渡辺さんの俳句傑作選
2010年 8月の俳句
ゴスペルのステップ弾む星月夜
ゴスペルといえば黒人の間で歌われる讃美歌だ。
讃美歌といえば、
普通のイメージとしては流麗な旋律を思い浮かべる。
有名な讃美歌には、
そういうメロディーが多いこともあるかもしれない。
しかし、ゴスペルはそういうイメージではとらえられない、
独特のリズム感、節回しがある。
☆のまたたきは、
実はそういうゴスペルのリズムがよく合うのかもしれない。
猫入れて川の字になる昼寝かな
ネコを真ん中に入れて、
両サイドは主人公と誰だろう・・・。
下世話に考えると・・・。
想像力というのはこういう場合、
年代層によって違ってきそうだ。
イマジネーションというのは、
年輪を重ねるごとに固定化してくるというのを試すには、
これはいいかもしれない・・・。
試される作者はたまらんかもしれないが・・・。
近況に絵文字も入れて生身魂
携帯メールに絵文字をつけて・・・。
これはもう普通のことになっている。
絵文字が入ってないと、
いやに深刻な内容じゃないかとピンと反応する。
絵文字が入っていると、
自分の中での気楽な反応にホッとする。
近況報告に絵文字もなにもなく、
いきなりかしこまった言葉を見ると、
いきなり緊張したりする・・・。
絵文字の効能が心理的にはけっこう大きいことが分る。
恐竜の時代の光星月夜
宇宙のかなたからはやぶさ帰還。
今年の大ニュースになった。
7年かけて健気にも帰ってきた姿に、
全国民のある程度の人数は感動を覚えたことだろう。
しかし、銀河系宇宙のそのまたはるか10億年先の光が、
いま地球に届いている。
恐竜が見たであろう星の光をいまわれわれは見ている。
これはもう大きなロマンになる・・・はずだった。
なぜ、だったがつくのか・・・。
都会ではまず星のほとんどは見えないからだ。
見えないから話題にもならない。
そんなこと言われたって・・・なのだ。
ロマンというのは具体的でないとまず難しいものだ・・・。
冷奴無邪気な妻の笑い皺(シワ)
猛暑には冷奴。
夏の定番メニューだ。
夏というのは実に安上がりな食材が一等になる。
しかも栄養価はけっこう高い。
しかもメタボの心配もない・・・。
軽快に財布も気にせず、
奥さんとパカパカ食べている時に・・・。
思わず笑ったその顔の中に、
今まで気づかなかった皺の波が・・・。
思わず無邪気に笑い返した笑いが、
若干ひきつりながら終わる・・・。
真夏の夜の悪夢か・・・。
主催者吟
蝉しぐれぽっかり雲に吸われけり
湯に揺れるムンクかピカソか夏木立
シェービングクリーム増やす秋めく日
湯に下りて揺れ続けたる夏の月
舌づつみ久々打ちて夏の宿
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