タイトル■冤罪〜河野義行さんの講演を聞いて〜
書き手 ■AT

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今回は、投稿欄ではおなじみのATさんによる、
河野義行さんの講演会報告リポートです。
あの松本サリン事件で犯人の汚名をきせられた
河野さんは、今どんな暮らしをし、どんなこと
を思っているでしょう?読んでみてください。




■ 受難の日々は進行形でした 

東京の地下鉄サリン事件から7年。
その1年前におきた
松本サリン事件で
犯人の冤罪をきせられた
河野義行さんの講演を
聞くことができました。

時は春分の日、
松本で大きな山火事
があった日です。
地元から狼ガガ読者の方々に
報告させてください。

一家崩壊になりかねない危機に遭った8年前、
中学生、高校生だった3人のお子さんが
今は大学や大学院生になられたとのこと。

あと1年で巣立つを待つまでに育たれたことを
河野さんは、明るくユーモアを交えて語られ、
まず聴衆をホッとさせてくれました。

けれど、その後、
奥様はまだ意識が戻られないまま、
音楽にのみかすかに反応をしめされる
病状であることをつたえられました。
ある日突然降ってきた彼の受難の日々は
まだ終わらず、進行形なのです。

警察の考えられないほどの幼稚な
(犬のえさ皿、つけもの桶をサリン合成の
 容器とした!)
初動ミスとマスコミの誤報道、
週刊誌はプライバシーまででっちあげ、
河野さんを容疑者に仕立て上げ、
私たちはそのまま思い込むという
過ちを犯しました。
(講演会は松本の隣、波田町の女性団体が主催。
 全員で最初に河野さんに謝りました)

サリンによる肉体的死、
冤罪による社会的死ともいえる
被害を受けられても、
我が国は法的な救済は全く
ないそうです。

孤立無援の闘いをされ、
屈しなかった
河野さん御一家が今も
なお電話にはでられないということは、
悪質な嫌がらせがどんなにひどかったか、
想像できました。

「警察は犯人をつくろうとする。
 マスコミや新聞の情報を鵜のみにしないで
 溺れている犬を棒でつつくのでなく、
 助け支えていく人、地域になってください。
 被害者の人権保護と救済の立法のため
 NPOを識者と設立します」とくくられました。

映画「冤罪」(中井貴一主演)で
河野さんが川辺に奥様を連れ出し、
風やせせらぎの音にふれさせ、
記憶や意識を戻させたいとする場面で、
奥様にスーと明るい光があたるシーン
があるそうです。

熊井啓監督の計らいが嬉しいと
話されたのが印象的でした。

「河野さんは十分耐えてこられました。
  奥様が蘇られるという、ご褒美をどうか
  河野さんとお子さんにあげてください」と
 神に祈らずにはいられない思いでした。






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