渡辺さんの俳句傑作選








9月の俳句







天高し村営バスのきしむ音
              いよいよ猛暑の夏から、
                 天高く馬肥ゆる秋へ・・・!!
                   まあ9月も十分に猛暑なのだが、
                  気持ちの問題というのがある。
                        これから秋だという気持ちを持つだけで、
                        夜の眠りも多少違う・・・という気がする。
                田舎の秋といえば広い空、
                     深まるにつれて高さが増してゆく空。
                       いきなり人間も何も小さく見える景色。
               都会だと視界が狭いから、
                     人間ばかりやたらと目だって見える。
          疲れるわけだ・・・。
                       いまやちょっと田舎という地域になると、
                   電車は廃線というところが多い。
                 採算が合わないということで、
              バスに切り替わっている。
                しかし、バスだからといって、
                 黒字増大なんてことはまずない。
             たいして変わらない・・・。
                    ま、適当に採算と効率を求められて、
                      空気が澄んで耳がよく利くようになると、
             余計なことを求められて、
                  きしむバスの悲鳴が聞こえてくる。








秋深む裏番組はミステリー
      芸術の秋。
                          気温が下がって人間の五感がすっきりして、
                          見るもの聴くものに反の出来るようになる。
                             いきなりビアガーデンからコンサートホールへ・・・、
                         いやに高尚になってまじめになったりする。
                            分かるかどうかはとりあえず問題にしない・・・。
                      秋という季節の楽しみかたなわけだ。
                              いよいよ夜が長くなってすっきりした気候になると、
                               テレビ番組にも芸術番組が枠つきで出てきたりする。
                         猛暑の夏だったらthroughするところだが、
         季節は秋だ!。
                  秋を楽しまなければいけない。
                     裏番組に未練を持ってもいけない。
                     芸術番組にチャンネルを合わせて、
               じっくり居眠りしながらも、
                    教養を深めなめればいけない!!








廃盤のレコード回す野分中
                     秋といって必ずやってくるのが台風。
                  今年はゲリラ雷雨が大暴れで、
                     台風がビビッてなりを潜めたようだ。
               台風尾も脅すゲリラ雷雨。
                         アメリカがベトナム戦争で負けたわけだ・・・。
               イラクも危なさそうだ・・・。
           それでもとりあえず、
                           面目を保つくらいの小さいのは近づいてきた。
                           台風接近となればとりあえず自宅待機になる。
         休日ともなれば、
                        昼間から出ることもないから時間がある。
                 好きな音楽を聴くというのは、
                    こういうときはお決まりのコースだ。
               いわゆる生活の中の定番。
              しかし、時間があるから、
                                ちょっと違った行動パターンの映像を脳みそが送り出す。
                            いまはCD にも復刻されていないLPレコード・・・。
                        レコードの針なんか相当ご無沙汰だから、
                 針を下ろす手が震えたりする。
               擦れる音が新鮮でいい!!
                       台風が接近した時だけのノスタルジアだ。








連弾の姉妹の指や秋の雨

             芸術の秋がやってきた。
         どこに・・・???
                 まあ、日本全国どこにでもだ。
                              しかし、芸術の秋の楽しみ方を知っているとなると、
                      そうとう一億の人口の中でも少なめだ。
                とりあえずカタチは作っても、
                           楽しみ方まではわかってない輩がほとんど・・・。
                             真夏の猛暑の時は、やかましくて仕方がなかった、
             姉妹のピアノ練習・・・。
                   (うるさい!)と一言、出かかって、
                        ぐっと飲み込む日が続いた・・・猛暑の日。
                           暦が一枚めくられて涼しい風が吹いたりすると、
                            やかましかったピアノの音がスッと入ってくる・・・。
                  空気が乾いてすっきりしてくると、
                       鍵盤を駆ける指の軽やかさが心地よい。
               秋雨のジトッとした感じが、
                しっとりしてムードに変わる。
                           余計な一言をいわないでよかったと思う瞬間だ。
                                 こんなんが毎年繰り返されているという気もしますが・・・。








秋の海壜に書かれしギリシャ文字
          夏休みも終わり、
                 めっきり人気のなくなった海。
              演歌というほど重くなく、
                            ニューミュージックのより軽めのさみしい雰囲気。
                               ぎらぎらだった太陽にちょっと涼しい風が混じった頃。
                          江ノ島というといまひとつ気分が出ない・・・。
                     もう少し別の名前を浮かべたい・・・。
                そんな浜辺を歩いていると、
                      いろいろな漂流物が流れ着いている。
                            日本海側だと韓国だの北朝鮮だのの廃棄物が、
                  かなり山のように漂流してくる。
                      手っ取り早く海に捨てちゃった状態だ。
                      太平洋側だともうちょっと広いわけで、
                   世界の船の航路が横切っている。
                              異国の舟の酒瓶なんかが流れ着いていたりすると、
                同じ廃棄物にもかかわらず、
                     遠い異国を思って感慨がわいてくる。
                                 はるか日本の裏側の国の文字が書かれていたりすると、
                       >名もしら〜ぬ、遠〜きし〜まより・・・<
                  なんて気分に浸れるわけだ・・・。








主催者吟


長雨の止みてすずめの群れて鳴く

うろこ雲すべるがごとし鳥一羽

茜雲ヘリ飛ぶ先の黒き山

子供らのリュックの列に赤とんぼ

歩を止めて深呼吸にも秋の風





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