渡辺さんの俳句傑作選
2010年 4月の俳句
ニュートンに逸話は多し花馬酔木
ニュートンと言えば万有引力。
先ず引力というと必ず出てくる名前だろう。
木からリンゴの落ちるのを見て、
引力についてがひらめいた・・・。
このくらいの逸話は誰でも知っている。
しかし、これはどうも本当ではないようだ。
このくらいの偉人になると、
ただ万有引力の発見者的な話では終わらない。
根掘り葉掘りのもっともらしい逸話が五万と出てくる。
必ずしもいい話ばかりでないのがつらいところ・・・。
あまり一般的でない逸話を見るけたりすると、
いつ誰にどこで話すか、
考えてるだけで楽しくなる。
暑さが増す前の午後の日向で、
ニュートンに思いをはせてみる
春雨や露語仏語舞う東大寺
平城京遷都1300年、
せんと君というキャラクターを出現させて、
かわいかわいくないと物議を醸している・・・。
そんなことはどうでもいことなのだが、
どちらかに決めたがるのが日本人。
しかし、このキャラ1300年祭が始まって見ると、
予想以上によく働いている。
醜いあひるの子を彷彿とさせる。
こういう歴史的都市に集まるのは、
日本人の観光客・・・、
ではなくなっているのが現代。
ロシア語、フランス語、英語・・・。
いや、一番多いのは中国語だろう・・・。
余命など数えるなかれ春嵐
人生も50歳を過ぎると、
定年が視野に入ってくる・・・。
定年が視野に入ってきて、
そこを通り過ぎると、
自分の寿命が気になってくる。
親の死んだ年を数えてみたり、
若かりし頃のむちゃくちゃな生活を振り返って、
無茶苦茶度を推し量って見たりする・・・。
しかし、だいたいはなにをどう考えようが、
何かを根拠として計ろうとしても、
結局人の寿命などは分るものではない・・・。
非常な短さを嘆いたり、
異様な長さを憂いてみても、
所詮神のみぞ知る世界の筆頭だろう。
そんなことを考えるより、
うまいもんをどう食べるかを考えたほうがよさそうだ・・・。
山笑い獣医先生開業す
今の時代はペット全盛だという。
とにかく朝歩いてるだけで、
かなりのワンさんの散歩と出会う。
しかも、その歩いてる犬種の多様さにも驚くわけだが、
まずよくコーディネイトされていてしかもひんがいい。
こちらよりセンスがいいくらいだ。
健康のための歩数を獲得するために、
飼うということもあるらしい・・・。
散歩という絶対不可欠なことで歩く・・・。
人間には重要なことの一つだ。
しかし、ペットのワンさんにしても、
健康には注意されなければならない。
ということは、いまペットに関する医療というものにとっては、
環境は最高ということだと思う。
ペットの病院がご近所に、
いきなり開業されてもおかしくないということだ・・・。
緑萌える季節に開業はいいかもしれない。
春の山ファラオのごとき老教師
ファラオと言ってまず頭に浮かぶのが、
エジプトの古代王朝の王ことだろう・・・。
ピラミッドなどの巨大建築を遂行した王だ。
この時代のエジプトの王はすべての権力を握っており、
すべてを動かすことのできる絶対の権力を握っていた。
教師も年輪を重ねてくると、
ちょこまか動かない・・・。
行動させるつぼを押さえて指先で指示する。
生徒のそばに立っていながら、
遠くにいるような悠然とした雰囲気を持っていて、
みなを静かにさせてしまう。
たまにこの静かな雰囲気の空気が読めずに、
声を発する者がいると一睨みで黙らせる。
この近づきがたい雰囲気が、
ファラオのような絶対性を持っているように見えるのだ。
たんに皆煙たがって、
近づかないってこともあるのかもしれないが・・・。
主催者吟
けつまずく石蹴る先の朧月
名演やウトウト片目春の宵
寝坊後の軽き頭痛や春の百舌
赤ちゃんの頬にゆる風藤の花
鼻毛抜く痛みにうるむぼけの花
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