渡辺さんの俳句傑作選
2009年 1月の俳句
寒星や肋骨背骨きしむ音
今年は暖冬。
気象庁の発表だ。
しかし、暖冬が当たり前になっている昨今、
暖冬だと言わなくても、
みなそれが当然と思っている。
当たらない天気予報で、
唯一安心して出すほうも聞くほうも、
安心できる話ということだ。
総理大臣のずれ方に比べると、
天気が当たるか当たらにかなどかわいい話だ・・・。
しかし、冬という季節である以上、
寒い日は寒いんですな・・・。
トータルして暖冬といっても、
その日その日はやはり寒い・・・。
アメリカのおかげで、
いきなり足腰の弱った日本にいると、
肋骨、背骨おまけに股関節・・・。
ちょうつがいの油も切れてくるというものです・・・。
着ぶくれてデパ地下回るメタボ妻
デパートの地下食料品売り場が人気だという。
デパートも売り上げの下落傾向がはなはだしい・・・、
ということで特に食料品に力を入れてきた結果。
デパートの地下「デパ地下」という言葉が、
単語として成立してしまった。
デパ地下=楽しみがある
って結論まで来てしまった・・・!!
真冬、寒さ厳しい折から暖を求めてさらに目指す。
メタボ度を一回り大きくして着込んだ主婦がいく。
メタボを気にして、
おいしいものを控えようと決心して、
控えられないお父さん・・・。
メタボだと言いながら、
おいしものは控えないお母さん・・・。
メタボだとわかっていても気にしないのだ・・・。
デパートが起死回生の食料品に、
力を入れるわけがわかる。
真冬日の電光ニュースとろとろと
いきなり寒くなる真冬の朝。
両手をポケットに入れ背を丸めないと、
歩けないような寒さ・・・。
暖かい日が多いだけに冷え込むとぐっと堪える。
交差点によくある電光ニュース。
これは信号を待っているときになんとなく見上げる。
ボケっと信号を待ってられないのが現代人だ。
たいして長くない待ち時間も読んでいる。
その後、覚えてるかというとまず覚えてることはない・・・。
まあ、目慰めっていうやつだろう・・・。
これが麻生総理失言なんていニュースだと、
いきなり意識もなく読むのではなく見ている・・・。
どうでもいいのだ・・・。
トヨタ従業員一万人削減などと出ると、
固まって目が点になる。
これがいきなりニュースの文字の進みが、
遅く感じられる瞬間だ。
信号が変わるのがいやに短いのだ。
首筋をめぐる真冬がますます寒い・・・。
暖冬や少女遅れて反抗期
反抗期というのはなんとなく節目であり、
長じて思い返すとほろにがき感触ありのものだと思う・・・。
感覚的には今までと違うとわかっていても、
それが何か分からない・・・。
その板挟みのジレンマが反抗期となるわけだが、
いま時は反抗期のまま大人になってしまったり、
反抗期らしい反抗期がないまま長じてしまったり、
人間の種としてのサイクルが狂いがちだ。
地球環境の変化がもたらした、
種としての人間の変化だろう・・・。
種としての反抗期を無事経過した人類と、
乱れまくっている人類はおおよそ接点はない・・・。
人類誕生以来それは繰り返されてることなのかもしれない・・・。
全くなんだか理解できない世代の子供でも、
とりあえず反抗期が現れる安ど感というのは、
現代においては格別だろう。
これだけ環境が変わってしまった世界で成長する子供たちが、
全く異星人に見えるのは、
もはや同じ人類ではないということだ・・・。
風邪薬飲んで正義の人となる
日本の政治家が記者会見でなんだかやしくなって、
それが世界に報道されてしまった。
風邪薬と鎮痛剤の飲みすぎと答弁している。
実際はアルコールもかなり入っていたという話だ。
風邪薬と酒を混ぜちゃうと、
なんとも大トラ子トラの状態になるのは決まっている。
それをそのまま記者会見してしまうと、
単に危ない状態になるだろう・・・。
結局辞任している。
風邪薬も飲んでどうなるかの実験台にでもなれば、
回りの見方は変わるかも知れない・・・。
同じ状況であっても、
ただ飲んでからむのと、
自ら実験台となり、
勇気を出して飲んで結果を報告するのとでは、
立場の上昇と下落の全く違う結果が待っている。
一寸先は闇だという格言は、
まさにを微妙な状況を言い得ていて妙だ。
主催者吟
熱燗や曇るメガネの拭きもせず
早き梅遅きを待たず散りにけり
トレモロの雨打つ窓や寒椿
正月の遊び消えたり風の路地
露天風呂電球一つ冬深む
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