渡辺さんの俳句傑作選








6月の俳句






正面の理科教室や
                    会社の理科教室といえば人事課、
                       人間のいろいろな人間の標本がある。
                実験道具にも事欠かない。
                                これとあれを掛け合わせるとこういう答えが出てくる。
                    これはあっちの環境がいいだろう。
                         あれはちょっと離れたところがいいね・・・。
                               いつも正面に眺めながら手前を左に廊下を折れる。
                      どういうわけか実験体制が固まると、
                       そこに出入りする連中が半そでになる。
                                   これからの結果をてぐすね引いて待っているってことか・・・。
                 使える結果と使えない結果、
                      容赦なく振り分ける時の作業のとき、
                   これは楽なんだろうな・・・キット。








風薫る足だけ受けるマッサージ
                        6月になるとさすがに梅雨の本番になる。
                                  しかし、今年はまったく梅雨らしい雰囲気の見えない6月。
                いきなり真夏日が続いたり、
                   真夏なみの太陽が照りつけたり、
                         暴風雨のような雨がいきなり降ってみたり、
                              もうひとつおまけに真夏のような雷雨が降り注いだ。
                        6月の気温の高い日はかなりつらい・・・。
                             まだまだ暑さを受け入れるほど体ができていない。
                                 最近、歳とともに定期的にマッサージを受ける人が急増。
                     しかし、まだ完全に夏が始まる前に、
                      いっきに全身をほぐすのは考えものだ。
          まず6月は足だけ、
                7月は胴体をじっくりほぐす。
                          8月に入って頭の皮も含めてしっかりほぐす。
                          これで熱帯化した日本の夏はのりきれるのだ。








走り梅雨念入りに見る訃報欄

                        5月が去って五月晴れのないまま去って、
                            つつじが終わってアジサイが目に付き始めると、
                   ジトッとした風が吹いてくる・・・。
                    なんだかぐっと重くなった空気に、
                         思わず生きる意義などを考え始めたりする。
                       新入社員などは入社して2ヶ月過ぎて、
                            この会社に疑問を感じるとか言い始めるころだ。
                  呼吸する空気が重いのだから、
                      当然考えることもマイナー傾向となる。
                           マイナー傾向も若者だと成長する糧にもなる。
                                        しかし、年とともにマイナーイコール生命自壊の危機が迫ったりする。
                               55歳を越えるころから新聞の読み方が変わってくる。
                                     ここまでは役人の悪事を探しては「こいつ!!」とか怒っている。
         55歳を超えると、
                         まずこの気候で何人あの世へ旅立ったかを、
                   朝一番で広げた新聞で見ている。
                      これが自然な動きになるから怖い・・・。






夏座敷戦艦大和のプラモデル
                            夏が近づくと必ずめぐってくるのが終戦記念日。
                       最近は反戦ドラマもめっきり減ってきた。
                             今年封切られた特攻隊を主題にした映画がある。
                  しかし、反戦はわかるのだが、
                    宇宙戦艦大和を彷彿とするような、
                        死を美化するような箇所はいただけない。
                    誰のためも何でもかんでも含めて、
                 戦争は無駄の最たるものだ。
                              戦艦大和のプラモデルが分冊されて売られている。
                         なんだか一年くらいかかってるように思う。
                          それほどもったいぶるものでもないと思うが、
                                       マニアはもったいぶるという部分を感じさせないと買わないそうだ。
                                実際の戦艦大和は、あまりに海軍がもったいぶるから、
                    なんの意味も無く最後まで残って、
                                   スクラップにする手間を省いたように特攻させられたようだ。
                            子供のころは巨大戦艦の模型が欲しかったが、
                                     今は中国製の安い模型を眺めてビールってところだろうか・・・。






割り算でいつも分け合うさくらんぼ
                               子供のころは、だいたい兄弟というと3人が多かった。
                   今の時代は少子化ということで、
                                   一人か二人だからお菓子を分けるのも実に単純でよろしい。
                  三人というのはけっこう大変で、
                 9個とか12個だったりすると、
                    簡単に平等に分けることができる。
               これが8個だったりすると、
                        そこになんともいえない葛藤が生まれる。
             三個、三個、二個・・・。
                             しかし、ここで二個を誰が取らされるのか???
                 ほぼ三番目ということになる。
             昭和の30年代などは、
                  長男優先志向がバッチリあった。
                     必ず上から有利な配分になるわけだ。
                             三番目は常に反発心を持って成長することになる。
                                 この反発心が戦後日本の成長の原動力になったわけだ。
                    今に時代、いやこれからの時代は、
                   この3番目思考は皆無となる・・・。
                  国家成長のもとは消えるわけだ。
                 割り算は平等になってしまった。
                           これは不平等を作り出してちょうどいいのだ・・・。







主催者吟


持ち上げたカップの氷にぶつかる陽

暮れ残る街灯に虫あたる音

じっとりと梅雨の細雨で煙る朝

せわしなくアイスの冷気扇ぎ寄せ

梅雨寒のショパンを聴く夜の手紙かな




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