渡辺さんの俳句傑作選








10月の俳句






辛口の冷製パスタ稲光
                             今年の秋はなんだか生ぬるくジワジワしている。
                          というと秋らしい秋がない感じを受けるが、
           そのとおりである。
                           秋らしい秋とは空気が徐々に乾燥してきて、
                                   吹く風にも湿気が抜けていくような肌触りを感じるのだが、
                 今年の秋は湿気たまんまだ。
                        なんだかこのままたいした季節感もなく、
                         また来年の夏を待つのかと思いきや・・・、
                          一週愛の間に寒風吹く冬になってしまった。
                                 こういう風が吹いてくるとイタリア料理が美味しくなる。
                        最近は日本流のイタリアンも出現して、
                    パスタの種類を盛り上げている。
               冷たいパスタの登場だ。
                 これが流行っているらしい。
              北風とともに食すると、
                            お腹の具合に響きそうな雰囲気ではある・・・。









虫集くリスクリターンと喧し
            今年の日本の秋は、
                                 なんだか虫の鳴き声の持続力が短かったように思う・・・。
                             若干古くなった人の記憶の秋の虫の鳴き声とは、
                   ちらほら聞こえてきた虫の声が、
             一〜二週間もすると、
                       うるさいほどの大合唱に聞こえてくる。
                              これが日本の秋の虫の鳴き声のイメージだと思う。
                     これが今年はくずれてしまっていて、
           か細く鳴き始めて、
                  そのままか細く消えてしまった。
               虫にとっても日本の秋は、
                         リスクの高いものになってきたように思う。
                            これも温暖化という状況がもたらしたリスクだ。
                              しかし、これは人間にとってもリスクがあるわけで、
              このリスクのリターンが、
                              豊かな暮らしに結びつくかどうかはわからない・・・。
                   虫の産卵の厳しくなると同時に、
                    人間に出産にも厳しくなるわけで、
                          ハイリスクハイリターンはどうもなそうなのだ。
                虫も人間の騒いだところで、
                           超ローリターンになるのは変わらないかも・・・。













東京のいびつな夜の虫時雨

                        日本の夜が夜らしいと感じるところ・・・。
                           八ヶ岳山麓にまで行かないと無理っぽい・・・。
                        日本の夜がどこでおかしくなったか・・・。
                              若者をいかに遊ばせるか政策を推し進めた結果、
                                   渋谷などは夜が更けるほどにぎやかな街になってしまった。
                  丸の内などは夜が更けるほど、
                          人口密度が限りなくゼロになる街になった。
                                  いつからこのような極端な状況に日本がなったのか・・・。
              集団就職というと今は,
                                 流行の映画「三丁目の夕日」でしかお目にかかれない、
             過去の日本の状況が、
                   今を作り出した創造主だと思う。
                      自然法則にしたがっていただけでは、
                       儲からないと気づいたのがいると思う。
                           人間の本来の生活をゆがませてこそ儲かると、
                     気づいて実行したのがいるわけだ。
                               もうここまで来るとまともな夜も昼もなくなっている。
                しかし、虫の声鳥の声は、
                        結局、何も変わっていないと思うね・・・。
                                 これが正常に聞こえなくなっているのが今じゃないかな。










中年のアニメばかりの曝書かな

                      今の団塊の世代よりやや下くらい、
                            まあ、年のころあいまでは言いたくないが・・・。
                          その世代の子供のころは漫画の創世記で、
                                    鉄腕アトム、鉄人28号、明日のジョー、愛とまこと・・・などなど
                                漫画の人気がグングン上がってくるころだったと思う。
                      三つ目が通る、ブラックジャック・・・。
                                    何しろ想像力を描きたてられるような漫画が続々出された。
                         これらの漫画がテレビでアニメ化されると、
                    その勢いは頂点に達したと思う。
                 これらの漫画を買い込んで、
                    夜な夜な読み続けた世代の蔵書。
                      父親たちの世代では世界文学全集、
                                 日本文学全集にちょっとカストリ雑誌が混じる感じ・・・。
               その下の世代になると、
                            半分いやもう少し漫画の全集物が入ってくる。
                   この状態の蔵書を父親が見て、
                            また自分の子供たちが見てなんと評価するか、
                                                 ???・・・。










灯火親し難解漢字字典引く
                         いまや電力需要は先が見えない状況だ。
                            その電力の増大を補うために原子力発電所が、
             次々計画されている。
                            アメリカなどはスリーマイル原発事故も遠くなり、
                            原子力発電所の計画が次々発表されている。
                                 アメリカらしく過ぎたことは忘れるの伝統が生きている。
                              電燈の発明以来とどまることなく伸び続けている。
                          滅亡の文字の意味に原発の文字を入れて、
                             ここで書き直したほうがいいのではないかと思う。
                            窓からもれる電燈の明かりが身近になる季節。
                            電車の立ち読みで出てきた分からない漢字を、
                       四畳半の電燈をつけて辞書を引く・・・。
                        この作業にかかる時間が年々長くなる。
                           忘れた漢字が多くなっているということだろう。
                  日本の高齢化が進むほどに、
                        家庭の電気使用量も増えていくだろう。
                    日本の原発も増えるだろうな・・・。





主催者吟


残り蝶ゆらゆら遊ぶ秋の風

時打たぬ柱時計や葛の花

秋時雨父似る咳に足を止め

歩きつつ乾く素足に秋の風

憂いある声の響きや路地の菊




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