渡辺さんの俳句傑作選







2010年 10月の俳句






天高し鉄アレイふる散歩かな
                             今年の秋は秋らしい空というのがどうも少ない。
                        それでもあの猛暑から解放されたという、
                          一種の解放感をもてる気温にはなってきた。
                      極端な気温の変化も特徴的だった。
                   今夏熱中症で死亡した人数は、
                                歴史上はじめての多さだったのではないだろうか・・・。
                  その極端な夏を生き抜いて秋。
                  やはり何事も切り抜けるには、
                   体力だということで鉄アレイ・・・。
                             鉄アレイをふりながら散歩は40代までだろう・・・。
                   50代になると早めのジョギング。
                          60代は腕をしっかり振りながら散歩だろう。
                            ここまでの年齢に来ると鉄アレイは体に悪そうだ
                 秋の運動も年代ごとだ・・・。








阿久悠の内気な笑い暮れの秋
                      阿久悠といえば昭和の大作詞家だ。
                             とにかく一時はヒットした曲の作詞家欄を見ると、
       阿久悠・・・。
                           演歌から幅広いジャンルに詩を提供している。
                あれもこれもって感じ・・・。
                     どの詩にも必ず陰の部分があって、
                  そこに人間臭さがあった・・・。
                          平成の歌とは一線を画するところでもある。
                         外に発信しながら内面的な要素が強い。
                        そういう陰の部分の笑いを感じるのも、
                昭和の人間までかな・・・。








文化の日ヤマダ電機とユニクロへ
             11月3日、晴れの特異日。
                文化の日という祝日でもある。
       こういう日こそ、
                      文化的な場所へ足を運ぶのがよろしい。
                     催し物も結構あちこち店を広げている。
                         京都では正倉院御物の展覧会をやっていて、
                          奈良では平城京遷都1300年祭もやっている。
                      なかなか文化的価値も大きい催し物だ。
              でも一番人気があるのは、
                ヤマダ電機とユニクロかな・・・。
                過去の文化より今の文化・・・。
                         今も昔もやはりこれは変わらないんだろうな。








写メールで送られてくる柿紅葉

                     携帯電話が普及して便利になった。
                 確かにそれは確実に言える。
                   公衆電話を探してウロウロとか、
                        十円玉を両替するのにウロウロとか・・・。
                     それがなくなっただけ便利になった。
                             しかもメールという瞬時の連絡手段が生まれた。
                         これは全国の今の状況が瞬時にわかる。
             携帯電話ができる前。
                                手紙にいまの状況を書いて説明するのが普通だった。
                       しかも今は写真付のメールが出せる。
               言葉はいらないのだ・・・。
                            日本人特有の情感の欠如はさらに進むだろう。
                                  平成の文化は携帯電話から発信されていくだろう・・・。








鰯雲庭球場の午後の鬱
                   鰯雲が空に浮かぶ秋晴れの下。
             スポーツの秋よろしく、
                          いろいろなスポーツ行事が開催されている。
                     テニスの国際試合も行われている。
                テニスの試合というのは、
                   両選手同士の玉のうちあいだ。
                        時々打つ瞬間選手が声を発したりする。
                     それ以外はポコーンポコーンという、
                         ラケットで球を打つ音だけが繰り返される。
                   おおむねポコーンの繰り返しだ。
                     この乾いた音を聴き続けていると、
                        気分から湿り気が徐々に蒸発してきて、
                           心模様はパサついたものに変化していく・・・。







主催者吟

ジョガー踏む枯れ葉の音の大なる日

列車降り草の匂いや虫の声

夜の窓に映れる顔やそぞろ寒

乾きたるすすきの音に秋の声

萱屋根のまばらな村に彼岸花





メニューへ



topへ