タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎


マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!

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<第10回 2002.4.29>
PRIDE20/両リン・格・心・月桂冠…


昨夜、終わったばかりのPRIDE20。
PPVで見た感想をいくつか思いつくままに
メモしておきます。

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注目のミルコvsシウバはドロー。
この結果に正直ホッとした。

考えてみれば昔のプロレスも
大物外人同士の対決は例外なく
常に両者リングアウトだった。
でもそれによって互いに価値を
落とさずにすんだわけで、
これは興行のひとつのセオリー。
曖昧なものもあっていいじゃないか、
そう思えた。

シウバの商品価値が守られたことは大きい。
いや、株はさらに上がった。
これで桜庭との3戦目も
新たなモチベーションで見れるだろう。

それはそうと、
これまで常に日本人キラーとして
ヒールだったシウバが
ベビーフェイスになったのは印象的。
試合開始直後、ミルコは動かず
シウバが動いてしまったことで
どちらが格上かがわかってしまったが、
格闘技の面白さは
格が下の者が上の者に挑む面白さなんだな
と改めて発見した。
もしもミルコvsタイソンが実現したら
今度はミルコがベビーフェイスになるんだろう。
そういう見方をしていくと
世間のヒエラルキーの構造が見えて面白い。

格といえば、菊田vsアレク。
格闘技という土壌では、明らかに格下のアレク。
実力差はあまりにも明白だったけれど、
心の強さはよく表現してくれたと思う。
あの腕十字を耐え切ったシーンには感動した。
こういう試合があってもいいのだ。

技術のない者が心だけで勝負に挑む、
というシチュエーションは
我が心の名勝負、ヒクソンvs山本を思い出した。

その山本は、暗黒肉弾魔神(すごい異名だ)に
まったく歯がたたず。あ〜あ…

あ〜あ、といえばマリオの負けは悲しかった。
金原との試合で、マリオは世界最高のテクニシャン
という幻想を持っていた俺としてはつくづく残念。
どことなくAWA世界チャンピオンっぽい地味さも
好きだったので、ニンジャにボコボコにされるのは
見ていて辛かった。
ブラジルの新旧世代交代劇は、
ロックvsホーガンのような奇跡は起きなかった。

しかしニンジャ、強いな…。
シュートボクセは大したもんだ。
試合後の涙も感動的だった。
これでニンジャもミドル級のトップグループか。

ミドル級といえば、ダンvsアローナは
世界最高の技術戦だった。二人ともすげえ!
元リングス同士のテクニシャン対決は、
これはこれですごく面白かった。
この二人に加えノゲイラも出てたんだから
KOKは今や伝説だな…、
とリングスファン的には言わせてください。

それしてもダンといいノゲイラといい
ダサさが持ち味だったリングス卒業生がすっかり垢抜けた。
田舎の高校生が東京で大学デビュー、
そんなかんじで感慨深い。

しかし、ダンの着てた「月桂冠」のTシャツはなんだろう。
奇妙なTシャツだけど、欲しくなってしまったぞ。
試合が終わると、なぜかすぐにキャップをかぶったのも謎だし
目の離せないダンだった。

特に何の思い入れも持たずに見た
今回のPRIDEだけども、
バラエティに富んだラインナップで
かなり楽しめた。
今後もPRIDEとはこういう接し方がいいのかも。

さすがに桜庭復帰戦は生観戦しなきゃ、だけど。





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