タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎


マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!

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<第14回 2002.6.27> ZERO-ONE6.27後楽園観戦記 

プレデターが来た!

ZERO-ONE後楽園ホール大会を見に行く。

今回の大きな目的のひとつは
“プレデターに襲われて逃げる”である。

ザ・プレデターは、
故ブルーザー・ブロディの模倣キャラ。
2メートル以上ある巨体で
入場時には、チェーンをぶんぶん振り回し
客席に乱入して大暴れする。

ZERO-ONEにプレデターが登場して以来、
「お下がりください!お下がりください!」
と絶叫する場内アナウンスと、
逃げまどう客の悲鳴が交錯!
ーーそんな懐かしいプロレス光景の再現を
テレビで見ていて、羨ましかった。
「俺も追われたい!そして逃げたい!」

高校生の頃、地元の松本市総合体育館で
大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントから逃げ回ったのは、
我がプロレス人生の中でも
最高に怖くて楽しかった想い出のひとつ。

しかし、管理の行き届いた東京の大会場では
なかなかそういう場面に遭遇できず、
また「悪役レスラー」というギミックも
廃れ気味になってしまったため、
めっきりそういう経験はできなくなってしまった。

20年以上プロレスを見ているが、
松本のアンドレ以外は、
京王多摩センターの野外会場で
狂虎タイガー・ジェット・シンに追いかけられたのと、
後楽園ホールで
チェーンソーを持った怪人・レザーフェイスに襲われた、
わずか3回の経験しかない。(たぶん)

またあの恐怖を味わいたい!
神様、お願い!

そんな夢を実現させるべく望んだ、
前回のZERO-ONE後楽園ホール大会。
がしかし、リングサイドに陣取ったものの、
あいにくガイジン入場コーナーとは
反対の席になってしまい、その夢は叶わなかった。

そこで今回は万全の準備で望んだ。
ガイジンが入場する青コーナー、しかも
入場通路に近い西側の席を入念に選び確保!(7000円也)
これなら襲われる!そして逃げられる!

そして当日。
待ちに待ったメインイベント。
場内に「移民の歌」が流れ始めた。
来るぞ来るぞ…!

ジャラ…ジャラ…ジャラ…
チェーンをひきずる音が聞こえる。
来るぞ来るぞ…!
プラデターが来る!

来た〜!

どよめく場内!
響き渡る悲鳴!

…が、プレデターは我々のいる西側ではなく
北側のスタンドの方に突進していってしまった!
スタンドの上の方まで乱入し大暴れする大サービス。
しかし、こっちに来ない…

おーい、プレデターよぉ〜
こっちにも来てくれ〜!

そんな願いもむなしく
あろうことか奴は前回我々が座っていた
東側に向っていく。
こっちの席は無視…
そして試合は始まってしまった。

しょぼーん…

がっかりである。
またもや願いは叶わなかった。
どうしてこうもうまくいかないのか?

しかし気を取り直して試合に集中する。
リングサイド5列めくらいの席だったので、
リングは目の前。そこに
2メートル級の怪獣が3人も並んでいる光景は
壮観である。ド迫力である。

同じ7000円を払いながら
2階席だか3階席だかで
リングが遠すぎて全然見えず、
会場にいるにもかかわらず
大型ビジョンでしか見られなかった
数日前のPRIDEとは大違い。
これが本来の生観戦の醍醐味だろう。

さて、試合はまたも超高速カウントで
橋本があっさりフォール負け。
しかも期待していた
小川や小笠原、大仁田の乱入などの
ボーナストラックもなく、
ZERO-ONEらしからぬ淡白な状態のまま
大会は終了。

ありゃ…これで終わり?

肩すかしされて
気を落としているその時
「キャア〜」という
悲鳴がすぐそばから聞こえた!


…プレデターが来たっ!


こちらに突進してくる!
しかも、油断してたから逃げ場がない!

うわああ〜っ
目の前に来た!
目があった!
デカイ!
コワイ!
足がすくむ!

そしてプレデターは去っていった。
あーっ怖かった。
チビるかと思ったぜ。

やっと夢が叶った。
しかも今日は生まれて初めて
紙テープも投げた。
(大谷ファンの人にお願いされたのだ)

大会全体としては
面白すぎた最近の興行と比較すると
少々低調な内容だったものの、
個人的には原始的プロレス観戦の醍醐味を
味わえて大満足である。

やっぱZERO-ONEは面白い。
また行こう!
そしてまた襲われよう!

後楽園ホールを後にして
しみじみそう思うのであった。





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