渡辺さんの俳句傑作選










9月の俳句




半べその 娘のヴィオロンや 秋の夕
                 夏休みも終わり、暦では秋
                      暑いままではあるが気合が入ってくる
                       娘のお稽古も本人は夏休みのままだが
              母親は気合がノッてきた
                      一括されてべそをかき始めた娘・・・・・
                            一括を聞いて聞いて、思わず後ろを振り返った
                    そういえば自分のお稽古は・・・・・・


輩(ともがら)と つながっている いわし雲
              暑いとは言っても九月、
                             すっきり晴れると細い雲が切れ切れに空を横切る
                                まだ、本数は少ないが徐々に増えていくと本格的な秋
               今年はしばらく先か・・・・・
                  仲良くつながって空のかなたへ
                            続く前に木枯らしが吹かなければいいが・・・・・


丸の内 リストラ歩く 残暑かな
                          ビルとがっちり舗装された東京の中心部
                           真夏ともなれば照り返しで40度は軽く超える
               締めがくる9月ともなれば
                            一気に首から汗が引き涼しくなる人がチラホラ
         厳しいですなー


寝袋の 児の嬌声や 星月夜
                        夏休みの自然観察で、星を山に見に行く
                        夜になって都会ではまったく見えない星が
                        降るように首だけ出した目前に迫ってくる
                        子供は感激の声で興奮気味に話しかける
            お母さん寝てしまって
                             お父さんだけ気合のない声で返事をしている・・・・


                            

秋の夜の ゲルマニウムラジオかな
                              秋になったと思うのは、日が短く感じられてきた時だ
                             小学生の頃日が短くなったとは具体的に分からず
                        夜になって、寝るまでの時間が長くなって
                   ゲルマニウムラジオを組み立てた
                          音が聞こえて来た時のなんともいえない満足
                                夜が長くなってくるとその時の感覚がよみがえってくる


爽やかに 危なしげに 逆上がり
              9月も一週目を過ぎると
                    いきなり涼しい風が吹く日がある
                    猛暑の夏ともなればそのとき一瞬
                     生き返ったという感覚が湧き上がる
                 公園を眺めていてエイッ!と
                     逆上がりをする小さな子が見えれば
                危なっかしいのではあるが
                               スカートが風を切って回るのが、かえって爽快である






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