「映画でひとこと」−『ピノッキオ』
(初出 2003/3/29〜31)

2003年3月26日水曜日、前日までとは打って変わって暖かくなったので、久しぶりにコートを羽織らず外へ。
駅前までほてほて歩き、コートがない分体が軽いせいでしょうか、それとも天気が良くて気分まで軽かったからでしょうか、フラッと映画館に入りました。
観た映画は『ピノッキオ』、私の大好きなロベルト・ベニーニ主演のイタリア映画です。
そしてやっぱり出てます、奥さんのニコレッタ・ブラスキ。
お話は皆さんよくご存知であろう、あの木の人形ピノキオが人間になるまでの冒険(?)譚です。
あの童話がイタリアのものだとは、私は知りませんでしたね。
知ってました?
ひょっとして常識?

50歳のベニーニが少年くらいの年齢を演じるのはやはり無理がありますが、それでも子どもらしさはよく出せていると思いました。
特に好きなエピソードは、妖精さんに苦いお薬を飲まされるところ。
「苦いのなんてやだ、飲まない」と言ったあと、角砂糖一個あげるからと言われ、「先に角砂糖くれるなら」と角砂糖を食べたあと、「やっぱり苦いのは絶対いや」なんてごねる。
子どもってそういうもんですよね。
ベニーニが演じたからか、微笑ましく思いました。
自分の子どもがそんなわがまま言ったら多分どつきますけどね。

あと印象に残ったのは、ピノッキオが生まれたシーン。
世の中にある見るもの全てが初めて見るもので、それらにピノッキオは一々大感動してはしゃぎまくります。
そのドタバタぶりは笑うべきシーンなのかもしれませんが、笑うよりも私は感動してしまいました。
もし生まれてすぐに外界を的確に感知し、言葉を理解し、喋ることができるなら、やっぱりこのピノッキオのように感動して大はしゃぎするんでしょう。
それに比べて我々は、もうほとんどのものを見、経験し、それらに倦み、飽きている・・・
ピノッキオがうらやましくも、彼がどれくらい感動しているかを想像し、私も興奮してしまいました。

このピノッキオ、とにかく誘惑に弱く、意志が非常に弱いです。
しょっちゅう悪い人たちにそそのかされ、また自分の欲望に負けてしまいます。
そのたびに後悔するんですが、またやってしまう・・・
まるで私自身を見てるようです(笑)。
ピノッキオの場合は悪いことをしてもすぐに妖精さんは許してくれるわけですが、私の場合誰も許してくれないところが違うところですね・・・

ストーリーは元々童話で、文部科学省も児童に推奨しているくらいですから非常に単純です。
正直言ってわざわざ映画館で観るほどのものでもないような気もします。
が、私はとにかくロベルト・ベニーニが動いて喋るだけでもう充分満足なんです。
それを観ているだけで楽しい。
だから映画自体を冷静に、公平な目で観ることができません。
それでも心を鬼にして、映画として評価した結果は・・・下の通り。
ちなみに最もベニーニ節が炸裂してたのは、あやつり人形劇の親分に、お涙頂戴話をでっちあげたシーンですね。
むちゃくちゃすぎて大笑いしました。
どうむちゃくちゃかは、映画館行って観てみてください(と、上で「わざわざ映画館で観るほどのものでもない」と言いながらもオススメしてみたりする)。

(映画データ)
『ピノッキオ』(伊/米)
原題:『Pinocchio』
公開:2002年(日本での公開は2003年)
製作:ニコレッタ・ブラスキ
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本:ヴィンチェンツォ・チェラーミ、ロベルト・ベニーニ
原作:カルロ・コッローディ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ
管理人お気に入りポイント(★=1、☆=0.5。最高5):
★★★

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