渡辺さんの俳句傑作選
2011年 8月の俳句
新緑や高原にある水族館
いま巷で静かに流行ってるのが水族館。
なぜ流行ってるのかというところが問題。
子供に人気というだけでは人数が増えるわけでもない。
仕事の合間に尋ねるサラリーマンの数が増えている。
ということで来館人口のカウントが増えて、
静かなブームということになる。
水槽の中で何の不安も感じることなく、
泳いでいる姿に魅せられるそうだ・・・。
常に不安をどっかに抱える現代人から見ると、
水槽の中とはいえ気ままに泳ぐ姿には癒されるということだ。
しかし、水槽の中で泳ぐ魚に不安がないということはない。
大地震が来ると水槽が破壊されて全滅となる。
見た目以上に危険にさらされてるのだ。
しかし、そこまで考えてしまうと、
癒しの効果はなくなってしまう・・・。
街中の水族館に不安を感じたら、
高原の水族館がいい・・・。
新鮮な空気、明るい紫外線の若干多い光。
そんな中で泳ぐ魚たちは、
よりマッタリした雰囲気を放っているだろう・・・。
サングラスかけて毎日日曜日
不景気日本!!
超円高と大震災、大雨・・・。
いいところが探せない日本。
仕事に就けない若者の急増。
リストラの嵐の中の中高年。
ギリシャなどはほとんど失業者だから、
真昼間若いも中年も堂々と歩きまわっている。
いい若いもんがとか働き盛りなのにとか、
一切言葉になって出てこない。
アメリカも似たようなもんか・・・。
しかし、我が国日本は、
リストラされた中高年はなぜか肩身が狭い。
不景気なんだからリストラされて、
昼間っからスーパーにいてもおかしくない。
それでもやはり肩身が狭いと感じてしまうのが、
日本人の寂しい性か・・・。
サングラスかけてウロウロする中高年を見れば、
背中にリストラを背負ってると見たほうがいい・・・。
Sunday毎日状態に後ろめたさ感じる日本人なのだ。
中学の絵日記三つ曝書かな
夏休みも終わり、
学生たちの姿がドッと街中に溢れる。
小学生から高校生くらいまでなのかな・・・。
大学生はさらに長く休んでるから、
このドッとの中には入ってない・・・。
今も昔も変わらないのが夏休みの宿題の絵日記。
子供の絵日記をこそっと覗いたりする。
まあ、だいたい付け焼刃っぽい文章が並んでる。
内心「なんだこれ・・・」って感じで読んだりする。
でも自分の絵日記が出てきたりして、
中学3年間の絵日記がごそっと・・・。
パラっと読んでみると、
ほとんど内容も何も盗み読みした絵日記と変わらない。
これって学校教育が始まった時から、
ほとんど変わってないものの一つじゃないか・・・。
なんだか薀蓄が増えたという出来事だった。
厨房でニーチェ読みつつトマト食ぶ
最近の注目度の高い本の中に、
いわゆる「お言葉本」がある。
古今東西の導き言葉が網羅されている。
宗教本というわけでもないが、
人生における教訓ともいうべき言葉が並んでる。
最近ではブッタの言葉という本まで出ている。
学校で何も教えてくれないから、
この分野でも外から学ぶしかないということだ。
ただこれも若者対象ということだろう。
中高年になってくると、
ありがたいお言葉もその時は感激して読むのだが、
半日も経つと覚えてない・・・。
なんの肥やしにもならないのだ。
厨房で読めば何か食べながらであれば、
栄養にはなる・・・。
ニーチェの言葉は厨房を出るころには忘れてしまって、
心の栄養までは届きそうにない・・・。
ジャンケンにいつも負ける子雲の峰
子供たちのグループでは、
なにかにつけてジャンケンで、
物事を決めるという風習がある。
西洋では、
ジャンケンで物事を決める習慣があるかどうか・・・。
まあ、それはあまり深い考察がなされてないので、
脇においておいて、
日本の子供たちは複数で決める時はジャンケンだ。
その中でも不思議といつも負ける子が必ずいる。
運不運といえばそれまでだが、
必ず貧乏くじを引き受ける子というのはいるもんだ。
本人も徐々に自覚が出てくると、
負けをすでに覚悟して事が多い・・・。
しかし、それでもたまに勝ったりすると、
驚きと喜びが同時に爆発する・・・。
回りの子たちが思わず一歩引く・・・。
入道雲のようなオーラが一瞬その場を支配する。
こういう状況を想像すると、
この句の味わいが増すというものだ・・・。
主催者吟
落ち蝉の踏み避けるたび秋の風
虫の音の聞こえるままに回り道
品書きの紙風に飛ぶ祭りあと
コーヒーにミルクにじませ祭りあと
君のいる町過ぎ夏の光る海
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