タイトル狼男、スペインへ行く
書き手
 谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
のスペイン旅日記です。 2002年4月30日から
5月8日までの旅の模様を短期集中連載する予定。
ビバ!スペインの情熱的な気持ちで見たこと聞い
たこと感じたことを書くんドス。オラオラオラ〜


これまで




第2回  危険な街・マドリッド到着


スイスのチューリッヒ空港は
山や緑に囲まれた、かわいらしい空港だった。
遠くには真っ白なアルプスが見える。

マドリッド行きの飛行機が発つのは約2時間後。
それまでこの空港内で時間つぶし。

飛行機を降りて、まずすることといえば
やはり一服。
喫煙者にとって機内で煙草を吸えないことは、
なによりもツライ。
今回は約12時間の禁煙生活だった。

空港内のロビーにスタンドバーがあり、
そのまわりで様々な人種が集まって
白く煙った空間を作りだしている。
その一種異様なモクモク空間に参加。

久しぶりの煙草は、めまいがするほどうまい。
比喩じゃなくて、ホントにめまいがする。
この立ちくらみのようなめまいで
「あ〜着いたなぁ」という実感がこみあげてくる。
ま、まだスイスなんですが。

さて、やることもないので
おみやげ屋や免税店を見てまわる。

スイスのおみやげ屋でよく売っている物のモチーフは
「牛」「アルプスの少女ハイジ」「スイス・エアラインもの」
といったとこでしょうか。あとはナイフや時計ですね。
ブランド品については関心がないので、よくわからず。

同じ店を何度も行ったりきたりして、それでも時間がつぶせず
あとはベンチに座ってボーッとしながら何とか時間をやりすごす。

まだ明るいが夜8時をすぎた。
スペインに出発だ。
今度は2時間のフライト。

12時間を経験すると2時間なんてなんてことない。
都内で2時間の移動だとひどく苦痛なもんだけど
うまい具合に感覚が麻痺してきてる。

夕暮れのスイスを後にする。

アルプスのどこまでも続く真っ白な雪山を
眼下にし、スイス・エアラインは飛ぶ。

…着きました。マドリッド空港です。

たとえ夜でも、空港内で悪党達が日本人を狙ってる、
というので、なんとなく警戒しながら空港内を歩く。

ツアー一団が集結し、バスに乗り込む。
夜のマドリッドを走る。
夜中の都会の風景はどこもそんなに変わらない。
疲れてもいたし特に感慨はなかった。

バスの中で現地ガイドさんに再び
マドリッドは特に危険な街なので、
スリやひったくりにくれぐれも注意してくれと警告される。
下手すると殺されるということも。
ほとんど「脅し」に近いような気も…。

現金狙いはもちろんだけど、
日本人のパスポートは裏の世界で
かなりの高額で取引きされてれるのだそうだ。

外に出る時はできる限り「手ぶら」で、
それでも荷物がある時はバッグでなく
コンビニ袋に入れて歩いた方がいい、
ホテルの入り口も危険だし、
部屋のドアにはスーツケースや椅子を置き、
絶対に開かないようにしてください、等々。

実際に添乗員さんも過去2度ほど
寝ている時に、部屋に誰かに侵入された
恐怖体験があるのだそうだ。

昨年、ニューヨークに行った時とは逆だ。
「ニューヨークは危ない危ないと言われるが、
 もう全然そんなことない。犯罪率は東京より低い」
いろいろな人に繰り返し、そう強調された。
ハーレムだけは別として。

これだけ言うってことは
スペインは、日本人観光客にとって
相当にデンジャラスな国なんだろうなぁ。
さて無事に帰れるかしらん。

…と少々本格的に不安になってきたものの
これまで事件と無関係に生きてきた
自分の非ドラマチックな人生を考えると
今回も何もないだろうという変な確信もあった。

マドリッド市街にある「ホテル・クラリッジ」に着いた。
まあ普通のホテルである。良くも悪くもない。
もう夜中の11時をすぎていた。

カウンターでセーフティボックスの鍵を借りる。
1日2ユーロで、30ユーロのデポジットがかかる。
美人のセニュリータが無愛想に仕事していた。

飛行機の中で少しは寝たものの、さすがに疲れてる。
酒も飲みたいけど、シャワー浴びて寝ちまおう。

が、なぜかシャワーが使えない。
お湯は出るのだが、シャワーへの切り換えボタンが動かない。
仕方ないのでコンビニ袋をおけ代わりに使った。
使いにくいけど、仕方ない。

初めての海外だったロシアのエカテリンブルグでは、
シャワーが使えないのはもちろん
部屋のドアが壊れていて、いつも開かなかった。
それでも高級ホテルという話。
海外のホテルはそんなもんだよね、と思う。

9階の窓からはマドリッドの夜景が見える。
スペインで一番の都会らしく車の量が多い。
頻繁にパトカーのサイレンが聞こえる。

とにもかくにもスペインだ。

ドアの前に椅子を置き、眠った。
明日のモーニングコールは7時半。

(つづく:次回から本格的に観光開始!)





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