「映画でひとこと」−『マレーナ』 (初出 2003/1/8〜10) 風邪をひいてることを口実に、「ゆっくりせねば」と借りてきたDVDを観ました。 観終わったころには熱が上がってきて、天罰覿面(てきめん)ってやつですが。 今日観たのは、『ニュー・シネマ・パラダイス』で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督作品、『マレーナ』です。 あらすじからいきましょうか。 第二次世界大戦が始まる頃の、イタリアはシチリア島が舞台。 お色気ムンムン・パーフェクトバディのマレーナ(モニカ・ベルッチ)は、いつも男からは好奇の視線にさらされ、女からは嫉妬からひそひそ陰口を叩かれる。 人妻だった彼女も、夫が戦死したことから独り身で生きていくことを余儀なくされるが、女独りで食い扶持を稼ぐために仕方なく寡婦となる。 その彼女の人生の転落を、見守る少年がいた。 彼女に恋心寄せる12歳の少年、レナート(ジュゼッペ・スルファーロ)である。 レナートの目を通して、マレーナの過酷な境遇が描かれていく・・・ ってな感じです。 最初っから水さすようなこと言わせてもらうと、女性は観ないほうがいいかもしれません。 特にフェミニストは。 マレーナの悲劇は彼女の美しさが根源で、→男が好奇の目で見る、言い寄る→他の女たちが嫉妬する→マレーナ(゚д゚)マズーという構図なんです。 女性から見ると、色気に振りまわされる男を見ても不快だろうし、それに嫉妬する女を見るのも不快なんじゃないかと思うわけです。 こういうことは、現代社会でも少なからずありそうなことなんですけどね。 しかもマレーナは、やむをえない事情とはいえ寡婦になるわ、レイプはされるわ・・・ 「女性の性的決定権と社会的自立はどこに?」なんて、婦人問題研究会所属のフェミニストなら血相変えて怒るところかもしれません(そんなことはないか)。 上でもちょっと言った通り、男も女も汚らしく描かれているんですが、極めつけは集団私刑の場面。 女は嫉妬を爆発させて暴力に訴え、男はそれに対して傍観するだけ。 ここは女性でなくとも不快感を覚える人も多いかもしれません。 結構惨いシーンなので、ここも女性は観ないほうがいいかも、と思えるところです(こういう「女性は残酷なのに弱い」といった決めつけが、フェミニストの恰好の餌食なんでしょうけど)。 男が傍観するだけ、と言えば、12歳の少年・レナートもほとんど何もしません。 悪く言えばストーカーのようにマレーナにつきまとって、覗きまでして、何回も彼女のピンチの場面に出会うのに何もしない。 「そこで助けに入らんかい」なんて思うこと数度。 これはやっぱり彼がまだ子どもだからでしょう。 力のある大人であれば救うこともできるかもしれないが、子どもが入っても何もできないと思っていたからでしょう。 その証拠に、彼は教会へ行って天使かなにかの像に、「ぼくが大人になるまで代わりに彼女を守って」とお祈りしています。 さらに、大人になろうなろうと必死でもがきます。 半ズボンをやめる、とかそんな程度のことしかできませんが。 でも、そうして彼女の危機に立会いながらも何もできなかった苛立ちというか、もどかしさが、成人してからもマレーナの思い出を色褪せさせなかったんだろうと、私は思います。 今度はこの少年・レナートの役どころに眼を向けてみましょう。 レナート演じるジュゼッペ・スルファーロという子役は二千人の中からオーディションで選ばれたそうな。 『スターウォーズ・エピソードU』のヘイデン・クリステンセンを、ラテン系にギュ!っと濃くしたような感じ。 いやー、いいです、この役。 何がいいって、モニカ・ベルッチとのチュウがあったり、半裸の女性たちとの絡みがあったり。 ・・・おっと、そういう意味ではなくて、男から観るとこういう役どころってのは感慨深いもんなんです。 何が感慨深いのかというと、もう第二次性徴期バリバリで、エッチな妄想大爆発なんですよ。 いきなりマレーナをみただけでムクムクっときたりして(何が?ナニが)。 で、マレーナの裸を想像したり、マレーナと「ジェーンとターザン」になるところを想像したり、もっとアホらしい想像にふけったりするわけです。 まるっきりお馬鹿です。 でもね。 オトコノコってのはそういうことするもんなんです・・・ これで健全なんです。 元オトコノコだった私が言うんだから間違いない。 監督も、そういうところで男性に「懐かしい」と思わせるというか、ちょっとこう、ノスタルジーをくすぐるような効果を意識してるんじゃないでしょうか。 だから大人の男性が見ると、「こいつアホやなぁ・・・でもおれもこんなんやったなぁ」って思わせられて面白い。 でも現役のオトコノコが観ると、こっぱずかしくなるでしょうねぇ。 今の自分の恥部を見せられているようなもんですから。 さらに女性は、観ても全く面白くないかもしれません。 まさに逆アメリ状態ですな(笑)。 対してマレーナ演じるモニカ・ベルッチ。 大人です。 ムンムンです。 やめてくれってくらい。 おっぱいも大きくて、服からポロンとこぼれるシーンなぞもあるんですが。 「んなアホな」と思いつつも、目は釘づけでした。 顔はきつめの美人で、タイプではないんですが、その肢体は艶っぽ過ぎです。 ただ、途中から、昨日おかんが観てたサスペンス番組に出てた、真野あずさだか真野響子だかに見えてしかたなかったです(笑)。 怨みます>おかん。 総じて「少年が年上の女性に恋心を抱く物語」は大好きです。 私もお姉さん好きですからね。 最近も他にそういう映画を観まして。 『おっぱいとお月さま』というスペイン映画がそれで、『マレーナ』に、ある意味よく似てる映画でした(でも全然違いますけど)。 主人公はやっぱり子どものオトコノコで、生まれたばかりの弟に、母親のおっぱいを一人占めされてしまいます。 で、自分専用のおっぱいを探しはじめるわけです。 面白そうでしょ? それから完璧なおっぱいを持つフランス人と出会って、そのおっぱいの持ち主(?)に熱烈に恋するんですね。 それでレナートみたいにストーカーしたり、下着盗んだりする(笑)。 あらゆる手段を使って、彼女に近づいたりするんですけど、もうああいうときの男のパワーってスゴイもんがあります。 特に初恋だったり、まだ子どもだったりすると、めちゃくちゃするんですよ。 加減がわからないから(笑)。 『マレーナ』でもそうで、そういうところも男からみて「わかるわかる」って感じで楽しめます。 というわけで以上を総合的に鑑みると、女性よりも男性のほうが、より楽しめる映画なんじゃないかと思います。 『ニュー・シネマ・パラダイス』でもそうだったような記憶があるんですけど、最後には「過去を振りかえって懐かしむ」みたいなスタンスで締められます。 『マレーナ』もやっぱりちょっとしたノスタルジーみたいなのが、強く感じられる作品でした。 監督が持ってた主題は全然違うところにあるのかも知れませんが。 いずれにせよ、人生の過去を振りかえって懐かしさを味わう・・・私もそんなことができる年になってきたのでしょうか。 う〜ん、オトナじゃ〜ん(オトナなら働けよ)。 (映画データ) 『マレーナ』(伊/米) 原題:『Malena』 公開:2000年 監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ 製作:カルロ・ベルナスコーニ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:モニカ・ベルッチ、ジュゼッペ・スルファーロ 管理人お気に入りポイント(★=1、☆=0.5。最高5): ★★★★ |