映画でひとこと−『猟奇的な彼女』 (初出 2003/03/19〜21) 久しぶりに映画館へ映画を観に行ってきました。 一緒に行ったのはBBSにカキコしてくれている、HN:つじ様。 キリ番getの景品(クール・ランニングのビデオ)を渡したときに一緒に観に行ったのでした。 非常に自己主張の強い、というか押しの強い女性が出てくるというのを聞いていたので(そういう人、苦手なんですよね、男でも女でも)、あまり観るのは気が進まなかったんですけど・・・予想に反してかなりいい映画でした。 あまり感動することのない私も感動してしまいました。 実は韓国映画を観るのは初めてでして、これがなかなか新鮮なものがありました。 どういうところが新鮮だったかというと、日韓のカルチャーギャップ。 欧米の映画はしょっちゅう観てるので、日欧米のカルチャーギャップは見慣れてるんですけどね。 例えば主人公・キョヌが旅館に入るとフロントで、「洋室にする?オンドル部屋にする?」と聞かれます。 こんな会話日本ではありえませんよね。 「オンドル」は、当サイトのgalleryにあるソウルのページでも紹介してますが、床暖房のこと。 韓国では古くから床暖房があるようで、昔は湯を沸かして蒸気かなんかで床を暖めてたようです。 今ではガスとか電気で暖めてるんでしょうけど、かなりポピュラーです、オンドル。 他にも韓国では若者もほとんどビールを飲まず、「ソジュ」という、まぁ焼酎を飲むんですけど、キョヌが彼女のお父さんとお酒を飲むときに、お父さんの正面を向かず横を向いて杯を空けます。 そう、目上の人に正面きってお酒を飲むのは無礼なんですよ、韓国では。 これも日本にはない文化ですよね。 こういうのって、知らなければ映画観てても何もひっかからないんでしょうけど、私は韓国の友達がいて以前にいろいろ聞いていたもんですから、「ああ、あいつの言ってた通りやなぁ」みたいな感じで楽しめました。 他に、「猟奇的な彼女」は、しょっちゅう「チュグレ(ブッ殺す)」って言うんですけど、この言葉もその友達から教えてもらっていて知っていたので、なんだかなつかしくも笑えました。 私はその友達に、「ブッ殺す」と、眼鏡をピコピコ手で上げるアクション付き「怒るでしかし!」を教えてあげたことなど思い出されまして。 内容の面ですが、前半はドタバタラブコメディです。 これに関しては、私はあまり評価しません。 映画館では結構みんなクスクス笑ってたんですけど、私はそれほどは笑えませんでした。 彼女がむちゃくちゃ過ぎることで笑わせようとしている安易なところ、先の展開・オチが読めすぎるところ、この二点のために、私はあまり笑えませんでした。 主演の二人の演技には好感持てるんですけどね。 特に彼女(=チョン・ジヒョン)のほうはかわいいですし(またか・・・)。 で、後半、というかラスト2,30分でしょうか。 ここで一気に感動できるんですよ。 素晴らしいです。 これには前半も非常にいい”フリ”になっているのではないかと思います。 私は”『クール・ランニング』=吉本新喜劇”論を以前から唱えていましたが、『猟奇的な彼女』もこの型に当てはまると思っています。 どういうことかというと、吉本新喜劇って、ずーっとお笑いお笑いできて最後はちょっと人情味というか、人の暖かいところの見えるドラマで締められるんですね。 全然大したことのないオチなんですけど、そこそこ感動できるんですよ、これが。 私だけかもしれませんけどね。 思うに人は、笑わせられると気持ちにフッと隙ができるんじゃないでしょうか。 そこで”ちょっと感動する話”をポンっとしてあげると、普段ならなんとも思わないような話でも大感動できたりするんですよ、きっと。 それが”ちょっと感動する話”ではなく、”かなり感動できる話”ならばなおさら大大感動でしょう。 『クール・ランニング』もそうだし、『ライフ・イズ・ビューティフル』もそうです。 『猟奇的な彼女』もまさにこのパターンで、前半それほど笑えなかったにもかかわらず、やられましたね。 ウルウルしちゃいました。 周りの人たちもグスグス鼻をすすって・・・その中の一人にHN:つじさまもいらっしゃったわけですが。 私が一番ウルウルしたのは、二人がお別れのとき、彼女が向こうの山にいるキョヌに向かって叫ぶシーンでした。 あのシーンは非常に切ない。 何よりもそこまで築き上げてきた彼女のキャラクター性が効いてます。 あとはやっぱり私もいろんな人とお別れのときだからでしょう。 大阪を離れ関東へ移っての新生活、これすなわち大阪にいるいろんな人たちとの別れってことでもあります。 だからよけいに感動してしまったんでしょう、恥ずかしながら。 もし映画館でなく、家で一人で見ていたら、おそらくワンワン泣いていたと思います(笑)。 全体的にみて、構成は非常にしっかりしていてよくできたお話だなぁとは思います。 ただちょっと冗長で、特に遊園地のエピソードはなくてもよかったのでは、とも思いました。 あとはラスト、感動できるんですけど、次から次へとラストっぽいシーンが続くので、その分ちょっと集中できなかったですね。 前半のコメディに対する評価もあわせて、減点法でいけばあまり★をあげられないんですけど、観て感動できて、観たあと清々しい気持ちになれたことを考えれば、いっぱい★をあげたい気分です。 というわけで採点は↓にて。 (映画データ) 『猟奇的な彼女』(韓) 原題:『My Sassy Girl』 公開:2001年(日本での公開は2003年) 監督・脚本:クァク・ジェヨン 音楽:キム・ヒョンソク 出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン 管理人お気に入りポイント(★=1、☆=0.5。最高5): ★★★★☆ |