渡辺さんの俳句傑作選
2月の俳句
戦争を知らぬ三代福寿草
太平洋戦争が終わっていまや戦後世代も二代目となり、
戦争世代から三代目ということになる。
もう戦争がどういうものかも認識できない世の中になっている。
当然、歳が若いほど戦争なんて言葉は、
日本ではほとんど死後になりつつある。
子供の遊びにも戦争ごっこなどというものはない。
ちゃんばらごっこもない・・・・。
あるのはゲームの中だけの、
死んでは生き返る戦いだけである。
新年早速この手のゲームでこもっている子も多いと思う。
結果、人をつぶしていくことに、
何も違和感を持たない大人が溢れることになる。
これは戦争世代という言葉の後に、
なんという世代になるのだろうか???
冬の星ちびた鉛筆立ててみる
広大な宇宙の一角、
ビルやらなんやらで一人の見る空など、
ほんとに小さくなっている。
冬の夜空はそれでも星の瞬くのが見える。
無限の宇宙の針の先ほどは見ることが出来る。
自分という宇宙の一員がどれほどの大きさか・・・・。
今話題になっている花粉より微細だろうな。
そのくらいの存在だを意識すると、
ブリブリ大手を振って歩いていても、
使い切るちょっと手前、
捨ててもいいようなくらいになった鉛筆を、
空に向かって立てて、
なんだか眺めていたいような気分になるのは、
歳とってきたというだけではないと思う・・・・。
湯豆腐や歯に衣着せず風発す
今は、日本の四季の中でも最も寒い月だ。
吐く息が真っ白になって、
全員エンジン全開なのがよく分かる季節でもある。
朝は特にその人の行列が吐く息の白さで、
厳寒なのに温かそうにさえ見える・・・・。
やはり夜の食卓は湯豆腐かな。
体が温まって全身の筋肉もほぐれてくると、
日ごろいう語る勇気のない、
深いところに沈殿していた文言が、
軽くなったからだのリズムから次々に押し出されてくる。
歯に衣着せないどころか、
歯の隙間からも次々に出てくる。
普段圧縮されているだけに、
一度出てくるともう止まらないのだ。
まあ、怖い、怖い・・・・。
調弦にてこずる指や寒卵
ギターの調弦というのはなかなか難しい。
これをあっという間に済ませて、
狂っていないということは神業にしか見えない。
それほどギターに熟達していない者にとって、
6本の弦を全部を正しく調弦することは、
普通まともにやると一日かかりそうだ。
不器用とかきようとかもあまり関係ないようだ。
調弦する機械、いわゆるチューナー。
これを使うと目で見ながら合わせることができる。
これでも使い慣れないと意外と外れたりする。
卵を半熟にゆでるのと似ていて、
勘で半熟かどうか判断するのは難しい・・・・。
いまや半熟卵に茹でてくれる機械がある。
人の手なんてほんとに必要なくなってきているわけだ・・・・。
それが良いか悪いかまでは判断しない・・・・。
地下鉄の路線また増え冬ぬくし
地下鉄の新しい路線がまた開通するそうだ。
東京都は地下に副都心を持ってるようだ。
新宿副都心なんて言葉は古くて、
新宿はもう都心。
いまや地下が副都心化している。
地下鉄の駅と駅を結ぶ間には商店街もある。
それが網の目のように張り巡らされた、
地下鉄の通路の中にある。
残るのは地下にいつ住宅が出来るかということ・・・・。
日が当たらないと体に悪いという話もあるが、
今でも日を浴びる時間などはたかがしれている。
地下に生活の場を写したところで何も変わりやしない・・・・。
地上に出たところに共同のサンルームでも作ればことたれりだ。
以外に冬も夏も一定の温度が保たれて、
快適空間となる可能性が高いかもしれない・・・・。
主催者吟
日の出位置ずれていよいよ春立ぬ
窓の灯に人影寄りて冴え返る
暮れ残る雪山遠くヘリの音
ほんのりと猫の恋路に朝日差す
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