渡辺さんの俳句傑作選








7月の俳句






稲妻にふと連ドラの筋が読め
                       朝のNHKの連続テレビ小説が始まって、
                50年近くたつだろうか・・・。
                    小学生のときはまったく関心なし。
                               中学生になって春休みと夏休みにチラチラ見る程度。
                                     高校生になるととりあえず話の内容に興味を持つようになって、
                          春休みは新しいシリーズということもあって、
                            このドラマを15分間はしっかり見るようになった。
                       そして新学期とともにそこで切れる・・・。
                             もうそこから筋書きを予想することもできない・・・。
                         そしてビジネスの世界へと旅立ってある日。
                        いきなりドラマの結末が分かるときがくる。
            しばらく見ていると、
                           そこからあれがこうなって、それがこうなる・・・。
            結末はこうだろう・・・。
                 それがそれほど外れない・・・。
                        いつの間にか筋道がしっかり構築できて。
                         そこでほとんどのドラマの完結を見てしまう。
                     こうなったときが大人になったときで、
                           なんとなく自分のドラマも見え始めてしまう・・・。








知恵の輪の解けないままや稲光
                大人も子供も手に取ると、
                    とりあえずこだわってしまう玩具。
                                   それが解けようが解けまいが何のことにも影響はない・・・。
                           しかし、いったん第三手くらいまで読めると、
              もう目が点になってる。
                           ぜんぜんやらないでいる人間が見ていると、
                        話しかけるのもはばかれる雰囲気・・・。
                            まあ、遠めにブツブツ言ってるのを聞きながら、
                ほったらかしにしていると、
                       突然回りの空気が固まる瞬間が来る。
            答え見つからず・・・。
                                 知恵の輪に振り回された本人の凶暴になった瞬間だ。
                知恵の輪が解けたときは、
                             どこから持って来たんだという春の空気感・・・。
            この極端な落差が、
                              いきなり光ったときの稲光の前と後にそっくりだ!








香水をつけて気持ちのひだ隠す

                 香水というとシャネルの5。
          香水というのは、
                                そもそも、体臭を隠すために使われたのが最初らしい。
                                    肉食の西洋人はそれなりに体臭もきついというところだろう。
                                      しかし、「もの」というのは大体使われだすと多様化するもので、
                   香水もこういった例には漏れず、
                      異性を引き寄せる効能を持たせたり、
                  多様な花の匂いを合成したり、
                                   精神の安定を図るアロマテラピーにまで勢力を広げてきた。
                        匂いがテーマになっているということは、
                      アロマも香水からの派生分野だろう。
              進化は今も続いており、
                          近年、男の香水なるものも発売されている。
                一人ひとりの個性を消して、
                   みな時代の横並びになりたがる。
                                 今やこれも文化として受け入れられてしまっている・・・。
                          しかし・・・なんとなく受け入れ難いというと、
                              もうすでに古い人間になりつつあるということだな。








摩天楼モノクロになる猛暑かな
                      近年北半球は猛暑に見舞われている。
                                日本という枠ではなく大陸規模で暑くなっているという。
                            逆に南半球では南アフリカに雪がかなり降ったり、
                            オーストラリアでは猛烈な寒波が襲ってきたり・・・。
                      北と南で逆の現象が起きているらしい。
                                 日本の異常気象も地球の今の流れに完全に沿っている。
                         鹿児島では、7月に47℃を記録したそうだ。
                           もう普通に口で息してられない暑さだろう・・・。
                            摂氏40度からの暑さのコンクリートジャングルで、
                           しっかり総天然色のカラーで回りが見えるのは、
               35歳以下の人間たち・・・。
                            それ以上になるとだんだん色彩は薄くなってくる。
            何色だなんてことは、
                           どうでもよくなってくるということもありますが、
                           猛暑の中で識別感覚は間違いなく落ちている。
                               50歳を過ぎれば何の色がどうしたなんてどうでもよく、
                    白と黒に単純化された色彩だけが、
                   記憶の数十番目に残る程度・・・。
                      最近の政治家の発言も色彩が失せて、
                         モノクロ状態でもの考えてるのがよく分かる。
               みなお年寄りだから・・・ね。








少年は老いやすきもの蟻地獄
                               人間あの世からこの世へ生まれてくるということは、
                        間違いなく反対側のあの世へ向かって、
                   歩き始めたことをということだ。
                       決定的に違うのは生まれてくる時は、
                  お母さんが一緒ということだ。
                                 逆にあの世への入り口を通るときはたった一人だ・・・。
                     誰も一緒になんていうのはいない。
                      大昔、あの世への入り口を通るとき、
                                           自分も一緒にと、後追って死ぬ家来がいたというのも分かる気がする。
                    しかし、後を追ったからといって、
                                     すぐ目の前にいるかどうかなんて分からないと思うけどね・・・。
                        少年老いやすくという言葉もありますが、
                やはり人間始まって以来、
                             少年という時期が一番物事を覚えられる時期と、
                    普通に認識されているのだろう。
                                  しかし、今やそんな尺度では考える時代はどこにもなく、
                         容量を超えて詰め込むだけ詰め込む・・・。
                                  一緒にこの世のスタートライン立ってくれた母親からして、
                         先頭に立って尻を叩くわけだから大変だ!
                                     この世は地獄、あの世は天国と単純化された時代とうことだ。
                             少年にして、あの世の入り口をすでに探すような、
                   この世ってどんなんだろう・・・?。








主催者吟


古井戸で割ったスイカの赤さかな

暮色濃くなりにてせみの落ちはじめ

陽に光る川面を石で砕くなり

閑散の午後を揺るがすせみの声

乗り捨ての自転車の影伸びて秋




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