タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎
マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!
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<第18回 2002.11.19>
妄想爆発!夢と希望の第2回「WRESTLE-1」
「WRESTLE-1」(以下W-1)も終わり、
いよいよ今週末は「PRIDE23」だ。高田ラストマッチだ。さあ、書きかけの<高田延彦クロニクル後編>を書こう!
と思っていたら、……なぬ!?
早くも第2回「W-1」の開催が正式決定?
しかも1月19日・東京ドーム?2日前の第1回「W-1」の帰り道では
かなりテンションが下がっていて、
「いや〜2回目があっても、俺はもうPPVでいいっすよ」
なんて言っていた俺なのに、なぜだかやけにワクワクしてるぞ。我ながらまったく言動に一貫性がないとあきれてしまうが、
これが懲りないプロレスファンの性(さが)なのだろうか?
いや、決して大成功とはいえない「W-1」だったけれど、
なにか大化けする可能性は秘めていたのだ。“ファンタジーファイト”というコンセプト、
WWEばりの舞台演出、フジテレビのバックアップ、
団体を越えてトップレスラーが結集する場としての機能…
この方向性は絶対的に正しい。
「W-1」には、プロレスを再生する可能性はある!とかなんとか考えていると一人で盛り上がってきてしまった。
というわけで<高田〜>を書くのは先延ばしにして、
今回は俺が考える、理想の第2回「W-1」について書くとしよう。
<第2回「WRESTLE-1」の背景>
現在、日本のプロレス界には3つの巨大な敵がいる。
「K-1」「PRIDE」「WWE」である。いわゆるガチンコ路線のスーパーイベント「K-1」と「PRIDE」、
その対極にあるエンターテイメントの頂点、アメリカの「WWE」。
どっちつかずの日本のプロレスはこの間に挟まれて低迷してるわけだ。しかし、来年の1月19日というのははタイミングとしては実にいい。
一気にこの3つの巨大な敵に大逆転できる可能性がある時期である。まず今年の年末に「K-1」と「PRIDE」はビッグイベントを終え、
来年の1月は話題的に沈静化してる時期である。
となると、この隙に「W-1」でマット界の話題を独占できる。そして、ほぼ同じ時期の1月24・25日には
WWEが日本に来襲して大会を開催する。
ところが、これは主力選手がほとんど出ない手抜きの大会だ。となれば、日本マット界が総力を結集して豪華な大会を開き、
日本マット界ならではのプロレスの醍醐味をアピールすれば、
日米興行戦争に勝利し、一気にイメージの形勢逆転は可能だ。そのためには、WWEよりも豪華メンバーを集めて、
「K-1」「PRIDE」よりも面白い大会にしなければならない。
そんなことが可能なのか? …それが可能と俺は見た。その説明を細かくするのは後廻しにして、
厳選に厳選を重ね、現実的な事情も考慮した上で、
俺が決定した理想のカードをまず見てほしい。<第2回「WRESTLE-1」対戦カード>
第8試合 ザ・グレート・ムタvsハルク・ホーガン
第7試合 天龍源一郎vsボブ・サップ
第6試合 蝶野正洋&ビル・ゴールドバーグvs小川直也&橋本真也
第5試合 小島聡&太陽ケアvsザ・プレデター&トム・ハワード
第4試合 ケンドー・カシン&謎のマスクマンXvsドス・カラス&ドス・カラスJr
第3試合 馳 浩vsジョアニー・ローラー
第2試合 長井&荒谷&カズ・ハヤシvsサム・グレカラス&マーク・コールマン&ケビン・ランデルマン
第1試合 大谷晋二郎vsアブドーラ・ザ・ブッチャーどうですかーッお客さん!
胸が踊ってきませんか?ワクワクしませんか?
見たくなりませんか-?俺はなってます。でも、まだピンときてない人のために解説していこう。
第1回「W-1」で最もよかった点は
試合数が少なく、試合時間も短くて、
興行としてのリズムとテンポが非常に良かったこと。
これは継続していきたい。
となると試合数は多くても8つが限界。次に、闘魂三銃士を再結集させたことが「W-1」の大きな功績。
これは大きなウリとして生かすべき。
となれば、三銃士の直接対決、
新日本とZERO-ONEからの選手派遣もより組み込んでいきたい。
ただ、あくまで全日本プロレス主体であることも忘れてはならない。3つ目に、ブッチャーなどプロレスの歴史を感じさせる名選手の参加。
これもプロレスファンの郷愁を誘う意味でもはずせない。逆にダメだった点は、一時のウケを狙うための茶番カードが多すぎたこと。
対決の構造が理解しにくいこと。プロレス下手な選手の参加…などなどだ。そのあたりを考慮し、さらに新たなお楽しみを付加し、
実現可能な範囲で“ファンタジーファイト”を形にするとなると、
自然とこういうカードが浮上してきた。<各試合の解説>
では第1試合から、狙いとみどころを解説していこう。
<第1試合 大谷晋二郎vsアブドーラ・ザ・ブッチャー>
第1試合は興行のつかみとして非常に重要だ。
その意味で、第1回「W-1」がブッチャーの入場を
興行のイントロにもってきたのは大正解。
「吹けよ風 呼べよ嵐」が鳴っただけで、もうつかみはOKだった。
これは「W-1」名物として踏襲したい。しかし、いかんせん相手が悪かった。
“さたやん”こと、プロレスど素人の佐竹じゃ、やっぱいけませんわな。
ここは、今マット界で最も会場を暖めることができるレスラー、
プロレス上手の熱き男・大谷晋二郎の出番だ。ブッチャーの地獄突きでもんどりうってピクピクする大谷、
大谷の顔面ウォッシュを食らって大流血するブッチャー、
ブッチャーのフォークと大谷の火祭り刀による凶器の大応酬、
これはもう一気に盛り上がれる最高のオープニングになるだろう。大谷シン二郎には、平成のタイガー・ジェット・シンこと
“オータニ・ジェット・シン”に変貌してもらって大暴れしてほしい。
もちろん最後はブッチャーの毒針エルボーで悶絶だ。<第2試合 長井&荒谷&カズ・ハヤシvsサム・グレカラス&マーク・コールマン&ケビン・ランデルマン>
第2回「W-1」を考える上で、最も悩んだのがこの組み合わせ。
第1回でもわかるように、格闘家のプロレス試合とはいかがなもんなのだろうか?
また、全日本所属の興行映えしない地味な日本人選手の扱いをどうするべきか?しかし、サム・グレコにせよ、コールマン&ランデルマンにせよ、
一生懸命プロレスに適応しようと努力している姿には、
なんというか胸を打たれた。それは涙ぐましいほどの懸命さだった。
これはやはり継続して生かしていくべきだろう。ならばここは、彼らがよりプロレスに馴染めて、かつ目立てるように、
全日本の中堅勢と当てるのはどうだろう。
K-1&PRIDE合体の豪華トリオの実現ということで、
長井や荒谷の地味さも中和できるはずである。結末は、第1回でまさかのピンフォール負けを食らったランデルマンに
ここは白星をあげたい。軽量のハヤシに負け役をお願いしよう。<第3試合 馳 浩 vsジョアニー・ローラー >
新日本プロレスから蝶野以外に、もう一人くらい派遣してもらうと考えると
「W-1」にハマる選手は、困ったことにローラー くらいしか思い浮かばなかった。
となると、相手は馳浩以外に考えられない。かつて「ギブアップまで待てない」というプロレス番組において、
プロレスを馬鹿にするような言葉を吐いた司会の山田邦子に対して
本番中に激怒した伝説を持つ馳が、10数年を時を経て、女性と対決だ。現職の国会議員と爆乳女戦士の一騎討ち!これぞファンタジーファイト!?
このハレンチきわまりないカードには週刊誌もワイドショーもとびつくはず。
「W-1」を広くアピールする上で、非常に遠心力のある対戦である。馳のジャイアントスウィングで、ぐるぐる廻され揺れまくるジョアニーの爆乳!
6万人の大観衆もこれには釘づけ間違いなし。一気に大ヒートだ。
そして得意げに腰をくねらせる馳に、ジョアニーが金的攻撃で反則負け。
まあ、オチはそんなところでいいでしょう。
<第4試合 ケンドー・カシン&謎のマスクマンXvsドス・カラス&ドス・カラスJr>
この試合は、当初は「カシンvsドスJr」として発表しておきたい。
実力派マスクマン対決として、これだけでも十分見てみたい試合だ。
しかし、「W-1」はお祭り。もっと派手さを加味したい。
この魅力的なシングル対決は、全日本プロレスの武道館大会用にとっておこう。そこで、「カシンvsドスJr」の発表の後に、ドス親父からクレームが入ることにしよう。
「全日本を歴史を作ってきたオレが、記念すべき大会に出られないのはおかしい!」
とかなんとか。そこで、カシンは謎のパートナーを連れてくると宣言。そして当日までXは発表されない。我々ファンはこう思うのである。
「まあどうせ、宇野薫のTHE APEMAN NIGOとかそのへんでしょ。ヘタすると愚乱浪花?」
このあたりを邪推したりするのがまた、プロレスの醍醐味であり、マニアの悦びだ。そして当日、カシンがまず入場する。その後で「スカイハイ」が鳴り響く。
「うおお、マスカラスか〜!? 兄弟対決か?」どよめく場内。
しかし、そのメロディは転調し、映画「スピード2」の曲に変化する!「な、なんとXはサクカラスだ〜〜〜〜ッ!」
絶叫する三宅アナ。そう、XはPRIDE23で復活を遂げた(予定)の桜庭だった!ドッカーン!思いがけない桜庭の登場にもうドームは大爆発。
こうなれば、もうどの組み合わせもOK。これぞファンタジーファイト!最後はカシン&サクカラスの合体殺法に高齢のドス親父が負けると。
そしてドスJrには親父の仇打ちというテーマが生まれて
全日本でのカシンvsドスJr、PRIDEでの桜庭vsドスJrへと夢が広がっていくのだ。<第5試合 小島聡&太陽ケアvsザ・プレデター&トム・ハワード>
ファンタジーファイトを実現するのに不可欠なのは
やっぱり魅力的な外国人選手の登場である。
しかし、オールドネームやK-1、PRIDEの選手にばかり頼っていてもいかん。
現在進行形のイケてる外国人レスラーはいないものか?いるのだ。それがZERO-ONEのザ・プレデター&トム・ハワードだ。
けれど、ZERO-ONEがテレビ放送のないマイナー団体ゆえ、
なかなかそれがプロレスファンに浸透していかない。
「Wー1」はいい機会だ。ここにプレデター&ハワードを投入して
一気にお茶の間のファンにも覚えてもらおう。故ブルーザー・ブロディのコピーキャラで、「移民の歌」をBGMに
長髪をふり乱しながらブンブンとチェーンをふりまわし入場するプレデターも、
元グリーンベレーで変幻自在の技を操るハワードも、
実にキャラが立っていてわかりやすい。そしてデカくて強い。典型的な外国人レスラーと日本人レスラー対決は
ベーシックなプロレスの醍醐味を味あわせてくれるだろう。また全日本とZERO-ONEの団体対抗戦でもあるため、
どんな結果になってもネクストへと繋がっていく。
とりあえず今回は、次のシングル対決への布石として
小島へ執拗なチェーン攻撃をするプレデターの反則負けでいいか。
反則決着もまた、古き良きプロレスの魅力だ。「次は一騎討ちだ!ZERO-ONEでもどこでも、いっちゃうぞバカヤロー!」
小島がマイクでそうアピールしておけば、ファンも納得。<第6試合 蝶野正洋&ビル・ゴールドバーグvs小川直也&橋本真也>
さて、問題なのはこのカード。
まずゴールドバーグの相手をどうするかで頭を悩ませた。
スタイナー戦を見て思ったのは、ゴールドバーグはプロレスが下手だ。
一進一退の攻防になると、どうにも魅力を発揮できない。
でも、小島ともケアとも既に対戦しているし、それ以下のクラスの日本人じゃねぇ。
とはいっても、また外国人相手ってのもなあ。んじゃ、ここはタッグでどうだ?それなら粗削りさも目立たない。
そんならもう「お客さん」扱いはやめて、一気に日本のトップクラスと対戦だ。
小川&橋本の「OH砲」なら、文句ないだろう。しかも第1回「W-1」で接点が生まれた蝶野と組ませれば、
蝶野にとってもゴールバーグとのタッグ結成はおいしいはず。
橋本vs蝶野の三銃士対決も実現するし、一石二鳥。
小川vsゴールドバーグという異色対決も話題を呼ぶだろう。まあ、問題は小川が出てくるのかどうかだわなぁ…
でも、アメプロ大好きの小川だから、ゴールドバーグ相手なら興味を示してくれるかな?
OH砲を全国区の人気にするためにも、いつまでもひきこもってる場合じゃないっしょ。
出ろ、出るんだ、小川〜!そして蝶野と橋本がリング下でもみあってるすきに、
ゴールドバーグのジャックハマーでまさかのフォール負けってのどう?
これはビッグサプライズだ。
で、第3回「W-1」で小川vsゴールドバーグの一騎討ちが実現!
ダメ?
<第7試合 天龍源一郎vsボブ・サップ>
今や日本マット界の至宝であり、「W-1」に顔であるサップの相手は
同じく日本マット界の至宝、“ミスタープロレス”天龍で決まりだ。サップの才能は素晴らしい。努力家でもあるし非の打ちどころがない。
が、ことプロレスとなると、やはり難しい。どうしてもキャリアの浅さを露呈してしまう
いつまでもドロップキックしたとか、飛んだとかだけでは騒いではもらえない。そこで“名勝負製造機”である大ベテラン天龍と対戦して、
大いにプロレスとは何かを学んでほしい。
これは名レスラーになるための貴重な体験になるだろう。
また天龍ならば、サップの魅力をムタ以上に引き出してくれるに違いない。トレンド好きな(?)な天龍も、サップとは戦いたくて仕方ないはず。
「W-1」に出るのを嫌がっているけれど、サップ戦なら渋々承知してくれるのではないか?この対戦が実現するば、我が心の名勝負“天龍vsサベージ戦”以上の
名勝負になること間違いなし。この日のベストバウトになるだろう。
<第8試合 ザ・グレート・ムタvsハルク・ホーガン>
なんだかもう既にお腹いっぱいだが、メインディッシュ、
あるいは最高のデザートとして、やっぱりメインはこのカード。日本とアメリカの両国を代表するスーパースター同士の対決だ。
ホーガンの年齢を考えても、実現させるのは今しかない。どんな相手と対戦しても、絶対に自分を光らせてしまう天才・武藤(ムタ)だけれど、
今年のレッスルマニアで異様なほどのカリスマ性を発揮した究極のスーパースター、
ホーガン相手だといったいどうなるのか?興味は一点そこのみだ。この対決に技なんてほとんどいらない。
リビング・レジェンド二人がリングで対峙しているだけで絵になる。耳に手を当て、マッスルポーズでアピールするホーガン。
お得意のウサギ指(?)でポーズを決めるムタ。
一体どっちにより多くの歓声が集まるかの戦いだ。
技の攻防がなくても面白いプロレス、これぞ究極の名勝負。この試合は、日本人のプロレスLOVEが試される一戦でもある。
ファンの力で、あの「レッスルマニア」のロック戦を超えるような
異常なほどの大歓声を生み出したいものだ。そんな完璧な非日常空間を作ることに成功すれば、
武藤の言う「ファンタジーファイト」は完成し、
ホーガン戦は伝説になるだろう。となれば単なる勝負論の「K-1」や「PRIDE」は目じゃない。
そして「WWE」すらも超える、新しい日本のプロレスが誕生する。
WRESTLE-1、万歳!
妄言多謝
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