タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している男
の書く生活記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>
これまでの記録


<160> 9月5日(木)

■■ 活弁監督と知人の個展 ■■


三軒茶屋に着くと突然の大雨。
窓を開けてきたことが心配になる。
ベッドがずぶ濡れかも…。

世界でただ一人の自作自演“活弁”映画監督
山田広野さんをインタビュー。

戦前で滅亡したかと思われた活弁士。
だが、どっこい新たなスタイルとして
平成の世に再生していた。

しかも山田さんの場合は
自作の映画に活弁をつけるユニークなスタイル。
それが今では逆に新鮮ということで
各種イベントでひっぱりだこのようだ。

でも、そもそもは、
8ミリの自主制作映画のアフレコで
役者さんたちに逃げられてしまい、
上映当日になって苦肉の策で
活弁したことがキッカケらしい。
人生どう転ぶかわからない。

ハプニングは、対処の仕方次第で
新しいアイディアを生むチャンスになる。
…と心のメモ帳に記しておこう。

ソフト帽をかぶった昭和風な風貌の山田さんを
名画座「三軒茶屋中央」を背景に撮影。

「三軒茶屋中央」は古い映画館の雰囲気を残した
チャーミングな劇場。どんな写真になるのか楽しみ。

※「山田広野活弁リサイタル」が今週の土日に
 下北沢TOLLYWOODで行われます。俺も行く予定。


その後、新宿三丁目のガレリアQ
一緒に仕事をしているカメラマン
宮澤豪氏の個展を見に行く。

ヌード写真が中心だった。

ヌード、いいなぁ。
いろんな意味で、いい。

来客も、俺も、男性も女性も、誰もが
「この人達とはどういう関係で
 どんな経緯で脱いでもらったのか」
と質問してるのがおかしかった。

やっぱり気になるよね。

それはともかく、
個展という形で写真を見ていると、
その人の知られざる内面を
覗きまわる旅をしている気分。

あるいは、部屋にこっそり忍び込んで
本棚やら冷蔵庫やら押し入れやらを
じっくりチェックしているような。

ふむふむ、こういうシチュエーションが好きで
こういう色が好きで
こういう光が好きで
女性のこういうとこが好きで
こういうとこにエロを感じるのか…などなど。

それが知ってる人だと、
今までより親密になったような、
しかし少し気恥ずかしいような
バツが悪いような、微妙な気持。

まあ見られてる方がもっとそうだろうけど。

でも、ふだん話をしているよりも
ずいぶん濃いコミュニケーションになる。

そうか、表現というものは
コミュニケーションそのものなんだなぁ。
だからこそ、面白いのか。
そうか、そうか。

基本的なことに
改めて感心しながら家に帰ると
ベッドは濡れてなかった。
よかった。


(つづく)





[トップへ]