渡辺さんの俳句傑作選








2009年 6月の俳句







黒南風や類語辞典でひと遊び
                   類語辞典をひっくり返しながら、
              なんとなくうなずいたり、
                妙に新鮮な驚きをもったり、
                  ちょいと声を出してみたり・・・。
              調べただけのつもりが、
                         そこからどんどんページをめくっていく・・・。
                 だいたい新鮮な言葉が多い。
                         それだけ普段使っている言葉というのは、
                 狭い範囲のものだといえる。
                英会話でも日常の言葉は、
                    中学生程度で何とかなるという。
                 それでも難しいわけだが・・・。
                  余分を入れずに次々めぐって、
                              一区切りすると妙に頭がすっきりなんかしている。
                      雑多な細かい雑念を掃除するには、
                      これはうってつけかもしれない・・・。








梅雨晴れ間立ち寄ってみる猫のカフェ
                        今年の梅雨は雨はそれほど降らないが、
            曇りの日が多い・・・。
                        湿度も結構いいところまで上がっている。
              こういうお天気の時は、
                             気分というのはかなり収縮している場合が多い。
                             多いというか下手をすとふさぎこんでいたりする。
                            曇ってジメジメで快活になれる年齢というのは、
                けっこう上限がありそうだ。
            ある程度までいくと、
                       自力でテンションを上げるは難しい・・・。
                     そこである年齢を超えたところから、
                     気分のテンションを維持するために、
               道具が必要になってくる。
                          猫、犬その他ペットを飼う年齢があるそうだ。
                    このへんの動物と触れ合うことで、
                  低めに誘導されがちな気分を、
                           一定に維持することができるようになるようだ。
          これ以下を迎えて、
                          猫と触れ合えるカフェも登場しているようだ。
                    目の付けどころはいいのかも・・・。








万緑や保育園児の逃避行
                            みずみずしい色のちょっと淡い新緑というのは、
               日に輝くような力がある。
                    生命の跳躍を感じさせる力がある。
                        自らの中にも新鮮な気が満ちているのを、
                感じることができる時期だ。
                        保育園の園児のお散歩の声が高らかに、
                    アスファルトに響くのもこの時期だ。
               小さい子供が最も敏感に、
                        季節のエネルギーを感じ取るのだろう・・・。
             保母さんの目を盗んで、
                          姿を消す子が出るのもこの季節は特に多い。
                      新入社員が姿を消すのもこの時期だ。
                   同じ逃避行でも保護される側と、
                        保護を終了する側とでは意味が違う・・・。
                            この意味の違いを把握して逃避行する大人は、
                         今の日本で果たして何人いるだろうか・・・。








麦の秋ふんだんにある余生かな

           今は60歳定年・・・。
                       これから70歳定年もありそうな勢いだ。
             年金を節約するために、
                                 なるべく70歳までに片付いてほしいということだろう・・・。
                         男の平均年齢も伸びてきて79歳まで来た。
                       女性はとっくに80歳を超えているから、
                  特に伸びても驚きはしない・・・。
                  70歳まで仕事をするというのは、
                       真にお国のためということになるだろう。
                      帝国陸軍の置き去り兵とよく似ている。
                          乗せる船がないから自分で島で自活しろ・・・。
                            自然に減っていって年金支給人口も減るわけだ。
                     今は60歳プラス5年くらいの定年だ。
                        ここから79歳の平均年齢までどうするか、
                 これを超えたらどうするか・・・。
                                50歳前後からは定年後の対策ができるかできないかで、
                          その後が大きく変わっていく時代になりそうだ。
                仕事がなくなると24時間は、
                  とてつもなく長くなりますよ・・・。








熱帯夜落第きまる夢を見て
               真夏日が記録されだすと、
                     すぐセットでついてくるのが熱帯夜。
                   日本に熱帯がつくような気候が、
              かつてあったのだろうか。
                       近年の温暖化で生まれた言葉だと思う。
                           温暖化というより熱帯化じゃないだろうか・・・。
                                 寝苦しさ120パーセントのこの漢字からして暑苦しい夜。
                   背中にびっしょり汗をかきながら、
                           浅くなったりやや深くなったりする睡眠の中で、
              小刻みに夢が巡る・・・。
                              こういう時に見る夢というのはリアルなものが多い。
              崖からいきなり落ちる夢。
                      実際に体に衝撃を感じることさえある。
                           まったく平面に寝ているにもかかわらずである。
                       こういう条件で安らまなる夢というのは、
                  なかなかお目にかかれない・・・。
                             汗の上に汗が出る夢の中で学生時代の落第・・・。
                         これは出きっている汗の上に汗をかく夢だ。
                                これは死ぬまでついてまわる夢の一つじゃないかな・・・。








主催者吟


雨の玉ぶつかり砕けて手毬花

梅雨晴れや腕相撲では姉の勝ち

髪止めの雨に打たれし桜桃忌

火蛾の打つステージライトのにぎやかさ

ロケハンや主役のあくびツバメ飛ぶ




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