渡辺さんの俳句傑作選
2009年 12月の俳句
煤逃げや犬と遠出の散歩する
年末も押し詰まってくると、
日本中ビジネスは休みになる。
一年を通じての比較的長期の休みが待っている。
そうでない人もいるわけだが、
正月休み目前の身にとって、
休める人になるか仕事の人になるかは、
実際大きな分かれ道だ。
しかし、休みに入って楽できるかというと、
実はそんな甘いものでもない。
分ってはいるが休みという響きだけで、
しょうもなく気分は上向き・・・。
しかし、休みに入ると容赦なく現実を突きつけられる。
箒をもった山の神が仁王立ちしてるのだ。
この状況も毎年のことで把握はしている。
しかし実効性のある対処ができない現実がある。
せめて犬の散歩を大きく遠回りして、
ささやかな抵抗を試みるところまでだ。
養生訓本屋でのぞく冬の雨
中高年になるとまず気になってくるのが健康。
今や全国津々浦々、
健康に関しての話題のないところはない。
友人と話す時もまず健康問題から入る。
次は仕事・・・。
一般的な話は最後の5分くらい・・・。
ここまで来ると健康という二文字が入ってると、
その二文字だけが浮き上がって見えてくる。
こういう状態が、
クローズアップされているということだろう。
すでに今の健康問題書は読みつくされてきて、
健康の歴史にまで及んできている。
その健康の歴史の出発点でもある、
「養生訓」が歴史的アイドル書になりつつある。
ここまでくると人間の生活がよくなったと、
いえるのかどうか微妙な気になってくる。
フリータ集う勤労感謝の日
大不況の昨今シッカリ仕事があればラッキー・・・。
なくて当たり前などということが、
普通になるのはやはり問題だろう。
シッカリ仕事がある範疇には、
フリーターももちろん入るのが昨今だ。
むしろ一番多い層かもしれない・・・。
勤労感謝の日に声をかけて集まってくるのは、
実はこの層ばかりだったりする。
結構もうしっかり会社で仕事をしている人たちというのは、
特に意識する日ではなくなってるのかもしれない。
むしろ今不況の中仕事をしていることを確認しあう、
フリーターの集まりなのかもしれない。
国の定めたこの日も高度成長期を過ぎて、
性格が変わってきてる現実だ・・・。
冬日和エレベータのる盲導犬
気温がどんどん下がって晩秋から冬へ。
天気が悪いと外へ出るのも覚悟が要る季節だ。
そんな日が続くと気分は超低空飛行となる。
しかし冬というのは極端な季節で、
いったん晴れるといきなり気分は上昇する。
低空飛行の期間が長いと、
さらに全日本人的に急上昇する。
真夏と真逆な状況だ。
こういうときは盲導犬もご主人様を連れて、
遠出の外出だ。
盲導犬といえでもゆったりした気分で歩けるだろう。
エレベーターにもゆったりと誘導して乗っている。
干し柿のあいさつうける駅舎かな
ちょっと田舎の駅にも晩秋の彩りは迫ってきて、
赤や黄色そのまんま緑ってな感じにもなってくる。
柿の木が植えてある駅なんか見ていると、
柿が色づいてくる様子を実地で楽しむことができる。
都会の駅では得られない特典付きだ。
しかし、こういうすぐ人が手を伸ばせば、
取れるところにある柿というのは、
甘〜いゴマの入った柿だろうか・・・。
見事に実る柿の柿色は結構華やかだ。
渋柿でも甘い柿でも人の手が入らなければ、
冬を迎える鳥の貴重な餌となる。
最後に残った柿はそのまま天日に干され、
ちらほらの残り柿になるころは、
乾いてきて干し柿になり、
駅に向かって冬の到来を告げる、
挨拶になるのかな・・・。
主催者吟
枯葉打つ乾ける音や眼鏡拭く
一斉におかわり山のキムチ鍋
幾重なる山抱きしめて雪の富士
大鳥居続く山道枯葉なり
母と寝る赤子に冬の日差しかな
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