タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

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これまでの記録


<142> 6月28日(金)

■■ 衝撃のチャーシュー ■■

チャーシューメンを
苦手になった時、
人は年を取ったことを
実感する。

…という格言はないが、
そう思うのである。

若かりし頃は、初めて入るラーメン屋では
必ずチャーシューメンを注文していた。

もちろん若さゆえの旺盛な食欲も理由のひとつだが、
チャーシューメン幻想というものが確かにあった。
憧れ、といってもいい。
チャーシューメンは、常に光輝く存在だった!

チャーシューメンこそキング・オブ・ザ・キングス
ラーメンの王様!
これは肉信仰の厚い旧世代人間ゆえの価値観だろうか。

そうでなくとも
初めてのラーメン屋に入った場合
万が一そこのチャーシューが美味しかったら…
という危惧(?)があるので、
ついつい先手を打ってチャーシューメンを
注文してしまうのである。

けれど、そんな自分の行為・思いとは矛盾するが
チャーシュンメンはダサイとも思っていた。

肉信仰という発想がそもそも貧乏くさい。
大盛りチャーシューなんて全然クールじゃない。
スマートな都会人は肉などガツガツ食わないものだ、
私も早くチャーシューメンを頼まないような人間になりたい。
そんな思いもまたあった。
その葛藤自体がダサイともいえるのだが…

しかし、そんな願いとは別の理由で
近年チャーシューメンが苦手になってしまった。

なんのことはない。
ただ単に胃がうけつけなくなってきたのである。

特にとんこつ+大盛りチャーシューなんて
注文してしまうと、間違いなく具合が悪くなった。
歩くのもやっとという目にあったこともある。

これはチャーシューへの裏切り行為に対するリベンジなのか?

しかし最初はその自覚がなかったので
ついつい癖で注文していたのものだが、
あまりにも毎度毎度体調が悪くなるので
ようやく学習して注文しないようになった。

さらばチャーシューメン
若さの証。
俺はクールでスマートな人間になるよ…

ところがである。

うちの近所に行列のできるラーメン屋ができたのだが
ここのチャーシューがバカウマなのだ。(ついでに玉子も!)

チャーシューメンはないので
チャーシューをトッピング注文すると
5枚だか6枚の分厚い肉が出てくる。
かなりのボリュームだ。
しかし、不思議なことに
これが平気で食べられてしまう。

もりもりもりもり。ンマイ!!!

新鮮な肉の旨味をすべて封じ込めたような
極上チャーシューだ。
食べるだけでエネルギーが充ちてくる。
オーガニックエナジーが溢れてくるようだ。
爆発する僕のアムール!
こんなチャーシューがあったとは!!

村上春樹の小説に
「特殊な訓練を受けたレタス」
とかって表現があったが、
このチャーシューがまさにそう!
鍛え抜かれたチャーシュー界の精鋭部隊、
チャーシュー・エリートだ!

ここの店主はフランス料理の修行をしてきた様子。
(ラーメン屋なのに洒落たデザートもある)
フランスで肉に対する特殊な調教法を学んできたのかもしれない。
きっとそうだ。そうに違いない。

そんなわけでこの店限定だけれど、
俺のチャーシュー熱、チャーシュー幻想は
華麗なる復活を遂げた。

貧乏くさい?
クールじゃない?
ダサイ?

知ったことか!!


俺はチャーシューを喰う!!

豪快さんのように!(以下引用)

原野を行く機関車のように!!

太陽をかみくだき!!

銀河も呑みこみ!!

遺伝子も狂えとばかりに!!

ただ豪快に!!

ただただ豪快に!!

オレはチャーシューを喰う!!

何もかも吹っ飛ばし!!

オレがチャーシューを喰う!!

なんか文句あるかーーーッ!(涙)




…そんなことを書いていたら
腹が減ってきた。
また愛しのチャーシューに会いにいこう。

(つづく)





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