渡辺さんの俳句傑作選










11月の俳句




 凛とした 少女ゴルファー 野菊晴れ
                         スポーツの世界も低齢化が進んでいる
                 ゴルフの世界にもつい現れた
                  きりっとひきしまった表情の中に
                      まだあどけなさが残り、笑顔は少女だ
                       秋晴れのコースの中にその姿を見れば
                     野菊のように小さく可憐ではあるが
                    野生を思わせる立居姿が凛々しい


 合併の 新村名や 虫時雨
                   最近の傾向は町や村が合併して
                        面積を広くするのが当たり前になっている
                      行政上の利点を狙ってのことだろうが
                           昔ながらの名前が消えていくのは寂しい限りだ
                     合併したところで秋に鳴く虫たちには
                            何の得点も欠点もなく同じように鳴き暮している
                       名前を変えたところでたいした変化もない



秋の蚊や 介護する人 される人
                               最近の温暖化のせいかで結構涼しくなってきても
                           一匹くらいの蚊が耳元でやかましいことがある
                   介護するというのはどんな人でも
                            結構、精神的にも肉体的にもきつい部分がある
               介護される側はどうだろう
              決して気楽なわけがない
                         涼しくなってきてやれやれと思っている時に
                       きびしい夏の暑さを思い出させるように
                             のこり蚊が耳元では音を立てて飛び回られるのは
                なんともうっとおしい・・・・・・



皺取りの エステのチラシ 文化の日
                                 女性にとっては秋も深まってきて、空気が乾燥してくると
                       顔の皮膚が気になりだすとよく耳にする
                     それを見透かしたようなタイミングで
              チラシが折り込まれてくる
                               それが文化の日あたりとエステサロンは計画している
                ちょうど冬の入り口でもあり
                                     ここらでひとつということで腰を上げる婦人も多いということだ
                                   徐々に全国的風物詩化していくのではなだろうか・・・・・・



少しだけ ココア濃くして 文化の日
                        9月、暑い夏を引きずったまま仕事に突入
                               10月はさらに忙しく、台風も来るという状況で・・・・・
               11月にはいってすぐの休日
                              日曜日があっての休日がなんか得したような・・・・・
               そんな気がして外を見ると
                  なんともホッと緩む日差しがある
                        ココアでもとスプーンに粉をすくいながら
                      粉の山を少し高くしてカップに入れる

                
        



ストレスを 煙にまいて 秋刀魚焼く
             秋といえば秋刀魚だ!
                           さすがに今、しちりんで団扇バタバタはないが
                               しちりんという言葉自体が広辞苑からなくなりそうだ
                          しかし、その秋刀魚を焼くときの煙はすごい
                       団扇をたたく人が視界から消えるほどだ
                                その煙の安全な迫力にスーッと胸の中はスッキリだ!
                       それが、仕事が煮詰まってくる季節には
               非常にいいのだが・・・・・・



キャンバスに はみ出している 秋の海
 
                      秋深しで清澄なる空気の中で海を見る
                       夏には感じることにできない広さがある
                   この海の広さを絵に描いてみると
                                     きっとそのキャンバスもあっとういう間に海の青に飲み込まれて
                       それだけまた海が広くなっている・・・・・・
                    ちょっと大げさなな夢を見ていたい






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