渡辺さんの俳句傑作選








7月の俳句





籐寝椅子 ちょっぴりドリーム カムトゥルー
                            昼寝用の籐椅子に昼食後ごろりと横になる
             日陰を渡ってきた風が心地よい
                  これは贅沢なひと眠りになるぞと思いつつ
        す-っと眠りに入る
           ここで見たこと聞いたこと
                        これが全部自分にとって都合のいいことだった・・・・


水晶体 人工にして 夏に入る
           白内障手術して
              自前の水晶体を失ってしまった
                         これで失明したわけでも自由がなくなるわけでもないが
                      ぱっと輝く夏の光もなんとなく寂しく感じるのは
                 持てるものを寸といえども失った時の
           言えない悲しみだろうか
             


街角の ミュールの娘ら 夏ツバメ
    夏も7月
                      暑さが増してくると女の子たちの足元も涼しくなる
            スマートなミュールを履いて
               足早に過ぎる若い娘達を見ていると
                     すばらしい軽やかさで飛び回るツバメを連想する
                       足取りも軽く過ぎる若い娘を目で追いきれませんなー

                          


鬱という 踊り場におり 半夏雨

        夏至が過ぎて
               暑さもギラギラした輝きというより
                         そろそろ熟れて崩れてきたかと感じさせる空気が出てくる
                    そんな時期にソボソボ降って来る雨・・・・・
               にぎやかで活気のある気分は失せて
             湿り気のある気分が湧いてきて
                階段は下りてきたようだ・・・・・・








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