タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

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これまでの記録


<131> 6月14日(金)

■■ ダークヒーロー・デルピエロ ■■


イタリア、なんとか予選通過できましたね。

打つべし打つべし打つべし打つべし打つべし!
…と何本シュートしてもゴールに結びつかない姿は
ホームランを狙ってブンブン空振りしてる
スランプ時の四番打者のよう。数年前の清原とか。
で、まさしくフランス&アルゼンチンの悲劇そっくり。
イタリアもサッカーの神に見放されたのか?

そして悪夢は連鎖する…?

そんな中、僕は
ずっとデルピエロのことが
気になってました。

日陰者に思い入れを持ちやすい僕としましては
彼はとても気になる存在。
今日ももちろんベンチウォーマー。

ああ、暗い瞳のデルピエロ…。
君が気になって仕方ない。

華やかなアズーリ軍団の活躍を
ベンチに座ってじとーと暗い目で見てる彼。
日本にやってきて15分しかプレイしてない彼。
仙台の街に繰り出して
キャーキャー言われることもなく、
ずっとホテルにひきこもっていたという彼。
誰ともほとんど話をせず、
イタリアにいる友達に電話ばかりしてたという彼。

僕の知ってる彼の知識は
この程度でしたが、
思い入れは持つには十分な
暗さです。せつないです。

しかもトッティとは親友だそうじゃないですか。
なんと残酷な話。

メキシコに先制点を奪われ
絶対絶命のイタリア。

しかも点が入る雰囲気まるでなし。
何をやってもダメ。
まさに呪われたワールドカップ!
そんな風に見えてしまう。

刻一刻と時間がなくなっていく。

マフィアみたいな顔した監督さんよー
このままやっててもラチあかないから
デルピエロを出して雰囲気変えるのはどうよ!
インザーギを代えて出した奴もちっともダメじゃん。
ほんならデルピエロ出したらどうなのよ?
どうよどうよそこんところ!

そんな風にテレビに向って
ゴチャゴチャ勝手に指示を送ってたら
解説の加茂さんは
「トッティの交代は絶対にありません」
なんて言ってるぞ。

ほんとかよ、さっきから当たり前すぎる
解説ばっかしくさってコノヤロー!
本当に絶対なのかよ、え〜?

とかなんとか加茂さんに
筋違いな八つ当たりしていると…
(実は知り合いの親戚だそうです。すいません…)

出た!出た!出ました!デルピエロ!!!

出たじゃん、加茂さん!
しかもトッティと交代よ!

よっしゃ!

入れろ!入れろ!入れろ!
最高にドラマチックな舞台は用意された!
暗闇から立ち上がれ!
ヒーロー!ヒーローになる時、それは今〜♪
虎だ虎だお前は虎になるんだ〜〜〜っ!!

もうめちゃくちゃに応援してましたよ。

そしてラスト5分。

ロケット頭つき炸裂!!!!!!!!
ゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ル!!!!

やったぁあああぁぁぁ〜〜〜〜ッ!
やったぞデルピエロ〜〜〜〜〜!!!

「俺はお前の噛ませ犬じゃない!」
地味な日陰者・長州力が、そう宣言して
人気スター藤波に喧嘩を売り、
遂に涙の初勝利を得ることができた
1981年4月3日の蔵前国技館の光景が
なぜかフラッシュバック。

「俺の人生にも一度くらい幸せな日があってもいいだろう」
試合後、そう語ったあの日の長州力と、
今日のデルピエロは重なって見えた。

まさに「俺のW杯にも一度くらい幸せな日があってもいいだろう」だ。

おめでとう!!
ダークヒーロー・デルピエロ。

結局、彼が点を入れなくても
決勝トーナメントには進出できたことになってしまったし、
ロスタイムの露骨なロスっぷりは
両チームともどうなの、それ?
と水を差された気分になることもありましたが、
まあいいか。

決勝トーナメントでも
出番が来ることを祈ってるよ!

がんばれ!
僕らのダークヒーロー
デルピエロ!

戦え!
僕らのダークヒーロー
デルピエロ!

(特撮番組ナレーション風にお読みください)


(つづく)





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