タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

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これまでの記録


<132> 6月15日(土)

■■ すばらしい現実 ■■


ワールドカップが始める前は、
自分が日本を応援したくなるのか
正直わからなかった。

前に書いたと思うけど、
4年前のアルゼンチン戦では
日本の試合ぶりに対して
特に惹かれるものを感じなくて
試合の途中からアルゼンチンを応援してた。

ひねくれてるだけなのかもしれないけど、
日本人だから日本代表を応援しよう、
とは素直に思えなかった。

昔から見続けている人には
これまでのドラマがあるのだろうし、
長い時間をかけた思い入れがあるのだろうけど、
そういうものがない人間にとっては
多少ひいきには思うにせよ、
ただのひとつのチームにしか思えなかった。

だから今回、
日本代表が素直に応援したくなる
チームだったことがうれしい!

強い!生き生きしてる!かっこいいよ!

公平なつもりの目で見ても
今の日本代表は魅力的だと思う。

ベルギー戦の前半では、
やっぱり日本を応援したくなれないかも…と思った。
慎重すぎるように見える戦い方は
他国のアグレッシブなサッカーと見比べてしまうと
どうしても見劣りして映った。

でも後半になり、変わった。
鈴木のあの無理やりなゴールシーンから変わった。
どうしても勝つんだという執念、日本人らしいせこさ(?)
などが凝縮された、実にいいシーンだった。
そして稲本の鮮やかなシュート!
「どうだい、俺の妙技を味わったかい?」
とでも言いたげな、誇らし気な表情が最高だった。
さらに幻の3点目。すごいじゃん日本!
(Numberでベンゲルさんがやっぱりあの判定はおかしいと言ってた)

負けないサッカーじゃなく
勝つためのサッカー。
そして勝てるだけの力がある。
今の日本代表はそういうチームだったんだ!
正直、驚いた。

2戦目のロシア戦は、さらによくなってた。
ベルギー戦よりミスもぐっと減っているように見えた。
勝ったことで自信を得たせいなのか、
勝つチームのオーラをぷんぷん発するようになってた。
「以前とは違うのだよ、以前とは!」
チーム全体がそう言っているようだ。
勝つ自信を得て、1戦目の時とはまた違うチームに進化してる。

絶妙なコンビネーションから、再び稲本がシュート!
いいわ〜。文句なし!
さらに終盤の中山投入がまた良かった。
日本代表は、余裕というかケレン味さえ
身にまとってしまった。見事だ。
強くて魅せるサッカーに大拍手。

そして3戦目、チュニジア戦。
今や負けるシーンがイメージできないチームに
さらに進化を遂げたようだった。
前半の最後だけは、攻め疲れで少々失速したものの
後半に投入された森島が、あっという間に先制ゴール!
トルシエ采配、ズバリだ。
前回の中山といい、冴えまくってる。すてき、トルシエ!
そして、やはり新規投入の市川のパスから
エース中田がヘッドでゴーーーーーーールッ!
決定的な追加点でダメ押し。
最後はやっぱり締めるべき人が締める。
出来すぎといっていいほど、見事なストーリー。
日替わりでヒーローが誕生するなんて、まさに理想的な展開だ。
また、鈴木、宮本、小野、明神…などなど、みんないい。

米の粒がたっている、とかって言葉があるけど、
今の日本代表はひと粒ひと粒が、たちまくって輝きを放っている。
極上のコシヒカリだ、ササニシキだ。
決勝T進出はほぼ間違いなしという余裕もあったんだろうけど、
全員がサッカーを楽しんでるような姿が
見ていて実に気持ちよかった。
最後までアグレッシブに攻めていく姿勢がまたよかった。
胸をはって堂々の決勝T進出。

世界のベスト16入りってのは
やっぱり偉業だよなぁ。
フランスもアルゼンチンもポルトガルも
果たせなかったんだから、
それがいかに凄いかってことだよねぇ。

しかも、ベルギー戦の幻ゴールが
幻じゃなかったら
3戦全勝といっていい結果。

うまくいきすぎで、
リアリティに欠けるような気もしないではないけど
これが現実なんだ。
フィクションじゃない。
今ここにあるのは、すばらしい現実だ。

さあ、今日から決勝トーナメント。

もう義務は果たせた。
失うものは何もないんだから、
思いっきりエンジョイしてほしい。
やりたいサッカーをやってほしい。

で、
いけることこまで
いっちゃってくれ!

応援しまっせ!!



(つづく)





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