タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している男
の書く生活記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

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これまでの記録


<172> 12月9日(月)

■■ もっとボブ・サップ!ボブ・サップ!ボブ・サップ! ■■

ぬおおおおおお〜っ!見た?見ました?昨日のK-1!
もんのすごい興行でしたよ。
これはもう神が宿ったとしか言いようがない。
こんなことってあるのか〜
興奮状態のまま、一気に感想を書こう!

テレビ中継が始まる寸前になって、
いろいろ迷った結果、
俺はボブ・サップの優勝を願うことにしよう!
と決めたんですよ。

やっぱりここは一気にサップが優勝してしまって
これまでの常識とか何もかもを、
すべてを破壊し尽しちゃった方がいいんじゃないかと。
その後にはもう何も残らなくなってしまうかもしれないけれど、
それはそれでまた考えればいいじゃないかと。

で、9時。テレビ中継が始まった。
当然ここは番組のつかみとして、サップvsホーストだろう!
と思っていたんですが、……あれ?
アーツvsセフォー?なぜだ?

ここで、嫌な予感がしたわけです。
この放送は録画中継。もしもサップが優勝したのなら、
絶対にこんな風に編集するはずです。

番組開始の9時にサップ登場→10時前後にサップの準決勝→10時半からサップの決勝戦

ほとんどのお茶の間の視聴者にとってお目当てはサップですから。
できるだけ番組全体にサップを登場させてチャンネルを変えさせないはず。
でも、違う。…ってことは、…サップは負ける!?

そんなことを考えながらアーツvsセフォーを見ていた。
往年のオーラが消えたアーツ。大方の予想はセフォー勝利は鉄板。
でも、がんばってるじゃないか、アーツ!
悲壮感すら漂うアーツのアグレッシブな攻撃に胸を打たれた。
しかし結果は判定負け。うーん、ちょっと納得いかないが、まあ仕方ない。

さあ、次はサップ登場か?
もしそうじゃなければ、間違いなくサップは1回戦で敗退は決定だろう。
とか思ってたら、次はサップvsホーストだった。
う〜ん、時間は9時半前。これで読めなくなった。
いや、いらぬ先読みはやめて、試合に集中だ。

で、試合開始直前のホーストのインタビューVTRを見たら、気持ちがぐらついた。
こんなに並々ならぬ決意のホーストの顔を見てしまったら、
応援したくなってしまうのが人情ってものだろう。こ、困った。

運命のゴングが鳴る。つ、強いよ、ホースト!
びっしびしローが決まる。距離をとってサップに攻め込ませない。
やばいぜサップ! ああ、もうどっちを応援していいのかわからない。
ボディーに強烈なパンチが決まり、サップなんとダウン!
うわあああああああああああああ〜!大絶叫!

立て、立つんだサップゥゥゥゥ〜〜〜〜ッ!!
……もう、ダメかと思ったが、サップは立った!すっごい根性だ!!
これでもう吹っ切れた。感情移入のスイッチが入った。サップを応援するぞ!

しかし、ホーストの攻撃は続く。マジでヤバイ!!
実力が違いすぎる。やっぱりスリータイムス・チャンピオンは伊達じゃない。
サップよ、前だ!前に出ろ!前に出るんだ!それしか勝機はない!!
距離をつめてローを打たすな!…俺は完全にセコンド状態で大興奮。

だが、サップは前に出られない!足が動かない!苦痛で顔がゆがむ。
あ〜、やっぱりホーストは強かった。これがチャンピオンか…!

なんとか1Rは終わった。しかし、足へのダメージは相当なはず。
サップの顔から殺気が消えた、…ように見えた。
やっぱりサップも人の子。もはやこれまでか。

が、だが、しかし、信じ難いことに、2Rでサップは甦った!
怒涛の反撃を開始。お前は本当に人間か!すごい精神力だ!真の怪物だ!スターだ!
もんのすごいブン殴るようなフックでホーストがダウン!!
うおおおおおおおおおおおおおおっっ〜!すっっげえ!!!

しかし、立ちあがるホースト!あんたもすごいよ!偉いよ!感動だよ!
いい試合だ〜〜〜っ!しかし、一体どうなるんだ、この戦い!?

試合はつづく!そして、サップが大爆発!
もうめっちゃくちゃにはっちゃめちゃにパンチを連打!
うわあああ〜ッホーストが崩れ落ちる……!!!
と、止めろシマダ〜!!と絶叫する俺。(よく見たらレフェリーは角田さんだったが)

カンカンカンカンカン!!!ゴングが鳴った。
サップが勝ったぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!

ぜーはーぜーはー…、いや〜すげえ試合だった!お互い素晴らしかった!最高の勝負だった。

悔しそうに何も言わずにすぐ去っていくホーストにもまたシビれた。

「ホースト、お前、男だよ!」
「サップ、お前は男の中の男だよ!」
俺はもう高田になったつもりでそう言いたくなった。
いや実際、テレビに向かってそう叫んでいた。

それにしても、ボブ・サップは想像を越えた真のスゴイ奴だった。
ファンをやきもきさせて、母性本能をくすぐりまくって最後に勝つ。
あの今年のベストバウト候補、ノゲイラvsサップと今度は立場が逆転していた。
サップは我々をさんざん不安にさせた上で勝った。

相手の力を10引き出して、12の力で勝つ!
これがかつての猪木のように、スーパースターになるための条件なのだ。
そしてあの不屈の精神力。技術を超越したパワー。完璧だ。

ノゲイラがサップ戦で、本当の人気を獲得したように、
サップもまたこの試合で、真のスーパースターになった。
俺たちの心をもう完全にトリコにした。

だが、この日のK-1は意外な方向にドラマが進んでいく。
なんとサップは右手を骨折し、準決勝は欠場……。

ホーストが代替出場で準決勝に進出。
俺はもうこの時点で確信した。これはもうホーストが優勝するしかない。
しかし、なにしろK-1はリアルファイト。
そんなにドラマチックな結末がありえるのだろうか?

サップ欠場で正直気持ちが萎えてしまったが、
今度はバンナとハントがものすごい戦いをしている。
こいつらも人間か?常軌を逸した肉体と精神力だ。
特にハント!あんたはやっぱりすごかった。超人的な根性だ。

決勝はバンナvsホーストになり、なんとホーストが優勝。
驚異のフォータイムス・チャンピオンに輝いた。

いやぁ〜、こんな展開、こんな結末、予想できなかった。
あまりにも完璧すぎる。神が考えたとしか言いようがないシナリオだ。
さんざん考えたけれど、こんなストーリーは思いつかなかった。

「こんな出来すぎな話、八百長だよ」なんて言う人もいるだろう。
それくらいパーフェクトな一大ドラマだった。

サップに負けて予選落ちしていたホーストが、
負傷欠場したシュルトに替わってグランプリ出場。
再びサップに負けて脱落したかと思いきや、奇跡の大逆転優勝。

でも、その優勝者のホーストにサップは勝っている。
サップもホーストも傷つかないまま両者はさらに評価を上げた。

しかも、サップvsバンナは今回実現しなかったから
これでまた来年のKー1へと物語は続く。
昨年の優勝以来、評価を落としていたハントも完全復活。
サップvsハントへの期待も高まった。
もちろん真の王者決定戦となる3度目のサップvsホーストは
来年の最大の目玉となった。

今回のK-1は10年間の集大成であり、ひとつの完結編になるかと思いきや、
巨大な予告編になってしまったのだ。これぞまさにゴッドアングル。

本当に予想を越えたドラマに次ぐドラマの連続。
真剣勝負でこんなことが起きるなんて、本当に神がいるとしか思えないよ。
勝利の女神が最後に微笑んだのは、Kー1そのものに、だったんだ。
そう考えると、最大の勝利者は、またしても石井館長だったのかも。

あえてひとつだけ問題点をあげるとしたら、
もうK-1は、サップなしではあり得ないものになってしまったことだろう。
これだけの刺激、興奮、感動を味わってしまったら、
サップが出ない普通のK-1じゃ物足りない。
ボブ・サップが完全に完璧にK-1の主役になってしまった。

でも、逆に言えば、サップが出場し続ける限り、
K-1は最高に面白い、今回以上の刺激をまだまだ発信できる
リアルファイトでプロレス以上にドラマチックな興奮を味わえる
最強のソフトになったってことだろう。

恐るべきは、やっぱりボブ・サップだった。

ホーストがそうなったように、誰もがサップと戦うことで輝ける。
しかもサップはK-1にも、PRIDEにも、プロレスにも出場できる。
まだまだ無限に相手がいる。まだまだ名勝負が期待できる!最高だ!
ジャンルを越えた、マット界の真の救世主。まさに神の子だ!

ボブ・サップ!ボブ・サップ!ボブ・サップ!

ボブ・サップ
それは21世紀のリアルな夢のかたち
時代が望んだ新たなる希望のかたち
ユー・アー・グレーテスト
ユー・アー・ミラクル
ユー・アー・ドリーム

キミは破壊神じゃない
創造主だったんだ!

生まれてくれて、ありがとう!!!


(つづく)






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