「映画でひとこと」−『アメリ』
(初出 2002/12/6〜8)


妹が借りてきたDVD、『アメリ』を観てみました。
去年フランスで公開されたという、結構新しい映画です。
かなり評判になったので、ご存知の方も多いでしょう。
私も少なからず気になっていた作品でした。

まずは第一印象を言うと、その映像美!
線はシャープ、色彩は赤と緑を基調に統一されていて、非常に鮮烈な色使いになってます。
また、全体的に暖色を多く使っているため、ほんわかした感じもあります。
一番印象に残ったのは、アメリが水切りをする場面。
赤い服を着たアメリが、緑に囲まれた川の橋に立って石を投げるんですけど、キレイなんですよ、色彩が。
ただしちょっといじりすぎているため、自然な感じがしないところがあって、人によると受けつけないかもしれません。
変に凝りすぎた効果が使われているところもあり、そこは私もあまり好きではありません。
CGもところどころ使われていますが、これについては後述。

主人公・アメリを演じるはオドレイ・トトゥという女優さん。
かわいいです。
キュートです(同じか)。
ん?ぽっちゃり好きのはずだったのでは?と思う方もいるかも知れません。
オドレイ・トトゥは痩せてますからね。
ただ、「彼女にしたい」っていう類のかわいさではないかも。
目がクリっとしてて、ちょっとおどおどした感じ。
生物学的見地から言うと、生物の遺伝子には、顔に占める目の表面積が大きいほどかわいく感じるプログラムが組みこまれていると聞いたことがあります(そういう仮説があるにすぎないんでしょうけど)。
ほら、赤ちゃんって顔はちっちゃいけど、目が大きいじゃないですか?
だから、か弱い赤ちゃんを保護したくなるように、目が大きいのをかわいく感じるようになってる。
そういう感じのかわいさなのかも知れません、個人的にですが。
あとフランス語、ってのもかわいく見せる要素なんでしょうなぁ。
それから女性から見てもかわいいんだろうと想像できます。
足なんかも細く、顔立ちだって・・・こういうのはいろいろ言うより、写真見てもらった方がはやいですかね。

ではストーリーを簡単に紹介しましょう。
空想好きのアメリは、ある出来事をきっかけに、まわりの人たちを幸せにする悪戯をするのが趣味になる。
ある日、ちょっと変わった青年・ニノと運命的な出会いをするが・・・
ってな感じ。
アメリは空想好きなので、現実の青年ニノに会うことに恐怖感を持っていて、なかなか自分から名乗ることはできません。
空想メルヘンの世界から現実の世界へと飛び出すことができないんですね。
そこでいろんな策を講じるんですが、土壇場で怖くなって会わない。
そういうことを何回か繰り返すんですが、見ていてちょっとイライラしました。
これがオンナノコなら、もっとドキドキしちゃったりなんかしちゃったりして楽しめるんでしょうけどね。
男から見たら「はよいかんかい、この妄想家め」なんて思ってしまうわけです。

幸せにする悪戯、ってのが、小ネタ的にいくつかのエピソードとなって展開するんですが、一つだけいただけないところがありました。
それは、八百屋の親父(やなやつではあるんですが)の部屋に忍び込んで、歯磨き粉を足に塗る薬と置き換える、などの悪戯をするところ。
他の悪戯は、人を幸せにする悪戯なんで見ていて微笑ましいんですけど、ここだけは悪戯がネガティブな方向に働いていて、見ていてちょいイヤな気持ちになりました。

あと下ネタというか、セックスの描写もちょこちょこ出てきます。
おそらく「真っ当に素敵な御伽噺」を期待する人はそこで拒否反応を示すでしょう。
私は下ネタ大好きだし、また、セックスも生活の一部であり、それを表現すること(実生活でではないですよ、念のため)はリアリティの一つでなんら問題ないと思っている人なので大丈夫ですけど。
逆にタブー視する人の方がいやらしいと思ったりもします(のわりに自分のサイトでは下ネタ禁止ね、とか言ったりする)。
で、セックス描写にプラスして上で述べた通り、CGもでてきます。
かわいくて女性に人気の女優+セックス描写+CG・・・こんな感じのが他にもあったなぁ・・・
NHKでやってる『アリー・myラブ』というドラマもそうでしたね。
『アリー〜』では、舌がにょり〜んと伸びたり、赤ちゃんがクネクネ踊ったりするんですが。
あれは嫌いでしたが、『アメリ』のCGはなんとなく受けつけられました。
多分最初から「ちょっと非現実的な話」という認識で見たからなんでしょう。
『アリー〜』はなんの予備知識もなく見た上、職業が弁護士という、非常に現実的な設定だったので、違和感があったんでしょうね。

さて、総括。
全体的には主演女優の魅力・かわいさ爆発、映像は美しく、微笑ましいシーン多く、音楽もよくて、私個人からしてみれば、合格点です。
ただしストーリーは、悪く言えば「現実社会に適応できない電波系妄想少女が、犯罪行為を含めた様々な悪戯をし、優男ではあるが趣味のおかしい変な男にストーキングして最後にはやっちゃう」というもので、ノーマルな感覚しか受けつけない人や、非現実的なお話が嫌いな人、せっかちな人なんかには受け入れられないでしょう。
しかし「男子になかなか告白できないオンナノコ」的なドキドキ感を味わいたいベイビーちゃんたち(及川光博風)には超オススメです。
男が見るには・・・微妙。
私はそれなりに楽しめましたが。

(映画データ)
『アメリ』(仏)
原題:『Le Fabuleux Destin d'Amelie Poulain』
公開:2001年
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
製作:クローディ・オサール
脚本:ギョーム・ローラン、ジャン=ピエール・ジュネ
主演:オドレイ・トトゥ
管理人お気に入りポイント(★=1、☆=0.5。最高5):
★★★★

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