タイトル■シンガポール・ジモティ通信 
書き手 ■
かなぶん

シンガポールは淡路島と同じくらいの大きさの
小さな小さな国。この国に住む日本人かなぶん
さんによる、地元民だからこそわかるシンガポ
ールの魅力をお伝えするコラムです。行ったこ
とのない人も、一度行って「つまらない」と思
った人もご注目。本当はこんな国なんですよ!


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<第2回> 突然シンガポールに住むことに!

「9月からシンガポールに赴任になったよ。」
と、2年半前に、初めて主人から聞いた時、
私はただ呆然とするしかありませんでした。

「いやだなあ」とか「やったあ」とかそういう感情以前に
自分自身が海外に住む、
なんてことを想定したことがなかったから。

海外旅行は大好きでしたから、何度か行ったりしましたけど
それでも帰ってきて塩昆布でお茶漬けを食べるたびに
「あーやっぱり日本が落ち着くなあ」と思うタイプでしたから。
ましてや住むなんて考えたこともありませんでした。

そりゃあ、独身時代ちょびっとは憧れたこともありましたけどね。
オーストラリアやカナダにワーキングホリデーに出たいな、とか

でも、今はもう結婚して、子供だってまだ産まれたばかり。
当時は私の実家の近くにマンションを借り、子育てだって
かなり母の助けを借りていた状況。
このまましばらく大阪にいて、数年後には東京にでも
転勤するのかな。。なんて勝手に予定してたもので。

「そう!楽しみだね!海外赴任なんてなんだかかっこいいね!」
主人にはそうは言ってみたものの。。。やっぱり不安は大きかったです。
なにせまだ4ヶ月の息子を見るたび、
「この子を言葉も通じない国で一人で育てていかなくちゃ」
ってすごいプレッシャーでした。

引越しの用意も大変でした。インターネットで探ってみても
本を読んでみても、なかなかDEEPな情報には出会えません。
なにを準備していって、なにを向こうで調達できるのか。
最後には何がなんだか解からなくなってきて、結局あるにこした
事はない!と思い付く物はほとんど持っていったという状況でした。

言葉も心配でした。一応英語圏とのことで、
英語のまったくダメな私にはそれでも不安なのに、
シンガポールは英語に中国語のなまりがきつい
「シングリッシュ」とよばれる英語なのだと聞いたりして
またまた不安になるのでした。

親兄弟や友達と離れることになるのもとてもさびしいことでした。
結婚しても親元で生活してるようなものでしたから、
近所の友達も変わらないし、
誰かしら側にいてくれるのが当たり前になってましたから。

いろいろな不安を抱えつつ、主人の待つシンガポールへ向けて出発しました。
当時9ヶ月の息子を抱いて、見送りに来てくれた父、
(母はさびしいからと来なかった)
わざわざ休みを取ってきてくれた友人達の顔をひとりずつ思い出し、
飛行機の中で泣けてきたのを思い出します。

シンガポールについての第一印象は「あつい」でした。

冬の日本から常夏のシンガポールへ行ったので、
もちろん気温の差でかなり暑かったというのもあるのですが、
シンガポール名物の屋台村に行った時のその熱気というか、
おじさんのチャーハンを作る顔だったり、
ドリンクを売りにくるおばちゃんの勢いとか、
いわゆる「シングリッシュ」でまくしたてる中国系シンガポーリアン達。

その雰囲気がとにかく「あつ」かった。
もっと言うとちょっと「あつくるしい」感じ?

それでもかなりブルーが入っていた私にとっては
丁度いい感じに「熱」を与えてくれたのかもしれません。
その時、「ああ、私はこの国と相性がいいな」って感じました。

その直感は大当たりでした。
たくさんのプレッシャーと不安と共にやってきた私でしたが
それは拍子抜けするほどに、
こっちに来て3日目には不安は消し飛んでいました。

(私ってすごく心配性なので、不安になるととことんなんだけど、
 ひとつきっかけを掴んでしまうと、今度は周りが心配するほどに
 ポジティブになってしまうという両極端な性格なんです。)

今になってみれば、なにをそんなに不安がっていたんだろう・・

まず、シンガポールにおいて手に入らないものを
探すほうが難しいと思われるほど物は豊富にあります。

こっちで手に入らないかも。。と
私はお布団と大きいカーペットを持ってきたのですが、それは失敗でした。

こちらはベット生活なので布団は不要ですし、
カーペットなんて高温多湿なこの国では暑苦しいだけで、
ただのダニ養育場と化すだけでした。

思ったことは、その国の生活様式にあったものを
その国で調達することが結局は一番ベターだということ。
だた、ひとつタタミが懐かしくなっちゃうので
1〜2枚くらい持っていってもよかったかな。
こちらでも手に入るのですが高くて手がでないので。

あと必需品なのに、こちらでは意外と高い「除湿剤」も
出来るだけ日本で買って荷物に入れておけばよかったなと思います。
日本から家族や友達が来る時「おみやげ、なにがいい?」って聞かれると
決まって「除湿剤!」と答えてます。ああ。。。主婦の性。。

言葉の問題も思っていたより、大丈夫でした。
英語が出来ない人は、アメリカやイギリスよりシンガポールのほうがいいかも?
なぜかというと、シンガポーリアンは中国系、
マレー系、、インド系でほとんどが占められているのですが、
皆自分の国の言葉を話せます。

そしてその上で国民間の意思疎通ができるように、と
国をあげて全員バイリンガルに!という教育を受けてきているので、
英語を話すことができるのです。
そういう意味では日本人と一緒の感じで英語を話すのです。

要は「通じればそれでいいや」的な英語。
自分達が結構いいかげんな英語を話している分、
日本人のヘタクソな英語も理解しようとしてくれる、温かさがあるのです。

まあそれでもシンガポーリアンは一応ネイティブの人とも
会話できてますからね。日本人よりは全然英語ができるんですが。

今までの友達とは離れてしまい、それは埋めることができないですが
違う土地へ行くということは、また新しい出会いがあるということで、
人がいるかぎり、人はひとりぼっちにならないのです。

従ってひとりぼっちで子育てなんて、
したくてもできないようになってるんですね。
もちろん私は英語ができませんから、
どうしても日本人同士で固まってしまいがちになりますが、
それでも日本に生活していた頃と比べると、
いろいろな外国の方と話したり、
知り合うチャンスには恵まれていると思います。

とにかく、はっきり言って「ここが外国?」
と思うほどに日本と同じような生活が出来すぎちゃうほど出来ます。
その上、外国の文化にも触れられる。

外国初心者にはもってこい!な外国、それがシンガポールです。


(つづく)




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