タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎
マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!
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<第12回 2002.6.1>
PRIDE21観戦記 〜たまアリの魔力?〜
ワールドカップももうすぐ終わる
そろそろ家(マット界)に帰ろうか、
という絶妙な時期に開催されたPRIDE21。リングスが生んだ最強最後の怪物ヒョードルがPRIDE初参戦、
そして田村の復帰戦もあるとならば(相手は体重倍のボブ・サップ…)
リングスファンとしてはやはり馳せ参じなければ…!
というわけで、大嫌いな会場さいたまスーパーアリーナ(略称たまアリ)へ。基本的に俺はどんな試合会場にもそれなりに思い入れがあり、
どこもそれぞれ好きなのだけど、
たまアリだけは、どうしても良い感情を持てない。遠い、という地理的なことは置いておくとしても、
周囲にほとんど飲み屋がないというのが、第一の嫌いな理由。
試合を見て、それを肴に飲むから楽しいというのに、
それができないということが、まず行く気にさせない。
興行を見にくる人間の心理をまったくわかってない。第ニにこれまでこの会場で、いい思いをしたことがない。
桜庭がシウバに負けた、悪夢の始まりPRIDE13や、
全試合膠着した最低の興行PRIDE12などロクな思い出がない。
好試合を生まない魔力があるに違いない。第三に、会場の閉塞感が …まあいいや。
きりがないのでとりあえずこのへんで。
そうはいっても、今日、ヒョードルと田村が勝てば、
いい思い出ができて、少しは好きになれるかもしれない、
と思いながら東北線だか宇都宮線だかに乗って向った。いざ鎌倉!…とばかりに今日はリングスファン5人が結集した。
この面子が揃うのは、リングス解散以来だから嬉しい。
プライド生観戦も久しぶりだし、結構ワクワクした気持ちになった。
このままのいい気分で帰れればいいのだが…家を出る時に家人に言われた。
「二人(ヒョードル、田村)とも負けたら帰ってこないで。
両方勝っても帰ってこないで」最悪の結果になった場合は、
俺が尋常じゃなく落ち込んで不機嫌さをまき散らす、
逆に最高の結果の場合は、
尋常じゃなくハシャぎ、やかましいから、というわけだ。
過去の苦い経験からの予防線である。
よくわかってらっしゃる。とはいえ、もちろん俺が望むのは最高の結果。
つまりリングス勢の全勝だ。
体重差倍で絶対的不利という見方を覆し、
田村が激勝。奇跡の復活劇。
ヒョードルは強烈パンチで巨大格闘ロボ・シュルトをKOし、
プライド鮮烈デビュー。
ついでにコマンドサンボの真髄を発揮したアフメッドもグッドリッチに勝利。
…これが最高に理想的な結果。
会場に入り、いきなり腹がたった。
アルコールを販売してないのである。WHAT?
一体どういうつもりなのか?
ビール片手に試合観戦という大衆娯楽の基本を無視した愚挙だ。さっそく気分を害された。ブツクサ言いながら席に向うと、
座席の前後の幅が狭すぎて、通るのに異常に苦労する。
しかも最悪なことに、席は列の真ん中だ。かなりの距離がある。
これではトイレに行くのも一苦労。今までは招待券で見ることが多く、
アリーナ席だったのでわからなかったが、
二階席がこれほどひどいとは。何が最新の設備だ。
7000円も払ってこれではやりきれない。試合が始まる前から、ネガティブモード一直線。
やはり、たまアリを好きになるのは不可能か。
そして試合が始まり、ネガティブモードは
暴走機関車と化して、果てしなく突っ走ることになる。第一試合で田村が何もできず、わずか11秒でKO負け。
言葉もでない。いきなり気分はドン底。第ニ試合、ハンの入場曲を使って入ったきたアフメッドも
パっとしないまま判定負け。その後も、低調な試合が続く。
「田村の呪いだよ」(by kogaさん)
ネガティブ暴走機関車はドン底の底へ底へと一気に掘り進めていく。
「来るんじゃなかった…」五試合目の大山vsヘンゾ戦で耐えられなくなり、
試合の途中で、一服しに席を離れる。(通るのに苦労しながら)ビールがないので飲みたくもないコーラを買い、
アメリカンドッグを食べながら(カチカチだった)
通路のモニターで見ようと思ったら、
モニターで試合をうつしてない。WHAT?いやFUCK!
何のためのモニターなのか。いちいち腹だたしい。
金を払って、わざわざ不機嫌にならなければ
ならないとはこれいかに?
これなら家でスカパーで見てる方がよっぽどいい。もう、いちいち八つ当たりしたくなってくる。
試合が低調なのも、すべてたまアリの魔力のせいだ。
おのれ!
しかし、まだヒョードルがいる。
そこに一縷の希望を繋いだ。休憩が終わり、大会は後半戦に突入。
毎度おなじみの猪木劇場はシラケきった気分で眺めていたが
(遂に123ダーで手すら上げない日が来てしまった…)
ノア杉浦vsダニエル・グレイシーは好試合になり
少し気分は回復。いよいよヒョードルの登場だ。
リングスではイヤになるくらいの強さを発揮し、
ヘビー級、アブソリュート級の二階級を制覇。
今やプライドで無敵の存在となった
王者ノゲイラ(元リングス)に唯一勝てる男として、
我々リングスファンが放つ(?)秘密兵器、最強の刺客だ。
頼むぞ、ロシアン・ラストエンペラー!相手は2m111Bの大巨人シュルト。パンクラス無差別級王者でもある。
プライドの一人勝ち状態で、対立意識はめっきり薄くなったものの、
一応は積年のリングスvsパンクラス抗争の決着戦。ヒョードルの強さはよくわかっているが、不安がないでもない。
プライドでは無敗のシュルト。決して油断できる相手ではない。
一発いいのが入ったら、怪物ヒョードルといえど危ない
…そんな不安もあったのだが、試合が始まり、消えた。強い!強いぞヒョードル!!
30B近く身長差のあるシュルトを何度も軽々と倒し、
終始上のポジションをキープ。驚くべきボディコントロール力だ。
やっぱり化け物だ。100%勝てる!一本勝ちしてくれ〜〜〜!という我々の祈るような願いは叶わず、
結局、判定勝ちだったが、まあ勝ったからいいや。
喜び大爆発とはいかなかったが、気分はかなり回復した。
しかし、極めの弱さは対ノゲイラ戦を考えると不安材料かな…。メインの高山vsフライもハチャメチャな殴り合いで面白かった。
さすが二人ともプロレスラーだ。どうなることかと思ったPRIDE21だが、
後半の試合でなんとか気分を取り戻し、
ヒョードルのおかげで
そこそこいい気分で会場を後にすることができた。
たまアリはやっぱり嫌いなままだたったけど。
試合後は、わざわざ赤羽まで移動して飲み会。
歓楽街にある「甚八」という店で飲む。
好物のレバ刺も馬刺もあって、どれも結構うまかった。
この飲み会が楽しかったので、気分は完全に回復した。
やはり試合後の飲み会は大事である。結局、最高でも最低でもない結果だったので
普通に家へ帰る。(家人は寝てた)
スカパーで録画しておいた
田村vsサップだけ見る。
…失敗だった。また暗い気分になってしまった。
すぐフテ寝した。
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