タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

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これまでの記録


<115> 5月20日(月)

■■ 今夜は「パニックルーム」 ■■


仕事柄、1日1人で家にいることが多い。

そういう生活は煩わしいことが少なく、
心穏やかな生活が送れるんじゃないか?
という気がするのだけだけど、実際そうでもない。

まず間違い電話が多い。

多いのは、市役所と間違えてかけてくる電話。
これが毎日、何度もかかってくる。
だから個人宅ですってば。

家庭裁判所への間違い電話も多い。

さっきは成田空港の荷物係だと思い込んで、
ずーっとブツブツ文句を言われた。
だから違うんですよおおお!

それから押し売りの電話ね。これも多い。
興味ないんですよーッ、マンション経営なんて!

携帯にはガチャ切りの
エロ関係の電話がかかってくるし
なんだかもう落ち着かないのである。

頼むから俺のことはほっといてくれ!!!
と叫びたくなる。

そんなわけで、今もっとも
心安らかになれる場所は映画館。

映画館はいい。

電話は鳴らないし、
外界と遮断されてるし、
暗闇だし、
静かな気持になれる。
現実からのランナウェイ。

もちろん映画も見られる。
デカい画面とデカい音で。

だから今夜も映画館へ。

夜の闇をチャリンコ飛ばして
さらに深い巨大な闇の中に潜りこんで
見たのは「パニックルーム」。

ジョディ・フォスター主演。
デビッド・フィンチャー最新作。

電話も通じなくなって
外界と遮断された一軒家の
暗闇の中で繰り広げられる
スリルとサスペンス劇。

まるで映画館のような映画だった。

一軒家に閉じ込められた母娘に
次々と襲いかかる危機…!

…なんだけど
物語はそれだけ。
見事なまでにそれだけ!

あとは何もない。

デビッド・フィンチャーだから
「ファイトクラブ」のように
社会への挑発とか
問題意識の提示とか
深い意味性とか
なーんかあるでしょう?
と思って見てたのだけど、
そういうものは一切なし!

まるでホラー映画のような潔さ。

「映画は娯楽なんだから、
 これでいいのだ!」

と言われれば、その通りかもしれないが…

だから感想は、
「ドキドキハラハラした」
としか言いようがない。

確かにかなりドキドキハラハラしました。
でも、本当にそれだけ!

あと感想があるとしたら、
たとえ煩わしくても
電話が通じて外界と接点があることは、
とっても大事ですね!…ってくらい?
無理矢理ですけど。

…なんて書いてたら
ピンポン!ピンポン!音がする。

今度は訪問販売がやってきた。
なんと「味噌いりませんか?」だって。
味噌ですよ、味噌。

新聞とかヤクルトはもう慣れたけど、
味噌はニューウェイブだなぁ。

それにしても
映画の中のジョディ・フォスターも
そう思ったでしょうけど、
招かれざる客の来ない家で、
心穏やかに暮らしたいもんですね。



(つづく)





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