渡辺さんの俳句傑作選








2010年 7月の俳句







合コンに一人足りない梅雨晴れ間
                       合コンといえば若い連中の言葉だろう。
                           ある一定の年齢になると消える言葉でもある。
      合コン・・・。
                             男女の人数が合わないとちょっとした事件になる。
                  人数合わせに感じは奔走・・・。
                      この言葉の消えた年齢人から見ると、
                          涙ぐましいというかちょっと滑稽というか・・・。
                    この言葉の消えた年齢になっても、
             出会いがない場合は、
                         涙ぐましい、滑稽より覚悟が求められてる。
         すべてが整うと、
                        幹事は梅雨の晴れ間の気分満喫だろう。








梅雨籠りぱらぱらめくる古今集
          梅雨の雨が降る。
                          しかし、ゲリラ豪雨などの言葉にあるように、
                          古人の目にしていた梅雨らしい雨というのは、
               ほとんど見られなくなった。
                       日本の気候が変わってきたということだ。
                       そんな現代日本にゲリラ豪雨の合間に、
                     シトシトっという雨が降ることがある。
                               そんな時は、その少しジメっとした空気感を感じながら、
                         いにしへの古今集の大和言葉を楽しむのも、
                これまた風情ありだろう・・・。








夕映えのパリラテン区のかたつむり
              パリのラテン区といえば、
                      もうそこにはヨーロッパという枠から、
                 少し外れた文化が存在する。
                  そこに一歩足を踏み入れれば、
                      流れる空気の感触さえ違ってくる・・・。
                 ひとしく暮れていく夕日の光。
                   どこも同じ色合いになるはずが、
                       場所によって目に感じる雰囲気が違う。
                       これがモザイク都市パリなのだろう・・・。
                  そんな人間のあれこれ関係なく、
                      かたつむりはどこの国でも一緒だ・・・。








父の日や絵文字だらけの子のメール

                 父の日という日の認知度は、
                   今どのくらいになっただろう・・・。
                      母の日が歌にまで歌われて状況から、
                             今現在どのくらい認知度を挽回しただろうか・・・。
                子供たちの努力というより、
                   お母さんの努力かもしれないが、
                      お父さんの日にプレゼントという話が、
               多くなったような気がする。
                    日ごろの気持ちを言葉で言うには、
                   子供は言いだしにくいのが父親。
                              携帯のメールもこの時ばかりと活躍してくれそうだ。
                             言いにくい感謝の気持ちの言葉は絵文字で・・・。








古女房機嫌上々夏土用
            御夫婦も年月を経て、
                            古くなってくるとそもそもそれほど気にしない・・・。
              いいか悪いかというより、
                        そんなもんだろうと言ったほうが得ている。
                    それでも互いのご機嫌というのは、
                  その都度気になるのは確か・・・。
                       節目節目の女房のご機嫌やいかに・・・。
          この夏の土用の日。
                       ウナギを前にして若干皺の目立ってきた、
                  女房の目尻がゆるんでいた・・・。







主催者吟

蝉しぐれ幾重も重ね盛夏来る

風と雲はらいてとどろく蝉時雨

花火消え闇の深さに声もなく

古書店の書棚の匂い蝉しぐれ

蚊帳に入り冷んやりとせし山の宿





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