艶笑落語は、
                 とぼけたところから始まって、
                     グイグイその世界に引き込んでいく。
               こういう話を頭に流すと、
                      柏餅の柏の葉を剥がした時に見える、
                         艶があって馥郁とした雰囲気に接した時と、
          同じ気分になる。
                            暑さで空になった頭にはいいお湿りだろう・・・・。








サングラスかけてピカソの美術館
               ピカソの絵というものは、
                              誰がどう見てもなんだか分かるものではないと思う。
                      実際、どうしてそんな価値があるのか、
                             分からないむきのほうが多いのではないかと思う。
                ピカソほど本物を見ないと、
                            その価値が分からない画家もあまりいない・・・・。
                             現代絵画では、そうでもないかもしれないが・・・・。
                    しかし、いざ見に行こうとする時、
                   現実の世界をそのまま見ながら、
             その美術館に入っても、
                  何も見えてこないかもしれない。
                いっそ、サングラスをかけて、
                         現実の世界と自分をしっかり遮断した上で、
             その絵画に向き合えば、
                             見方が変わって、その真実に迫れるかもしれない。








燃えぬゴミしっかり集め雲の峰
               燃えないゴミの日が来る。
               燃えないゴミというのは、
                    散らばると非常に迷惑なものだ。
                        散らばってどこかにいったからといって、
                       そのまま消えてなくなるものでもない。
                  誰か拾うこともないだろうな。
                拾われないそういうゴミが、
                     結局、自分の頭に降り注いでくる。
                                 具体的に今見えるわけではないから余計に怖い・・・・。
                   真夏の朝からすでに暑い中で、
                            燃えないゴミをしっかり一箇所に集めることは、
                  意外なほど意味があると思う。
                             湧き上がる雲にはしっかり見えてると思うな・・・・。








主催者吟

登る山コケ厚き樹の暖かさ

去りて行く今日の夕陽にヒグラシよ

天の川眼下の街の灯カールにて




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