「映画でひとこと」−『ライフ・イズ・ビューティフル』
(初出 2003/8/29〜9/7)

もう一ヶ月以上も前ですが、HN:Sutekingと『ライフ・イズ・ビューティフル』のDVDを観ました。
私のすごーく好きな映画の一つなんで、一度はレビューをせねばと思ってはいたものの、ここまでズルズルときてしまいました。

この映画は前半と後半に分かれます。
これはもうきっぱりと分かれます。
前半は主人公のグイドがドーラを娶るまで。
後半はナチに収容所に送られてからの話。
グイドと息子のジョズエはユダヤ人として収容所に連行されてしまい、妻ドーラも追って自ら収容所へ。
グイドはジョズエに収容所に来ているということは話さず、大きなゲームに参加しているんだと嘘をつきます。
点数を稼いで1000点取れば本物の戦車がもらえるんだと。
そして最後は・・・

先に言っちまいます。
この映画の魅力は、ロベルト・ベニーニそのものと、「偉大なるオプティミズム」と、その背後にある愛情です・・・あぁ、愛情なんてことを書くのもこっ恥ずかしいんですが。

ベニーニ自身の魅力は前半・後半分け隔てなく、随所にいかんなく発揮されています。
彼の動き、セリフまわし(私はイタリア語はわかりませんが、口調や表情ね)、とにかく彼の表現全部が私は好きです。
これはもう見てもらうしかないでしょうけど・・・

それと、絶望の中でも決して悲観せずに明るく乗り切っていく、そうした強さがあり、これが大きな魅力の一つになってます。
これを上では「偉大なるオプティミズム」と言ったわけですが、単純に楽観的なのではなく、辛いときにもウィットに富んだジョークを飛ばしながら建設的に状況を楽観視するというか。
『ショーシャンクの空に』も絶望的な中、決して希望を捨てなかったところに感動があったんですが、この作品では希望を捨てないどころか明るく乗り切っていくんですよね。

いくつか面白いエピソードがあって、一つはドイツ兵が収容所内の規則を皆に伝えるんですが、それをグイドが通訳を申し出て、ジョズエにそこがゲーム場だと思わせるためにむちゃくちゃな訳を伝えるところ。
ここは一番笑えましたね。
それから所内でちょっとした隙をついて放送室に入り、妻のドーラに「元気だよー」などアナウンスするところ。
いいエピソードです。
辛い収容所生活の中でもそうして妻のことを忘れず、強く愛情を持ちつづけていることがよくわかります。

こうしたエピソードの一つ一つの後ろに、必ず妻と息子への愛情があります。
ジョズエに「これはゲーム」と嘘をつくことも愛情あらばこそ。
ドーラに放送室から声をかけるのも愛情あらばこそ。
ベニーニ自らがインタビューで語っているように、これはラブ・ストーリーなんです。
妻への、息子への愛情を綴った物語なんです。
そしてその愛情に裏付けされたグイドの行動は、例えそれがドイツ兵の通訳の場面のような笑える場面でも、やはり感動的です。
笑いの中にも感動。
そこがまた素晴らしいんです。

あとこの映画の後半を見て思うことは、「心の持ちよう」ってことです。
いくら辛い状況にいても、心の持ちようで感じかたもだいぶ違ってきます。
「もうあかん、辛い、しんどい」と思っていると、その辛さは2倍にも3倍にもなるでしょう(ズバリ、いつもの私です・・・)。
でもグイドのように明るく考え、空(から)元気でも楽観視することで辛さは軽減されるはずです。
さらにおもしろおかしく状況を捉えることができれば、もっと辛くなくなるでしょう。
そうなるには絶望的な状況に屈しない心の強さと、面白さにつなげられるだけの知性が必要ですが。

辛く、深刻になりそうな場面でも、ウィットに富んだジョークを飛ばしながら、明るく知性を持って気負うことなく、まるでなんでもないかのように乗り切る。
ソウイウモノニワタシハナリタイ。

(映画データ)
『ライフ・イズ・ビューティフル』(伊)
原題:『LA VITA E BELLA』
公開:1997年
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本:ロベルト・ベニーニ、ビンチェンツォ・チェラーミ
製作:エルダ・フェッリ、ジャンルイジ・ブラスキ
音楽:ニコラ・ピオバーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ
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★★★★★

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